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認知症と認知機能の障害について、とアンバサダー

こんにちは!
ふじもんです。今回の投稿が遅れてしまい、楽しみにして下さっていた方をはじめ色んな方にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでしたm(_ _)m
時間をしっかり確保して、今後もがんばって連載を続けていきます!

遅れを取り戻すために、まずは前回の認知症の投稿のおさらいから話を進めていきます。

記憶の分類モデルを基に認知症を理解する

前回は人間の記憶の仕組みを説明しながら、認知症の方はどんな記憶機能が障害されてしまうのかを解説しました。
具体的には、記憶する時間(短い間しか記憶できないのか、長期的に記憶できるのか)と記憶する内容(例えば言語化できるのか、または、いわゆる体で覚える記憶なのか)を説明しました。
以下、前回の引用です。

アルツハイマー型認知症は、記憶障害が目立つ認知症と言われています。
そして具体的には初期の頃からの近時記憶によるエピソード記憶の障害が特徴的と言われています。
ただ、長期記憶の手続き記憶は比較的遅くまで保たれているため、昨日のことは忘れているが数十年前のことは覚えている、昔からなじんだ動作や作業はスムーズにできるといった状態が起こるようになります。

このアルツハイマー型認知症を改めて説明すると(前回の答え合わせ的に)以下のようになります!

アルツハイマー型認知症は、記憶障害が目立つ認知症と言われています。
そして具体的には情報を保持する時間が数分単位の近似記憶による知識言葉の意味に関する記憶、思考の材料となる意味記憶や、個人的な体験や出来事に関するエピソード記憶の障害が初期の頃から特徴的と言われています。
ただ、記憶の保持が数週間から数年単位である長期記憶で、かつ、身体の動きとして記憶している(体で覚える記憶)手続き記憶は比較的遅くまで保たれているため…。


記憶の分類についても参照しながら読んでいただくと、いいかなと思います。そして、今回は人の認知機能にフォーカスを当てて認知症を説明していきます。

認知機能の障害から認知症を理解する

Ⅱ 認知機能の障害

そもそも認知機能とは、知覚から判断に至る全ての情報処理の過程のことをさしています。
認知機能に障害が出るということは、知覚から思考、判断力に至る広範囲の能力が阻害されることを意味していて、以下の様々な症状が出るようになります。

Ⅱ-1 失見当(見当識障害)

時間や場所、それに関連した周囲の状況を把握する機能が上手く働かなくなり、時間や季節、場所の見当がつかない状態になっていることです。
アルツハイマー型認知症で強く現れることがあります。

Ⅱ-2 失語

言葉を理解することや言葉を発することが障害されたり、できなくなったりする状態になっていることです。

Ⅱ-3 失認

聴力や視力などの感覚器の衰えや障害は認められないが、見たり聞いたりしている対象を正しく認識できなくなっている状態のことです。
例えば、家族や親しい人の名前は分かるのに、その人の顔を見ても分からない(相貌失認)といったことです。
僕の父方の祖母にも認知症があったのですが、面会の際に孫である僕のことを息子だと(僕の父親)と勘違いして、それを説明しても
理解できていないといった出来事がありました。それがこの失認に当たります。
たぶん、父親と僕が似ているということもその理由にはあったと思うのですが。

Ⅱ-4 失行

身体を動かす機能の障害は認められていないが目的に応じた行動ができなくなってしまう状態のことです。
認知症の早期から目立つ状態で、日常的に使っている機械の操作が上手くできなくなる、例えば、電子レンジのタイマーのセットの仕方が分からなくなるといったようにです。
中等度、高度の認知症の場合には、着衣失行といって上着の袖に足を入れようとしたり、ズボンを頭から被ろうとすることがあります。
ただ、認知症が進むと様々な認知機能が障害されるため、ズボンを頭から被ろうとする行為が失行のためなのか、先述した失認によるものなのかの判断が難しくなるのが実情です。

Ⅱ-5 実行(遂行)機能障害

目的のある、一連の行動を有効に使うために必要な計画、実行、監視能力などを含む、複雑な認知機能が障害された状態のことです。
例えば、それまで手際よくできていた料理などの作業ができなくなってしまうということが起こります。
それ以外にも入浴や排泄動作なども実行機能によって支えられているため、認知症になるとそういった当たり前と思って行っていた一連の動作が、途中で分からなくなってしまったり、動作が途中で止まってしまうといったことが起こります。

例を使って認知機能の障害を整理してみる

認知症とは何か?を説明した記事で載せた例をもとに、認知機能の障害を整理してみましょう!

認知症でない人が、家から会社まで出かけるとしましょう。

朝起きて、ご飯を作って食べて、歯を磨く。
そして服を選んで着て、ドアのカギを閉める。
電車に乗るために駅まで歩いて、目的駅に着いたら降りて、また歩いて職場まで向かう、といった流れを自然に判断でき、実行できるでしょう。

しかし、認知症の中核症状である失行がある方は、パジャマからの着替えが一人で出来なかったり、歯磨きをするのが難しくなってしまいます。

歯ブラシを持つ握力などがあるにも関わらず、目的に沿って動作を行うことが難しくなってしまう状態(ここでは失行が出ている状態)にあります。

ただし、前述したように、そもそも人の認知機能は複雑に絡み合っており、また、認知症になると色んな機能が阻害されてしまうため、どんな認知機能の障害が出ているのか?の判断、原因の究明が難しい場合があります。

できなくなってしまったことや、自分の生活動作は認知機能の何に支えられているのか?を整理、理解しながら日々、過ごしていくきっかけになればと思います。
さらに言えば、自分が認知症になったらという当事者意識をもって頂き、当事者の方への配慮、理解に繋がることに少しでも力になれたら幸いです。

次回の予告

次回は、認知症の行動・心理症状(BPSD)について説明していきます。
BPSDについても認知症とはなにか?の記事で少し触れています。改めて読んで頂けるといいのかなと思います。

ちなみにBehavioral and Psychological Symptom of Dementiaの頭文字をとってBPSDと呼ばれています。

そのあたりも含め、少しずつ説明していけたらと思ってテキストを読み進めています^^

お楽しみに!


参考
・介護職員初任者研修課テキスト②ーコミュニケーション技術と老化・認知症・障害の理解ー
日本医療企画発行


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