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メーカーに就職したら、文系でも商品開発に関わる仕事が面白い。

「お前、ほんとに使えないな」

馴染めなかった東京支社での1年半を経て、豊田市にある本社へ異動してからの仕事は充実していました。

リクルーターとして採用してくれた優しい先輩の下で働けることになりました。私は、メールで資料をお願いされると、何も書かずに資料だけ添付するほど、常識のない人間でした。また、エクセルのシートをまたぐリンクさえ知りませんでした。ペーパー・ドライバーで、車の知識も皆無でした。

「お前、ほんと使えないな」と悪態をつかれながらも、商品企画の仕事を教えてもらいました。

文系でメーカーに就職して、エンジニアと働ける喜び

上司にも恵まれましたが、技術部の方と仕事ができたことも、東京での生活を捨てて、豊田市に異動した甲斐がありました。職場の先輩が、「文系としてメーカーに入社して、唯一商品に関われるのがうちのチームだ」と言っていました。

技術部の中でも、チーフエンジニアは、自分の直属の部下だけでなく、営業、経理、生産等、多くのチームをリードしていく仕事です。車を買うと、カタログの最初に「チーフエンジニアからのメッセージ」が載っています。「この人に、『ありがとう』、と言われるだけで嬉しい」、と感じさせられるような人ばかりでした。

中でも、新規車種、『iQ』の立ち上げに関われたことは、得がたい経験となりました。ヨーロッパの4都市でターゲットユーザーにマーケティング調査を行いました。

デザイナーと一緒に、マジックミラー越しにヨーロッパ人がデザイン案に関する意見を言っているのを聞いていました。そのデザイナーは『Aygo』という既存の車種も担当していました。彼が描いた『iQ』の案に対し、イタリア人が「これはトヨタのAygoにそっくり。Aygoって本当にダサいデザイン」と発言しました。すると、デザイナー自身が「あいつ殺す」と言いました。

また彼は、出張中に同じ革靴を2足持ってきていると話していました。

「さすがデザイナーはおしゃれだな」、と思っていたその直後、一緒にパリでタクシーから降りた瞬間、彼は犬の糞を踏んだのです。そんな真面目で優秀なのにどこかずれていて面白い人が技術部には多かったです。

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