ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第31わ「新たなるステージへ」
(承前)
「そうですか。つまりダンナは、そういう方だったんですね」
買い物を中断されて機嫌が悪くなったようだ。しかし気にしてはいけない。どのみち買い物を続けようが機嫌を損ねるような吸血鬼の顔色など窺っている余裕は無い。
「銀の弾丸専用の銃器は電話での注文では買えません!我々ハントマンを脅かしかねない危険物ですからね。厳重に守られた聖域でのみ、授かることが認められています」
その聖域へ案内してくれ。そう言うとヘソを曲げていた相棒が一瞬で真顔になって、こちらに向き直った。部屋の空気が張り詰めたような感覚。まずい事を言ったか。俺には聖域へ踏み入れる資格が無いということだろうか。
「聖域は危険な場所です。あまり気が進みません。考え直してみてくれませんか?」
相棒の不機嫌は既に消え失せている。知り合って数日しか経っていないのに、こんな感慨を抱くのは妙な話かもしれないが───、こんな表情の相棒は初めて見たような気がする。
(続く)
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