ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第43わ「その双眸に」
(承前)
何処からともなく取り出したるナイフを握り、相棒は自分の胸を一突きにしようとしている。十中八九、泣いているのは演技だと思う。吸血鬼がナイフで死ぬとも考えづらい。しかし、ここで彼女との関係が悪化すれば❝ゲーム❞に勝ち続けて生き残ることは厳しいだろう。仕方ない、ここは騙されたフリをするしかない。吸血鬼の目玉を受け入れることにした。
「ひっく。わ、分かってくれればいいんです。分かってくれれば」
跪いて、差し出された眼球に顔を近づける。目玉の怪物(そうとしか思えない)は