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大人へ絵本memo ~理想の場所~

居場所が違うような気がする友達を目で追ったことがある。

ここにずっといなくても良いのにと心で思ったことがある。

口に出せない虚無感を、その子の代わりに表現したことがある。

そしてそっと声をかけ

一緒に

集合体の中から抜け出したこともある。


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『ロスト・シング』
ショーン タン (著) 岸本 佐知子 (訳)
2012年 河出書房新社


ここを読んでいるあなたは、たぶんこの見返しだけ読んで、これがどんな本だか知ろうとしているんだろうね。気持ちはわかるよ。人生は短いし、日々は目まぐるしい。要領の良くて機転のきく人たちは、こんなところに突っ立って、奇妙な街で迷子になった赤くて図体のおおきい生き物が出てくる絵本なんかを眺めているほどヒマじゃない。会社に行くとか、学校に行くとか、もしも今日が休みの日なら、海辺でボトルの王冠を集めるとか、やるべきことは他にいくらでもある。この本を読めば少しはそういったことの足しになるかって?まずならないだろうね。この見返しからして、すでにじゅうぶん無意味で、なんの参考にもならなくて、読むだけ時間のムダだ。・・・・(見返しより一部)

表紙の見返し部分がこの本の意味を伝えているので、そのまま書かせて頂きました。ショーンタンの愛が伝わってきます。



自分の今いる場所は

もしかしたら

もう、

扉の向こうかもしれない。


これだけの人が他者を認め合っているのだから

その場所にいると言えないだろうか。


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