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Courseraで「Emotional Intelligence(感情的知性)によって人をインスパイア(鼓舞)するリーダーシップ」コースを受けてみた

こんにちは。me:Rise公認サポーターの渡邊です。

リーダーシップに関する本やネットの記事で、「リーダーを目指す人は、まず己を知ることから始めよ!」といった内容を目にします。

その根拠についてネットで検索してみたのですが、参考文献リストつきの研究論文等がなかなか見つからず、ふと思い立ってCoursera(世界最高峰の大学の講義を誰でも一部無償でオンライン上で受けられるWebサービス)で、リーダーシップとセルフアウェアネスの2つのキーワードで講座を探してみました。

そこで見つけたのが、Case Western Reserve Universityが提供している「Inspired Leadership」(飛びぬけて素晴らしいリーダーシップ)の専門講座。

この講座は以下の全5コースで構成されています。

コース1:Inspiring Leadership through Emotional Intelligence
コース2:Women in Leadership: Inspiring Positive Change
コース3:Conversations That Inspire: Coaching Learning, Leadership and Change
コース4:Leading Positive Change through Appreciative Inquiry
コース5:Be a Leader, Develop a Leader

Courseraは、無料で受講できる聴講コースと月額料金を支払って受けるコース(必須課題の提出と規程のスコア以上でQuizをパスすると修了書がもらえる)の2つのコースがあります。

今回は、組織行動、心理学、認知科学、その中でもEmotional Intelligence (感情的知性)の分野で著名なDr. Richard Boyatzisが教える「Inspiring Leadership through Emotional Intelligence」(感情的知性によって人をインスパイアするリーダーシップ)を聴講した内容の一部と私の私的な感想をご紹介します。

Inspiring Leadership through Emotional Intelligence (感情的知性によって人をインスパイアするリーダーシップ)コースのシラバス

Week1:Resonant Leadership and the Neuroscience Behind It
Week2:Renewal As An Antidote to Chronic Stress
Week3:Emotional Intelligence and Its Link to Leadership
Week4:Inspiring and Motivating Sustained Development, Growth and Learning
Week5: Coaching with Compassion to Inspire Sustained Learning and Development
Week6: Inspiring Change Through Hope & Vision
Week7: The Multilevel Nature of Sustained, Desired Change
Week8: The Real Self and Learning Agenda

講義内容の話に入る前に、プログラムの構成についてご紹介したいと思います。

Week毎の内容は3つのModuleに分かれており、聴講コースの多くの場合において、各Moduleは以下の5つのステップで進みます。

①講義動画視聴(10分以内)
動画の中でExerciseやワークがある場合は、動画を一時停止をして考えます。複数言語の字幕が用意されていますが、今回紹介している講座には日本語字幕はありません。ただし、全ての動画の英語のスクリプトが公開されているので、Google翻訳などを利用して日本語に翻訳すれば、英語が得意でない方も学ぶことは可能です。

②課題の提示
Moduleの内容に関連する読了必須文献、推奨文献、補足的参考文献、参考YouTube動画が提示されます。Webの記事やYouTube動画の場合は、URLをクリックすることで直接文献に飛べます。また、Personal Learning Journalと呼ばれる講義ノート(PDF)をダウンロード・印刷して、そこに講義メモや質問の回答を書き込むことで、あとで振り返りができる自分用のノートを作成することができます。

③ディスカッション質問への投稿(任意)
テキストボックスに自分の考えを入力して送信するとディスカッションフォーラムに投稿されます。他の受講生の投稿を読むこともできます。

④テスト/Quiz(75%~80%以上の正解で合格)


ここからは、このコースの軸となっているDr. Richard Boyatzisが提唱するIntentional Change Theory(意図的な変革論)を中心に講座の内容を簡単にご紹介します。

リーダーシップとは、相手と自分の周波数が合っているような、相手と共鳴し合う関係性を保っている状態
偉大なリーダーとは、Hope (希望)とVision(ビジョン)によって他者をInspire (人を鼓舞したりポジティブな影響を与える)し、Compassion (他者への思いやり・同情)をもって人に接することを周りにも広められる人
自分のポジティブな感情、ネガティブな感情は周りの人に伝わりやすい。EI(感情的知性)が低い人やマインドフルではない人(=例えば、自分の感情を理解できていない)は、自分の感情がどのように他人に伝わるのか理解できないため、自分が相手に与える影響を意図的に変化させることもできない。

したがって、組織にポジティブな影響を与える偉大なリーダーになるには、まず自分の思考パターンやスタイルを知り、自分のビジョンを持ち、他者にCompassionをもって接するためのEIを高める必要がある。
Intentional Change Theory(意図的な変革論)
持続的、長期的に望ましい変化を創る人間の行動モデル。

