ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第149わ「続・雪花石膏のゲーム」
(承前)
「……そうでしたか。ダンナは盤面を見ないとチェスが出来ない人でしたか。文字通りに身動きもとれない状態で提案するぐらいですから、てっきり目隠しチェスにも堪能しているものかとばかり……」
無茶を言うな、と言いかけて思いとどまった。そういう芸当が可能な人間が親族にいるのを思い出したからだ。……我が祖父。関連する記憶が連鎖して甦る。俺がチェスを知った契機は幼少期に母親の実家で年代物の、それも石製のチェスセットを発見したことにあった。競技用の樹脂製ではない、一般的な木製の