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母との日々

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2021年4月の記事一覧

初めてのフェリー(5)学会でF&Cとニアミス

初めてのフェリー(5)学会でF&Cとニアミス

1996年に学会でロンドンに行ったときには、もう少しでフィッシュアンドチップスに遭遇できそうなところまで行った。

学会では、さまざまな催しが行われるのだが、企業などの展示ブースと抱き合わせでちょっとした飲食コーナーな展示即売会などが行われることがある。ロンドンのこの学会のときは、なんとイギリスの名物料理ということで、紅茶やスコーンとならんでフィッシュアンドチップスの屋台が出店していたのである。

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読書感想文

読書感想文

いつも、noteの投稿ページを開くと、読書感想文を書きましょう、と言われるので、苦手だった小学校の作文の時間を思い出して憂鬱な気分になる。小学生の頃は、作文が大嫌いだったのである。

文章を書き始めたのは中学のときで、誰に言われたわけでもなく、小説を書こうと思い立ったのだった。うろ覚えの記憶によれば、筒井康隆を読んで、もっと正確にいえば、SFマガジンを買い、そこに筒井康隆が『脱走と追跡のサンバ』を

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ひとりで幼稚園(4)母の忘れ物

ひとりで幼稚園(4)母の忘れ物

「アイちゃんを忘れてきちゃったことは、話したかしら?」と母が言った。アイちゃんというのは、わたしの妹のことである。

どうしてわたしが、ひとりで遠く離れた幼稚園に通うことになったのか、母に聞いたときのことだった。ふっと思い出したように母が話し始めたのである。

「えっ?」とわたしは聞き返したが、そういえばはるか昔にそんなはなしを聞いたこともあったかもしれない、とぼんやり考えていた。

そもそも、わ

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初めてのフェリー(6)赤毛でそばかすの女子高生

初めてのフェリー(6)赤毛でそばかすの女子高生

いつまでたってもフェリーに乗らないので、実は乗らなかったのではないかと思い始めているかもしれないが、もちろんそんなことはない。フィッシュアンドチップスの話はいずれ書くことにして、フェリーに乗った話を書くことにしよう。

結局、日も暮れてきて、まだ英国の雰囲気がよくわからず、下手に町をさまよい歩いていると強盗にでも会うのではないかと思い、フェリーの待合室で出発を待つことにしたのだったが、フェリーはな

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