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自分が何が欲しいかわからないお客様との話(男性美容部員のつぶやき#1)

「自分が何が欲しいかわからない」


昔化粧品売り場で働いていた時、こういう方が意外と多かった様に思います。

「流行っているから」
「みんながいいと言っているから」
「インフルエンサーの人がおすすめしていたから」

そういった理由で高額な商品がどんどん売れていく。
10代〜20代前半くらいの方はそれでまったく問題ないと思っています。
私自身もそのくらいの歳だった頃は同年代の友人と同じものを持つことが大切でしたし。

どうなりたいかより、どう見られるかになってしまう


歳を重ねて30代半ばになってくると、わからなくなってくるんですよね。
「私の好きな色ってなんだっけ?」そんなレベルで自分の事が見えなくなる。恋人や会社での役割、周りの期待に応えてきた人ほどその傾向が強いと思っています。

「もう良い歳なんで」とか、「ちゃんとしなきゃと思って」とか、「周りはもう結婚してて」とか、そんな理由で「いいかどうかはわからないけど」買う。そんな方が沢山いたように思います。

あるお客様の話

そんな中で特に覚えているのが、40代半ばの一人のお客様でした。
当時品切れが続いていた大人気の商品を購入希望だったのですが、私はなんとなく話を聞いてみたいと思ってカウンターにお掛けいただきました。

「何かでご覧頂いてたんですか?」
「人気だって聞いたので、購入しようと思ったんです」

肌にあってるとか、似合うだとか以前に
自分がどうなりたいのか、どんなメイクが好きなのかわからない。
最終的にそんなお話しになったと思います。

ご希望の商品はいわゆる「モテる」と言う謳い文句でバズった商品だったので、私もおすすめしませんでしたし。結局お客様も買わずにお帰りになりました。

「あ、素敵だなって思うメイク写真を今度見せてもらえませんか?」
最後にこんな感じのことをお伝えした気がします。

それからしばらく経って私のところにそのお客様が訪ねてきました。
「試したいものがあって」

スマホを取り出したお客様が見せてくださったのは
真っ黒のアイラインで囲んだロックなメイクアップでした。

最終的にお客様が選んだのは「モテる可愛い色」ではなく「漆黒」。
綺麗にブローされていた髪を結んで帰られました。

羨ましいな。そんな気持ちでお見送りしました。
いつの間にか自分も「自分の好き」より「人からどうみられるか」を
色々気にして、自分の好きがわからなくなってしまっていたので。

まとめ


どれだけ化粧品の知識があっても、
どれだけメイクアップのスキルがあっても、
自分のやりたいことを堂々とやる。自分の好きを貫ける人には勝てません

みなさんは自分が何が好きで、どんな自分になりたいか。答えられますか?











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