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捨てる神あれば拾う神あり

今週,わたしは1つの職場を卒業した。

本当は,勤務日が1日残っていたけれど,あんまりにも理不尽な働き方だったので,その日を前に退職をすることにした。

空いた時間は,大好きなところへでかけることにして,支度をしていたら,電話がかかってきた。

電話の主は,新しい職場からの電話だった。

捨てる神あれば拾う神あり,とはよく言ったもので,仕事の枠をもう少し増やせないかとのことだった。

まさに,渡りに船。願ったり叶ったり。

わたしが思い描いていた勤務条件だったので,お引受けすることにした。

わたしが葬り去った職場は,はっきり言って,ブラックだった。

3年間務めたけれど,一緒にチームを組んだ先生が契約を更新せずに,どんどん辞めていく。

上記の記事に書いたけれど,ブラック職場の条件は8つがある。

職務の乱れ4条件とは

中でも,わたしが勤めていた職場は,「職務の乱れ」4条件にガッツリあてはまっていた。

それはこうだ。

条件1 ソーシャルサポートがない                   条件2 仕事のコントロール権がない
条件3 組織内に不公平が多い
条件4 雇用が不安定

その内,わたしが勤めていた職場は,「職務の乱れ」4条件に全て当てはまっていた。最悪過ぎて泣けてくる。

具体的に4つの条件を順に,検証してみよう!

って,張り切っているのは,お前だけだって話だけど,まぁ,よかったら,お付き合いください。

条件1 ソーシャルサポートがない

幸い,今年度は新しい生活様式とやらで,先行きの見えない勤務体制になり,けっこうな波をかぶった。

そう言う時,頼りになるのは,人的支援(サポート),つまり,条件2の「ソーシャルサポート」だ。

心理の仕事って,想像がつきにくいかもしれないが,クライエントの自己実現をサポートするものだ。

クライエントを支援するには,カウンセラー自らも守られていなければならない。

その守りの1つが「つながり」,人的サポート,もっといえば「関係性」。

ラッキーだったのは,新しく入職した先生たちと3年目にして,横のつながりができた。

職場の関係性は,学生時代と違って,「学校」という社会の中で,「好き嫌い」で関係性を選べた友達ではない。

「たまたま」同じ職場で働く関係性に過ぎない。

だけど,人間の営む社会的なことって,すべては「関係性」でできている。

仕事だって,恋愛だって,家族だって,ボランティアだって,みんなそう。

ただし,家族は,血縁というつながりは,好きだろうが嫌いだろうが切れない関係性で特殊だ。

それ以外は,切れるから,慎重に関係性をつないだり,紡いだり,いろいろだ。

だからこそ,関係性に問題が生じて,心理士のもとに相談にやってくる。

心理士は,その問題を言葉を使ったり,言葉を使わなかったり(非言語),さまざまな心理アプローチで,クライエントと一緒に解決へと伴走する。

2行で済ませるほど,簡単な仕事ではない。

大学院を修了して,駆け出しの心理士となった修行時代は,全ての事例(ケース)が初めてできつかった。

そんな時,大学院の仲間たちとクローズドで愚痴をいいあったり,スーパーバイズといって,自分の抱えている困難ケースをスーパーバイザーのカウンセラーのためのカウンセラーに相談できるしくみに助けられた。

スーパーバイザーの先生は,自分の出身大学の教授が破格の値段でやってくれたり,職場で紹介してくれたり,自分で見つけたりする。

こうして,心理士たちは守られて育てられていく。

だけど,今回退職した職場には,スーパーバイザー制度がなかった。

なので,横の繋がりでカバーするしかないのだけど,これがまた,同僚だからといって,何でも話せるわけでもないのだ。

結局は,お互いの人間性というか,平たく言ってしまえば,好み。

この先生とは,うまくやっていけるなぁと思わなければ,積極的に距離を縮めたくない。

条件2 仕事のコントロール権がない

そんなことを仲良くなった心理の先生と喋るくらいの余裕が今年は,感染症対策のおかげでできた。

それまで,相談に次ぐ相談が入っていて,喋る時間すらなかったから。

おもいっきり,条件2「仕事のコントロール権がない」のだ。

あまりにひどいので,他のスタッフが「これじゃあ,いくらなんでも,先生がかわいそうよ」とセーブの要請を加勢してくれ,一時は,激務が減った。

だけど,またいつのまにか,セーブボタンはなくなって,バンバカ,依頼が入ってきた。

ええええええええええええ?

