ジブリ映画における例の巨大生物についての考察〜先の大戦とモンゴルオオダヌキの歴史〜
スタジオジブリの代表作として長く国民に愛され続けている「となりのトトロ」。愛くるしい姿のトトロと二人の少女との出会いを描いた温かみあふれる作品。なんて今更トトロの説明はいいでしょう。
しかし僕はその国民的キャラクターのトトロに対して、モヤモヤとした疑問を長年抱いている。
「結局、あの巨大生物ってなんだったんすかね」
森の中で眠るトトロと少女メイが初めて出会うシーン。メイがその謎の巨大生物に名前を尋ねる。名を聞かれたその生物は大きな口をあけてこう答える。
ウオァォ ツウオァゥ ルオアウゥォォォ
そしてそれを聞いたメイはこう叫ぶ。
トトロね!あなたトトロっていうのね!
そうやって巨大生物は暫定的に命名される。トトロ。
というわけで、巨大生物がうぉーがぉー叫んでるのを、メイちゃんが「あ、トトロっていうんすね」と半ば勝手に解釈しただけであって、あの生物は何者なのか、結局のところ何も分かっていない。
では、あの巨大生物の正体は何なのか。未確認生物「UMA」なのか。そこで僕はその生物に対して、独断と偏見を持って、ある一つの仮説を打ち立てた。以下、エビデンスはありませんので悪しからず。
仮説「モンゴルオオダヌキ説」
これはその生物がタヌキ科の哺乳類に非常に酷似していて、なおかつ狭い日本の自然環境ではありえない巨体を保持しているという二つの観点から導き出したものである。
ではなぜモンゴルなのか。
モンゴルの砂漠の厳しい環境ではタヌキのような哺乳類は元来生息しないはずである。しかしもし古代のある時点でタヌキ科の生物が広大な砂漠の中にある理由で取り残されて、そこで生き抜くという選択肢しか残されなくなったと考えよう。
水分の少ない砂漠でタヌキたちは渇きをしのぐため体内に大量の水分を貯蓄して巨大化し、そしてそこで現在に至るまで繁殖を繰り返していたのだ。
それこそが「トトロ」の正体である。「トトロ」とはモンゴルの砂漠で育った環境適応能力に秀でたタヌキの最終進化形なのだ。
ではなぜモンゴルの砂漠にいるはずのその生物が日本の森の中にいたのか。
話は太平洋戦争中の1939年にさかのぼる。
その年にモンゴルではある大きな事件が起こっている。
ノモンハン事件
歴史上そう呼ばれているその事件は、満州国とモンゴル人民共和国の国境ノモンハンで起こった日ソ両軍の国境紛争事件である。
その当時の関東軍に、外蒙古の生物生態系の研究のために派遣された一人の軍曹がいた。その軍曹の任務はモンゴルと満州の国境周辺の生態系を調査してその結果を関東軍本部に提出することだった。
そこでその軍曹はノモンハンの戦争により砂漠を追われた一体の巨大生物を目撃する。いまだかつて見たことのないその生物は、タヌキのように全身をなめらかな毛におおわれ、短い脚を懸命に動かしてモンゴルの国境付近を移動していたのだ。軍曹はあわててその生物を写真に収めて本部に提出した。
数日後、本部から返事が届いた。
「外蒙古ニ生息スル謎ノ巨大生物ヲ捕獲シテ早急ニ日本ニ送ルベシ。」
さっそく外蒙古でその軍曹を中心とした未確認巨大生物捕獲部隊が結成され、大がかりな捜査が開始された。1939年8月のことである。
その巨大な姿を見つけ出すのに彼らはさほど苦労はしなかった。捜査開始から3日後、最初に軍曹がその生物を目撃した地点から14キロ離れた砂漠の中で無事巨大生物は捕獲された。
すぐさま巨大生物は飛行機で日本に搬送され、研究が開始された。
当時の研究にあたった生物学者は、その巨大生物を学名「モンゴルオオダヌキ」と名づけ、高い柵に囲まれた檻の中で飼育、研究がすすめられた。
研究の結果、モンゴルオオダヌキは体内に大量の水を蓄えていること、基本的に夜行性であること、日本のタヌキに比べて知能が非常に高いことがわかった。
しかし、研究13日目、事件は起こった。朝研究チームの一人がその檻に行くと、モンゴルオオダヌキの姿がどこにもなかったのだ。
彼らはその生物の高い生態能力をまだ十分に把握していなかった。
そう、モンゴルオオダヌキは、飛べたのだ。
その後決死の捜索が行われたが、結局モンゴルオオダヌキは発見されず、太平洋戦争の激化のために捜索は打ち切られた。
モンゴルオオダヌキは、その後表の歴史に登場することはなかった。
では研究所から逃げ出した巨大生物はどこに行ったのか。
そう、人里離れた山の中に隠れ住んでいたのだ。脅威の環境適応力をもったその生物は、日本の自然にすぐさま適応していき、そこでひっそりと生き続けていたのだ。
高い知能を持つモンゴルオオダヌキは、先の捕獲により人間への警戒心をより強めて、人間のほとんど近づかない山奥で静かにその余生を送っていたのだ・・・
一人の少女に、出会うまでは・・・・
・・・・トトロね!
・・・・あなたトトロっていうのね!
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