ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第32わ「聖なる武器と聖域の魔女」
(承前)
聖域には危険が待つと相棒は言う。強い武器を求めるならば、それに見合う資質があると証明しなければいけないということか。神話的な英雄であれば、それを聞いて大いに奮起するところではあるだろうが……。凡人の俺はと言えば尻込みするばかりである。ちなみに危険とは具体的に、どういったものがあるのでしょうか?
「魔女です。意地悪な魔女のおばあさんが待ち構えています」
魔女の婆さん。───些か「聖域」という言葉の持つイメージとは不釣り合いにも思える。それも正真正銘の吸血鬼が恐れる老婆と来たか。そんなに恐ろしい婆さんなのか。
「恐ろしいなんてものではありません!彼女が指を一つ鳴らせば貴方の首が飛ぶんですよ!?二つ鳴らせば私の首も以下同文!」
❝ゲーム❞では怖い物知らずの相棒が、部屋の隅で小さくなって震えている。これは生半可な覚悟で挑んではならない試練のようだ。
「……行くんですか!?私の話は聞いてなかったんですね!?」
(続く)
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