恩師急逝 会いたい人には会う、先延ばししない

自分が目標にしたいと思っている先輩女子が何人かいます。
5年後、10年後、どんな風にありたいかを考える上での一つのイメージとして。
松本すみ子さんはその一人でした。
一昨年、東京都がやっているセカンドキャリア塾に参加した時に出会いました。
松本さんは、その講師の一人だったのです。

塾中はコロナ禍でクラス内交流が難しかった時期。
クラスに呼びかけをしたいと相談したら、背中を押してくれました。
また、私が2016年から始めた定年女子トーク実行委員会の活動についても興味を示してくださり、塾修了後も応援し続けてくれました。
イベントを後援してくれたこともあったし、先生の講座を受けた人が、そこから私たちにアクセスすることもありました。

一方で先生からも、clubhouseを始めたいんだけど、どうやって始めたらいいか教えてくれる?と相談があったことも。

昨年末、NHK Eテレ「あしたも晴れ!人生レシピ」にコメンテーターとして出演されると聞いていました。
松本さんのフェイスブックでは収録時に撮った賀来千香子さんとのショットもアップされていました。
放映は2月4日、再放送が11日。
私は再放送を楽しく見たばかりでした。

松本先生急逝の連絡を受けたのは、ひな祭りの前日、3月2日。
NHKの番組の放映日翌日に亡くなられたそうです。
教えてくれたのは定年女子トークのメンバーで、その時初めて、彼女が松本さんから定年女子トークを紹介されたことを知りました。
あまりの驚き、びっくりで声が出ませんでした。
でも、もしかしたら、一番驚いているのは、先生ご本人かもしれません。
まだ70歳を超えたばかりで、あまりに早すぎます。
先生はとてもお元気な方で、声にも張りがあり、小柄なのにどこにそんなエネルギーがあるのだろうと、思うくらいでした。

私は、会社に入って19年間、最年長女子社員でした。
先輩はたくさんいたけれど、女性の先輩はいなかった。
中小企業でもあり、女性が働き続けていくとどうなるのか、ロールモデルは不在。
社内の女性の道は私が作ってきたという自負はあったけれど、自分自身の未来は見えず、常に目隠して走っているような気分。
一定の年齢までは給与や昇進などは原則男女は同じだったけれど、そこから先は・・・・。会社における未来のポジションなど見えませんでした。
現役時代、自身が将来どうありたいか、どんな働き方をしたいか。そう考えるときに、私はいつも見えないロールモデルを探していたような気がします。

松本すみ子さんは私より10年くらいお姉さん。現役時代はコンピュータ会社の広報部門で働いていたそうなので、広告業界で25年間働いてきた私から見ると少し近い感じ。初めてお目にかかったのは2020年のセカンドキャリア塾でしたが、私は勝手に親近感を覚え、ロールモデルの一人にしていたのかもしれません。

セカンドキャリア塾修了後は、私と松本先生とはオンラインばかりで、一度もお目にかかっていませんでした。
コロナが落ち着いたら、お目にかかってきちんと御礼を言うつもりだったのに。
先生は美味しいもの好きだったから、一緒に美味しいものを食べに行きたかったのに。
今、考えると悔やまれることが多々あります。

いつかそのうち・・・。
そんなことを言っていると、取り返しがつかなくなることがいっぱいあると痛感します。
だから「終活」が大事なのだと、私はいつも言ってきたくせに・・・。
今、思ったことは、本当に先延ばししないようにせねば、です。

コロナ禍のせいで、私たちは大事な機会をじわじわと失っているようです。
オンラインが当たり前になり、直接お目にかかる大事な機会を作りにくくなるだけでなく、そういう機会を作ることに対して、いつのまにか億劫になっている自分もいます。
私たちはつい、楽な方に楽な方に流れていく。
会いたい人には会う。
御礼を言いたい人には会って御礼を言う。
そういうことすら、コロナ禍もあって楽な方に流れていっているのだなあ。コロナの弊害でますます楽な方に流れているのだとしたら、本当に先延ばししてはいけないのだ、と改めて思ってしまうのです。

松本すみ子先生のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

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