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ベルリン、Quark(フレッシュチーズ)はひとり1個で

ドイツにはドイツ人の大好きな食べ物がある。それはフレッシュチーズ、Quark(クワークまたはクワルク)っちゅう食べ物でドイツ人がドイツ料理を作るとなると何かと食卓に上がってくる。

それはフランスでいうと「Fromage Blanc」ってやつで、マガジンハウス信者だった私はOliveやanan、はたまたフィガロでパリ特集をするたびにフロマージュブランが出てくると食べたいと思った10代の若者だった。フランス料理屋でフロマージュブロンを初めて食べた10代後半、正直言って思ったよりも美味しいと思わなかった。20代前半で本場パリで食べたフロマージュブランも憧れていた割には別に大好きです!って断言できるほど好きにはなれずにいた。

ベルリンに引っ越してくる前、10年くらい前にベルリンの本を読み漁っていたら、「ベルリナーはクワルクが大好き」という文章をよく見かけた。仕事や旅行で来た時、毎回クワルクっちゅうのを今回は食べてやろう、と思うのだけれど結局食べずじまいにいた。

すっかりクワルクのことなんて忘れていたのだが、私は実際に10年以上の紆余曲折を経てベルリンに引っ越してきてクワルクを食べる機会がやって来た。スーパーに売っていたのだ。「ハーブ入り」のパンに塗るスプレット、ヨーグルトのような「フルーツ入り」「プレーン」などもあるけど、うーん、なんか水っぽいしモソモソする感じ…ゆるいカッテージチーズ、裏ごしした豆腐、すこし酸っぱいかな、でもヨーグルトのようには酸っぱくなくてパンチが足りない…結局ヨーグルトの方が好きなので、トルコ屋で売っているバケツのような容器に入った1リットル入りのギリシャヨーグルトの方に走ってしまった。

ところがクワルクを食べずになんとか過ごし数年が経過し、絶対こんな時にクワルク食うはずがない!って場面で食べなくてはいけない時がやってきてしまった。

「ヨー、今日は俺が料理をするよ。俺はジャガイモが食べたいんだけどいいかなー?」

と彼氏が聞いてきたのだ。ジャガイモ。とにかくベルリンに来てから本当にジャガイモばっかり食べる(詳しくはKartoffeln(じゃがいも)一生分にて)。うっかり私は「うん、いいよー」と答えてしまった…その後の展開も知らずに(笑)。

エコバッグを下げた彼が買い物から戻ってきた。なんかクワルクがある。

「今日はなに作ってくれるの?」

「うん、ジャガイモとクワルクを添えたやつだよー。」

あったかいジャガイモとクワルク?サラダかな?と思ったら、作ってくれたものは茹でたジャガイモ(粉ふきいものようにする)をドカッと皿に盛られ、「ささ、早く、あったかいうちに乗っけちゃって、ひとりひとパックだよ」とクワルク250gを手渡された…嘘なら嘘と言って、罪を憎んであなたを許そう…

そしてどう考えてもメインディッシュ、山盛りのジャガイモを皿の中心にのせ、クワルクをドカッとのせ土手のように均すとそこの皿に亜麻仁油をどっさりかけて、コルニッションピクルス並みに引き立て役状態になっているソーセージが添えられていた。こんな大量のクワルク、食べられないよー。なんとか半分食べた。

思ったより美味しいんだけど、重い。食後、そのままベッドに横になり、あまりの満腹さにその晩は眠ることができなかった。一気にジャガイモとヘビーなクワルク食べ過ぎた。あ、彼氏もやっぱり調子こいて食べ過ぎて苦しくなっている…

最近、彼氏が買い物していてくれて「ヨー、今日は朝ごはんの買い物しておいたよ」と冷蔵庫を覗いたら、フルーツ味のヨーグルトがいっぱいあって、その中の幾つかはクワルクが混ざっていた…ドイツ人のクワルク愛はハンパないようですな…


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