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共倒れ

親の介護をしていると、さまざまな面で子供たちにも
負担と不便が増える。
僕の兄弟は、姉2人と末っ子で男子がひとりの僕の3人。
上の姉は、よく「もう限界だ」とつぶやく。
下の姉は、上の姉より更に多くの時間を母のために
使っているのだが、もちまえの根性で弱音は
吐かないが、相当に参ってると思う。
姉ふたりは、それぞれ別のこども園で園長をしており、
その仕事も責任が重大だし、仕事を抜け出して
母の介護をするには限界がある。
今は、兄弟3人と、ヘルパーさん、訪問看護師、
それに別にお手伝いさんを2人雇い24時間体制で
「見守り」をしているのだが、今朝起きたら、
夜中の2時に、昨夜泊まっていた次女からの着信が
入っていた。(僕は寝てて気づかなかった)
朝になって知ったが、結局、僕の奥さんが実家に行き、
せん妄状態が出た母の世話をしてくれたそうだ。

先日のドクターの訪問診療の際、ドクターはこう言っていた。
「ある程度は放っておくのも肝要だ」と。
一番悲惨なのは、親と子が共倒れすることであり、
そういう例をたくさん見てきたらしい。
母のベッドの横にはナースコールを置いているが、
頻繁に鳴らす。
ドクターいわく、4.5回に一度、それに応えるくらいでいい、と。
頭では理解したが、なかなか出来ることではない。
先日から母を説得し、今日から老健施設のショートステイを
3泊4日で利用することになった。
さっき、母を送り出したのだが、寂しそうな母の顔を
思い出すと、いろんな感情が込み上げてくる。

母は「最期は家で」と強く希望している。
だけど、家族も限界がきている。
まだまだうちは、世話をする人が多くて
ましな方だと思う。
それに「認知」がない分だけ、家族も助かっている。
娘一人、息子一人で介護している家庭も多い。
結果、苦しむ親を見ていられなくて自ら親に手をかけ……
という悲しい事件も起こる。

これは医療だとか行政だとかがどうこう
出来ることではないと思う。
(金銭面などの援助は出来るかもだけど)
結局は、親と子の物語であり、感情の問題なのだ。
年老いた親の悲しそうな目をみると、
できうるだけのことはしてあげたいとは思うものの
子供にしても、仕事をもった一人の人間である。
本当に難しいことだと思います。

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