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認知症のBPSD②と介護職にできること

アンバサダー企画も1ヵ月が経ちますが、未だにペースが掴めずにいるふじもんです…。

他のアンバサダーさんたちの投稿を毎日拝読していますが、単に知識の習得だけでなくテーマについて考えさせられるような内容ばかりです^^

前回の自分の投稿では認知症のBPSD(行動・心理症状)について解説していきました。

BPSDとは、アルツハイマー病など、脳の病気、損傷や脳以外の身体疾患を持った方が、ここでは特に記憶や認知機能に障害を持った方が、現実の生活に対応しようとしたときに引き起こされる症状のこと。

認知症の方の認識や心理症状を想像、理解して、その方と関わり合っていく。
これが介護職に求められていることです。

今回はその認知症の方を理解する1つの方法として、BPSDが出現する原因と、認知症の方にとって心地よい生活環境は何かということについて書いていきます。

前回の投稿はこちら

BPSDが出現する原因

認知症の方のBPSDの発現には2つの環境が大きく影響しています。それは内部環境と外部環境です。
ざっくり言えば、内部環境は身体的なこと、心理的なことです。
外部環境は生活環境と言い換えると分かりやすいかと思います。

まずは、内部環境について説明していきます。

内部環境・身体面の不調

身体的な不調があると、BPSDを発症しやすくなり、例えば、怒りっぽくなったり、不安になったりすることがあります。
具体的に身体面の不調とはどういったことでしょうか?

脱水や不眠、発熱、便秘や下痢などです。
また、適切な健康管理ができていないことによる血圧や血糖値の変動、電解質の異常
痛みや痒み、疲労や睡眠不足も身体面の不調に当たります。

この身体面の不調が内部環境の悪化に繋がり、BPSDを発症しやすくなってしまいます。

内部環境・こころの側面

以前の投稿で解説したように、認知症の方は認知機能が阻害されてしまうことにより、適切に認識したうえで適切な対応ができない状態のまま、色んな「わからない」出来事がどんどん起こっていくという世界にいます。

そんな世界にいると自信の喪失、不安や恐れによるストレスを感じてしまいます。また、自分自身のことが段々と分からなくなっていく感覚も出てきます。
そうなると、引きこもってしまったり、抑うつ的になったり、反対に自分を守るために攻撃したりという態度を取ってしまうかもしれません。

そんなこころのありようが、認知症の方のBPSDに繋がっていると考えられています。

外部環境の変化

外部環境はどういった要素なのか?
例えば、生活する際の周囲の音や光などもその1つです。
騒がしいのか、落ち着いているのか?薄暗いのか、明るいのか?点滅しているのか?壁に映る影などもそうです。
また、空気感や生活感、部屋の広さや温度なども外部環境と言えます。

これらの外部環境が、認知症の方にとって不快なものになってしまうとBPSDを誘発させてしまいます。

また、認知症の方と関わる介護スタッフ、家族といった人たちも外部環境として捉えます。
本人と関わるスタッフの人数。そのスタッフが自分(認知症の人)に対してどんな発言や対応をするのか?これが外部要因の例です。

スタッフからきつい口調で責められた、無視された、家族から見捨てられたりというように認知症の方が感じると、萎縮したりそれに抵抗しようとしたりというBPSDを起こしてしまいます。

「認知症グループホーム」をご存じでしょうか?

ざっくり言えば、要介護2以上の判定を受けた、ある程度のことをご自身でできる認知症の方が入居し、小規模なグループで共同生活をする介護施設です。

こちらもご参考にして頂ければと思います。


唐突な質問で「???」とさせてしまったかもしれませんが、ここで言いたいことは、このグループホームという施設は、認知症の方に配慮した内部環境・外部環境を整えた介護施設と言えるということです。

スタッフや他の入居者さんの人数を少なくすることで、顔なじみがある人たちに囲まれた、変化の少ない環境。
共同生活をする場なので自分の役割があり、生活感のある落ち着いた環境。
そういった環境を創り、そこで生活をすることによって認知症の進行をゆっくりにしたり、BPSDの誘発を少なくするという事例の1つとしてグループホームを挙げました。

まとめ

以上のことを踏まえ、介護職員がやるべきことは、

①認知症の人の健康管理をきちんとすること。
②認知症の人のできること、分かることを尊重し、その人の思いを推しはかりながら、それに寄り添うこと。
③その人のペースに合わせながら、ひとりの人間として尊重すること。
④ご本人の自尊心を傷つけないこと。
⑤そのうえで、その時々のその人に合わせた環境調節をすること。
⑥認知症があったとしても、穏やかにその人らしく過ごせるように支援すること。

です。

さて、今回までの連載を読んで頂いた方で「この人、なに当たり前のことを書いているんだろう?」と思われた方、いらっしゃいますでしょうか?

まさに、お考えの通りです。

認知症の方に、当たり前のことを意識的にしているに過ぎない。
と、今、僕は考えています。

もちろん、医学的根拠や理論などに基づいて判断する力をもっと伸ばせば、また違った考え方になるのかもしれません。(その力を伸ばしたり、医学的根拠などをもっと深く理解するために、この連載を始めました。)

困難があっても、当たり前のことを当たり前にやれば、できれば、「みんなが幸せになる世界」の可能性が介護には存在しているのかもしれないと僕は感じています。


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