ゴグとマゴグ戦争 (エゼキエル戦争) Part.1
2022年2月24日、ウクライナ侵攻のニュースは世界を驚かせたが、キリスト教の特に福音派界隈では、少し違った … "畏怖の念"ともいうべき感慨を伴って広がっていった。それは旧約聖書のエゼキエル書に記された、ある出来事が、今まさに目の前で起きようとしているからだ。
旧約聖書中にあるエゼキエル書の38章に以下のような文章がある。
この書は、紀元前590年頃、捕囚によりバビロンに連行されたユダヤ人の祭司に臨んだ神の預言が書き留められたものである。地名は、本が書かれた時代の地域の通称で表されているので、現代とは異なっている。この箇所によると、マゴグ(現ロシア)が将来、いつかの時点でイスラエルに攻め入ってくるというのだ。
かの国とは、ウクライナではなく、イスラエルである。まだウクライナに攻め入った段階だから、今からワサワサ騒ぎ立てるのはいかがなものか?と冷静な意見があるのも確か。しかし、2022年7月時点ではウクライナ侵攻の陰で、イスラエルとイランがほぼほぼ戦闘状態にあって、これがロシアの怒りを買っているという事実があるのだ。さらに、ロシアがイスラエルに攻め入ると決めた時点で、色々なことが手遅れになっている可能性が高く、このような記事を書く意味合いが薄れてしまう。
何回シリーズになるか、今の時点では分からないが、この記事では現代のイスラエルをめぐる情勢も紹介しながら、エゼキエルに啓示された内容をみていこうと思う。そして「手遅れ」とはどういう意味か。それについても、説明を加えていこうと思う。
世界の歴史の中で、ロシアがイスラエルに攻め入った記録はない。だからこの預言は"未だ成就していない預言"に含まれることが分かる。この書の38章、39章は驚くべきことに、戦争の目的、参戦する国々、成り行きや結果、戦後処理にまで言及している。映画の手法で例えるなら、38章はロングショットで概要を示し、39章はクローズアップで詳細部分に触れている。
1.誰が引き起こす戦争か?
先のロシアと共にイスラエルに攻め入るのは、現代のイラン、トルコ、スーダン、リビアで、2022年に入って突如、現実味を帯びてきている。特に、かつて互いに憎み合っていたロシアとイランとトルコは、共通の利害関係の下、急激に歩み寄ってきている。アフリカ大陸のクシュとプテについては、既にロシア海軍がスーダンに侵攻しているし、ロシアの軍隊はリビアにも関与している。(※預言書が書かれた当時のゴメルは、現代のドイツ、トルコ北部に住んでいた民族を指していた)
地図を見れば一目瞭然だが、小国イスラエルに対して、敵は群れをなして四方から襲い掛かってくる。西側諸国、およびアラブ諸国の幾つかは、反対の声を上げはするが、軍隊を差し向けようとはしない。つまりこの戦争に際して、小国イスラエルに手を差し伸べてくれる国は皆無だ。今のウクライナを見ても分かるように、侵略者に対して批判はするが、実際には助けない。同盟国アメリカでさえ派兵することはない。
2022年7月19日、ロシアとイラン、トルコの大統領がテヘランで会合した。これまでこの三国は、これまで互いにいがみ合い、憎しみ合ってきたが、ここに来て足並みを揃え始め、相互の利益を共有する方向に舵を切った。この事実だけでも奇跡的なことで、聖書預言の不思議さを感じとれるはずだ。相互の利益とは何だろう? これについては後述することにする。
2.いつ、起こる?
前出の「携挙」同様、この戦争がいつ起こるかは具体的に示されていない。ただし、文中にそのヒントが記されている。無防備な国とは勿論、イスラエルを指す言葉だ。彼らはみな城壁もなく住んでいる。かんぬきも門もない、イスラエルが安心して住んでいるときだ。新聞等のメディアを見ると、ガザ地区からのミサイル攻撃、エルサレム街中のテロ、誘拐事件などが結構な頻度で起こっている。ただ、それは今に始まったことではなく、1948年の建国以来ずっとそうだ。ところが、一旦市街地を離れると、のどかで平和な風景がずっと広がっている。
2014年、2017年とイスラエル旅行をした際も、街中では銃で武装したIDFの兵士が至る場所で散見された以外は、極めて安全で平和なイスラエルを満喫できた。一旦、街を離れると文字通り、人々はかんぬきも門もないような家で、夜は鍵もかけずに生活している。
3.戦争の結末
驚くべきことに、聖書にはこの戦争の結末まで詳細に描かれている。結論から言うと、ロシアとその同盟軍は負ける。国力を削がれ、最早再起できないほどに壊滅的なダメージを受ける。イスラエルが思ったより強かったのか? そうではなく、神御自身が介入され、残忍かつ無慈悲な戦争を繰り広げてきたロシアに鉄槌を下される。
まず、①地震が起こる。これは世界規模の大地震と言われていて、被害はこの地域だけに留まらない。次に②同士打ち。同盟軍は一つの目的の下、統率が行き届いているわけではなく、各国各人が個々の利益のために動いているので、同士討ちの起こりやすい状況であることは間違いない。続いて③疫病である。同士討ちの結果、累々と積み上げられた死体から病原菌が繁殖し、さらに死者が増える。最終的には④ロシア本国に豪雨や雹や火や硫黄が降る。火や硫黄とは恐らく火山の大規模な噴火を指す言葉だろう。以上、いずれも屈強なイスラエル国防軍ゆえに勝利するのではなく、神の介入があるために勝利が転がり込んでくる。
人によっては、この戦争を "One-Day-War" と呼んでいる。つまり一日で決着のつく戦争だと言うのだ。聖書的な根拠はないが、神御自身の介入により、人間が何カ月もかけて準備してきた戦争が、あまりにもあっさりと終わるのだという意図が見える。
戦争の結末が、神御自身の介入によることを理解したイスラエルは、神に立ち返る。これは、国内外のユダヤ人で聖書の神に立ち返る動きが盛んになることを指す。戦争前は、聖書預言を信じる者、つまり信仰者たちが警告を発し、まさに彼らが語った通りになる。二度とわたしの聖なる名を汚させないとは、戦争を目の前で見た者が、神を信じ、再び疑うことはなくなる、つまり信仰者になるという意味だ。「そんなことは起こるはずがない」と高を括っていた者たちが、我に返り、神を信じる。
この中から後々、特別な144,000人のユダヤ人信者が生まれ、患難時代前半3年半の間、世界宣教に遣わされる。
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