ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第147わ「徹底抗戦」
時間逼迫、チェックメイト。……答えは既にそこにあった。チェスだ。思考力、視界、塞がれていない口、それから相手の協力さえあれば手足が不自由だろうともチェスは出来る。囲碁や将棋も悪くはないが、吸血鬼の貴族に「ルールが分からないので却下です」と言われるリスクは無視できない。
「へ?……チェスですか?私と、ダンナで?」
意表を突かれたという感じの吸血女の表情と声。チェス盤と駒ぐらいなら用意できるだろうに。それとも悠久の時を過ごす吸血鬼はチェスにさえ飽きて興味が失せたとでもいうのだろうか。
「やや、その、異存は無いのですが。ちょっと恥ずかしいですね、こういうのって……」
チェスをするのは恥ずかしい?何故だ?
「話すと長くなるのですが、私が自分で狩りも出来ない幼体だった頃に世話役からニンゲンの遊戯を一通り叩き込まれた時期がありまして。喩えるなら高校生になっておままごとをやるようなものだと言えば、どうでしょう?」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?