感染症対策じゃないの?

あまりにもひどいので,ある小細工をもう1人の先生と共謀してみたのだが,あっさり覆されたこともあった。

条件3 組織内に不公平が多い

そんなわけで,関係性ができたおかげで,横の情報が入ってきた。

どうやら,わたしが勤めていたところは,同じ勤務条件なのに,とりわけ,ひどく仕事量が多いところだったらしく,あまりの差に絶句した。

「ええ?これがスタンダードだと思ってましたけど?」

お互いにそう思っていたみたいだ。

そりゃ,ちんたら(言ってしまった)仕事している人とその2倍の仕事をさせられている人で,同じ勤務条件なのに仕事量の差ができるわけである。

不公平だ,不公平すぎる。

なんで,2倍の仕事をしなくてはいけないのだ!しかも,別のところでは,そんなに仕事量もないのに,同じ勤務条件だなんて!理不尽だ!

状況判断ができ,力のある先生と組む時は,同じスピードでばっさばっさ仕事をさばいていけるのだけど,そうじゃない時は最悪だった。

仕事を振り分けてくれるマネジメント役がいないので,ちんたら先生と組むことになってしまったら,自分でコントロールするしかない。

そうじゃなければ,2倍の仕事が待っている。

スピード化ができない先生,つまり,依頼者のニードに寄り添うことはdけいても,職場のニードを把握できないタイプの先生は,自滅した。

だんだん,口数が少なくなっていって,顔色が紫になっていき,目線もうつろ。

それでも仕事に出てくれる先生はマシで,いきなり当日,行方をくらませた先生も別の職場でいたらしい。

条件4 雇用が不安定

こうなると,ちまちまとこんなところで,ぶつくさいっていないで,改革すればいいのに。

そう思うだろう。しょせん,浮き草稼業の心理士は,そんなことを言えない。

これは心理士という仕事そのものに,共通することなのだけど,条件4「雇用が不安定」なのだ。

この仕事そのものの構造的な問題がある。

大学院修士課程まで出ないと臨床心理士試験さえ受験できないのだけど,なにせ薄給だ。

これは,わたしが大学院に進学する前からずっとある社会構造の問題で,大学院入試を臨床心理学の先生に相談しに行った時も,こう言われた。

「やめときなさい」

「そうか!頑張ってね」と,応援してくれるのかと思って期待していたら,臨床の先生は,おどおど伏し目がちに,言うのだ。

それでも臨床心理の仕事をしたい!そんな野望に燃えた変人か,高等遊民ライフを許してくれるお家でないと,心理学の大学院進学はできない。

これは,教員の世界も同じだ。

教育学や心理学は,全体的に女子の比率が高くなる。

これは,教員や心理士では,食べていけないからだ。

そういえば,指導教授が何度も行ってたっけ。

「ロイヤルさん,1度でいいから,公務員になっておきなさい。共済組合で退職後が違うから」

あるいは

「ロイヤルさん,あなたお付き合いしている人はいるの。大学院の内に結婚しておきなさい」

今でこそ,セクハラになるのだろうけど,でも,わかる。

弟子がみすみす,薄給の心理士なったら,稼げないからだ。

「あなたたち,臨床心理士はかわいそうね。わたしたち,社会心理学なんて,企業相手のコンサルティングで,1000万は超えるわよ」

大学院の博士課程の時,社会心理学のゼミで,教授はわたしたち臨床心理系の学生を前に,そう言った。

あまりに不憫に思ったのか,教授は研究室の門下生でもないのに,わたしたち臨床系の学生をホームパーティに呼んで下さったり,レストランで食事をごちそうして下さった。

こうして,心理士の卵たちは,すでに学生の時から,その浮草稼業っぷりを危惧され,なったらなったで,やはり浮き草のように漂う。

だが,捨てる神あれば拾う神と言ったもので,1つの職場を辞めても,この横のつながりで,仕事を紹介されるので,そんなに困ったことにならない。

全ては「つながり」という関係性だ。

それを実感する浮き草稼業である。

ああ,ブラック職場を辞められてスッキリした!

言いたいことは,これしかない。

こんなかんじで悪条件でも働いちゃう,ヘルパーズハイなマゾ体質なのが心理士なわけで。あなたのスキルアップのために頑張っちゃいます!スキルアップしたいなら,インテグラルMAPを使うといいですよ!心理士がガッツリあなたのスキルをチェックして,調和をアドバイスします!








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