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このような変化 (moment of renewal)は、「5つの発見/Discovery」によってもたらせられます。次のステージへの移行は、Tipping Point(転換点)と呼ばれるPositive Emotional Attractor Experiences (副交感神経系が活性化されパフォーマンスを発揮しやすい状態になるポジティブな感情を生み出す経験)とNegative Emotional Attractor Experiences(交感神経系が活性化され、パフォーマンスを発揮しにくい状態を作り出すネガティブな感情を生み出す経験)の両方を行き来によって起こります

ステージ#1: Imagining Your Ideal Self and Creating a Personal Vision
Discovery#1. The Ideal Self (理想の自分)

意図的に変わるための最初のアウトプットは、理想の自分をイメージして、個人ビジョンを創ること。①理想の未来をイメージ②その理想の到達できるという希望を抱く③理想の未来を創るための自分の強みを含むコア・アイデンティティを知る

◆ステージ#2 Imagining Your Real Self
Discovery#2. The Real Self(本当の自分)
セルフイメージは自分自身の内面の理解と、他人からのフィードバックが混在したものです。人間は、相手が自分にどう映っているのかについて本人に率直にフィードバックすることを敬遠する傾向にあるため、自分の強みや弱みを確実に理解することは難しいのです。自分を過大/過少評価するバイアス(Over/Under Estimation Bias)には十分に注意しましょう。

◆ステージ#3 Find where my Ideal Self and Real Self are Similar
Ideal SelfとReal Selfが重なっている部分=自分の強みを見つけます。

◆ステージ#4 Find where my Ideal Self and Real Self are Different
Ideal SelfとReal Selfの間のギャップ=自分の弱みを見つけます。
いわば自分のPersonal Balance Sheetを作るようなイメージ。

◆ステージ#5 Building on Strengths while Reducing Gaps
Discovery#3. My Learning Agenda

Ideal Selfに近づくために、自己開発(Development)にフォーカスして計画を立てます。その際、自分の能力に対するポジティブな意思と理想の自分に近づくことへの希望・期待を抱くと効果的です。

計画を立てるにあたって、まず自分の計画スタイル(Planning Style)と学習スタイル(Learning Style)を知ることです。ここでは計画スタイルの例を紹介します。
・Objectives oriented planning(目的志向プランニング型): 具体的かつ計測可能なゴールを作るタイプ
・Domain and direction planning (領域・方向性設定型): ターゲットや期限を決めずに、進むべき方向性を考えるタイプ
・Task planning (タスク志向型): 最終的な状態を考えることを好まず、自分が行うアクションや行動を考えるタイプ
・Non-planners (無計画型): なるようになると計画を立てないタイプ

◆ステージ#6. Experimenting as a Leader and Practicing being a Leader
Discovery#4. Experimentation and practice
Discovery#5. Resonant relationships

自分が作ったLearning Agendaを実践してみます。
Dr. Richard Boyatzisの"We practice to the point of mastery in the sense"という言葉のとおり、単にできるようになるというレベルではなく、行動の結果を振り返り、リーダーとしてメンバーのコーチングやメンタリングを他人からも認められる高いレベルで無意識にできるようになるまで訓練を重ねます。
(ちなみに、このステージについてはコース2以降で学ぶ内容なので、ここでは実践的な内容はあまり触れられていませんでした)

コースを受講した私の感想を少しだけ共有します。

企業で強制的に実施されている1on1の失敗例を良く耳にしますが、リーダー自身が自分の思考や行動パターンを客観的に認識できないまま、どんなに傾聴スキルやコーチングの質問を学んでも、習慣的な話し方、聴き方を創り出している本人の内側の状態と一致していない為、わざとらしい不自然な1on1になったりしますよね。

価値観が多様化する部下やメンバーとコミュニケーションするうえで、自分のビジョンと言動が一致している自己一致した人間力と感情的知性を高めて、Compassionで人と繋がることがこれからのリーダーシップに絶対不可欠な時代になってきていると感じました。


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日本にいながらにして、理論を提唱した本人から実際の講義を自宅のソファで勉強することができるというのは贅沢ですね。意志さえあれば主体的になんでも学べる時代だと改めて実感しました。

普通の社会人生活ではあまり読むことのない学術論文の原文を読んだり、著名な企業で活躍しているリーダーの方の実例などに触れることで、多くの知識を知ることができました。Coursera以外の他のMOOCも含め、興味のある講義を受けてみたいと思います。

秋の夜長、読書も楽しい季節になってきましたが、MOOCで興味の幅や知識を広げてみてはいかがでしょうか。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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