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イントラバーバルー言葉に対して言葉で答える

1998年1月

家庭での療育を始めるで、まず目標にしたことが、、言葉に対して言葉で答えることだった。

言葉を聞き取ること①で「鼻の長い動物は?」と聞いて「ぞう」と答える練習をやったが、日常の会話に近づけるためにそれをさらに広げて、文字での理解、主に「人」「場所」「こと(もの)」の分類(文を読んで意味を理解すること②)、文字ではなく絵を見てそれを言葉に置き換えること(絵(写真)を手がかりにして会話をする/動作の命名)、文字や絵がなくても音声の言葉を聞いて意味を理解すること(言葉を聞き取ること②)を、確実にできるようにして、様々な場面で言葉に答えることを目指した。

〈具体的な目標〉

「白と黒の動物は」→「ぱんだ」

「おなかがすいたら」→「ごはん」

「カレーに入れる野菜は」→「じゃがいも、にんじん、たまねぎ」

そこでまた、初めは絵と文字を使い〇✕で答える形式にした。

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「はい・いいえ」で答えるの課題と平行してやっていたので、「りんごは赤いですか?」→「はい」ができたら、「りんごの色は」→「あか」という問題を作った。

せんろをはしるのは

あたまにかぶるものは

ねるときにつかうものは

くびのながいどうぶつは

あさはなんという

でんしゃにのるところは

…答えの選択肢をなくし、問題の文字をなくし、口で言う言葉を聞き取って、その意味を理解し、答えを考えて言う。言葉に障害のない子どもであれば、スラスラと答えられる質問だが、あきひろができるようになるには、これだけのステップが必要だった。

今年30歳になったあきひろにふと、「白と黒の動物は?」と聞いてみた。もう長いことそんな質問はしていなかったので、あきひろは黙っていた。それで「色が白と黒、の動物」と言い換えると、少し考えて「しまうま」と答えた。療育の時に私が教えた「ぱんだ」ではなかった。あきひろが、教えられたことを覚えるだけでなく、簡単なことだけれど自分の頭で考えることができていることを嬉しく思う。

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