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因縁の対決 近江vs大阪桐蔭 センバツ決勝戦 ドラマチックに見どころ紹介

第94回選抜高校野球
決勝戦
近江(滋賀) vs 大阪桐蔭(大阪)

昨夏のリベンジマッチ!
甲子園の魔物が描く結末とは!?

116球

雨で試合が順延されず3/31に決勝戦が行われた場合、それが近江のエース山田に許された投球数である。

昨年から適用された1週間500球という球数制限。昨年春は中京大中京の畔柳投手。そして夏の2例目に引き続き、3例目も対象者は近江山田となった。

下記は浦和学院との激闘後の近江多賀監督のインタビューである。

「死球受けてから彼の気迫の投球にベンチで涙が止まらなかった。球数もいってましたし、このまま投げさせていていいのかなっていう、僕が決断せないかんという気持ちと、でも山田が本当に気迫の投球をしてくれてたんで…すごい男やと思います。もう感動しました、本当に」

山田の起用法に対する賛否は当然あるだろう、そして多賀監督も当然その事はご存知だ。
何しろ複数投手制を積極的に作戦として取りいれるようになったのは2001年の多賀監督自身からなのだから。

大阪桐蔭の誘いを断って、地元滋賀県の近江に入学した山田陽翔

決勝で投手・山田の登板があるのかどうかは分からない。ただ間違いなく言えるのは、116球で大阪桐蔭相手に省エネで完投するのはおそらく不可能だと言うことだ。
つまり予定通り3/31に決勝戦が行われた場合、近江はリリーフ陣に登板する機会がくると言う事だ。

仮に球数制限が無いとしても、山田には浦和学院戦の5回に受けた死球の影響もあるだろう。
よって近江が大阪桐蔭に勝利するためには、サウスポー星野をはじめとするリリーフ陣の好投が絶対条件となるのは否めない。

対する大阪桐蔭は昨年の夏、甲子園で敗れた相手、つまり公式戦で最後に敗れた相手が近江である。そしてその試合で先発していたのが山田である。

昨年夏の2回戦の近江戦、4-4で迎えた8回裏。近江打線に捕まって決勝点を失ったのが大阪桐蔭の当時2年だった川原だ。
当然、川原をはじめ現在の3年生は近江、そして山田陽翔に雪辱を果たしたい思いが強いだろう。

この決勝はそんな色々な思いが込められた対戦となる。

決勝戦の見どころ

戦力的には大阪桐蔭が上回る。
そして「余力」という観点を含むと、相当大阪桐蔭が優位と言わざるを得ない。

浦和学院戦で170球を投げ、左足に死球を受けたエース山田が先発出来るのかどうか。
そして先発させるのかどうか。
これが最大のポイントになるだろう。

現在の大阪桐蔭打線はご存知の通り絶好調と言える。
準決勝の国学院久我山戦では今大会当たりが止まっていた3番の松尾も5打数4安打1本塁打という文句のない成績を残した。
伊藤、松尾、丸山、海老根と上位から下位までスター選手が揃い、なおかつ全員が当たっている。全く隙の無い打線に仕上がったと言えるだろう。
昨年夏に唯一レギュラーとして山田と対戦し、本塁打を打っている松尾の復調は近江戦に向けて非常にポジティブな材料だ。
ただここまでノーエラーだった大阪桐蔭が準決勝では珍しく4エラーを記録している。
ミスで相手に流れを渡す展開は避けたいところだろう。

対する近江も打線は上り調子だ。
1番津田、3番中瀬は相変わらず好調で、浦和学院戦では特に下位打線が活躍した。
その要因は逆方向に逆らわないバッティングが徹底されていたことだ。
懸念点は4番山田が不振な点、そしてバント失敗の多さだ。

投手力に関しても大阪桐蔭が上回る。
左打者の多い近江に対して、決勝戦の先発は背番号11の2年生サウスポー前田であると予測される。前回登板した市和歌山戦では6回を1安打12奪三振と付け入る隙を与えなかった。
決勝は中2日空いての登板で余力はたっぷりあるだろう。
リリーフに控える川原、別所も昨年の悔しい思いを知るだけに、近江戦に向けてのモチベーションは高いはずだ。

対する近江は山田が投げられたとしても、連投の疲れと足の状態から本調子である可能性は高くないだろう。また重要な役割となるリリーフ陣はまだ甲子園での登板がなく、本来の実力を発揮できるかは未知数だ。

上記から考えると、今回の対戦で近江が大阪桐蔭に勝つのはなかなか難しい。むしろ大阪桐蔭を破れば奇跡に近い出来事とも言えるのではないだろうか。

しかし、しかしである。

この近江は過去に何度も奇跡を起こしてきたチームだ。そもそも、今大会に出場している事自体が奇跡的とも言える。

「奇跡」

大阪桐蔭が最も警戒するのはここではないだろうか。

「甲子園には魔物がいる」
過去に何度も言われてきた言葉だ。

きまぐれに甲子園に現れる「魔物」と呼ばれる存在。

「近江高校の持つドラマ性」
「山田陽翔という男の主人公感」
「もし近江が勝てば奇跡という状況」

甲子園の決勝戦、舞台は整った

甲子園の魔物は94回目のセンバツにどんなラストシーンを用意しているのだろうか?

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