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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第144わ「高潔、あるいは高慢ちき」

(承前)

「なるほど。つまり、こういうことですか。私に、あなた方の❝おこぼれ❞に与ればいいと……」

吸血鬼の薬指と小指が氷柱のように伸びた、と思う間も無かった。二匹のマンハントが額を貫かれて黒い体液を流しながら許しを乞うように床に両膝をついている。吸血女が両手を叩くと、見えざる何かに引きずられるような、操り人形のような歩き方で二匹のマンハントは部屋から退出した。

「……というワケで。全身の筋肉と骨がズタズタで要介護なダンナの世話は私が見させていただきます。異存はありますか?ありませんね?」

異存は無いが、質問はいいか?お前が俺の世話をしている間、❝ゲーム❞はどうなる?

「ヴェテランの私は有給休暇が溜まっているので問題ありません。勝っても負けても私の❝ゲーム❞は今回で最後になるので出し惜しみは致しませんよ」

じゃあ次の質問。吸血鬼の貴族に俺の世話なんて出来るのか?

「……大丈夫です!私には実績がありますのでね!」

(続く)

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