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ケアマネの地域福祉

ケアマネ事業所を小さな商店街の一角に開業します。
それにあたって、私なりに地域福祉について書き留めておこうと思います。

私の仕事上の専門分野は高齢者福祉です。
地域包括ケアシステムってご存知ですか?
高齢者を地域や行政、国が全体で支えていきましょう!という政策です。
柱が四つあります。

①自助:自分に生じた問題は、自発的に自分で解決しましょう。日常的に運動をしたり、社会交流をして、介護が必要にならない心身を保ちましょう。
②互助:地域住民同士で支え合いましょう。町内会、老人会の中で助け合いましょう。民生委員やボランティアを活用して、困りごとは可能な限り自分や周りの人の協力で解消しましょう。
③共助:上記2点では補えない部分に関して、医療保険、介護保険といった社会保障制度を利用し、自立した生活を心がけましょう。
④公助:上記3点では補えない部分、例えば貧困、虐待などは、国の制度(生活保護制度、高齢者虐待防止法など)を活用しましょう。

といったものです。

私、この地域包括ケアシステムに関してはいろいろ考える事はあります。

でも、今日は特に、上の2点(自助、互助)について私の考えを記したいと思います。興味があればお付き合いくださいね。

私は地域包括支援センターのセンター長を3年半ほど勤めた経験があります。地域包括支援センターは、このケアシステムの現場における中心となる機関です。

高齢者のよろず相談を受けたり、介護予防の講座を企画運営したり、地域のボランティアさんと連携、虐待や貧困への対応、成年後見制度の活用など、地域に根差し幅広い仕事をさせていただきました。

結果的に、「地域包括ケアシステムって?」って聞かれたら、「絵に書いた餅です」って答えざるを得ないです。残念ながら。
考え方としては、すごく理想的ですよね。

高齢者が自分で健康や精神状態の管理をし、生き生きと過ごせる。
できない時は、地域の人たちが支えてくれる。
社会保障制度が整っており、いざという時は活用できる…

でもね、今の日本では無理です。
実際、私はその真ん中で仕事をしていたからの考えです。

町内会、老人会は、機能不全を起こしています。
町内会長さん、皆さん、70代、80代のご年齢の方です。(老人会長ではないですよ)
若い人たちは…仕事してます。60代の方も普通に。だって、年金だけじゃ生活できない人、たくさんいます。老後が皆さん不安なんです。働けるうちは皆さん働きますよね。
ボランティアも。他分野のボランティアさんは、もっと若い人たちが活躍しているのかもしれませんが、高齢者関係のボランティアさんの「高齢化」が進んでいます。民生委員さんなども同様です。
もちろん、そうした役を担っている方々は頑張っておられます。でも、今後、高齢化がもっと進み、彼ら彼女らで地域をになっていくのは荷が重過ぎます。自分の健康を一番に気にかけてほしいですよね。認知機能がかなり低下した町会長さんもおられました。

また、自助、互助が現実的ではない理由として、「地域住民の関係性の希薄化」も挙げられます。
特に高齢者に関しては、自宅に引きこもっている方も多いです。もちろん、出かけるのが好き!って方もいて、そういう方は問題ないんです。たった1人で家にこもっている人がどれほど多いことか。
体調が悪くて出かけることがままならない人、体調面に問題がなくても
社会との関わりを絶っている方も多くいます。こうした方は、周囲に助けを求めることすらできないでいます。自助は、身体、精神、金銭的な余裕がないと行うことが難しい。

こと、私には、政治や行政は、社会のこうした面に蓋をして、理想を押し付けているようにも見えてしまいます。
本当の現場を知っていますか?って思います。

孤立、また、介護しているご家族を含めた家族全体の地域からの孤立、虐待(ネグレクト含む)、セルフネグレクトも多いです。…


こうした状況の関わりの窓口として、上記の地域包括支援センターは存在します。
でも、中学校区に1か所のみ、たった6人の職員。
正直、仕事が追いつきません。こんな少ない人数でやれません。

皆、なんとかしたいって思っている。包括も、地域も。でも、キャパオーバーです。

でも、私は悲観ばかりしているのではもちろんないです。
地域のエンパワメントを信じているし、実際そうした場にも何度も立ち会いました。地域の人たちは、自らの力で課題を解決できる力があります。ただやはり、人手やお金、絶対量が足りないです。

こうした状況でお互いがお互いを支え合う「互助」を地域に根ざすことは簡単ではないと思います。

現代社会は、ictの活用で、人との関係性の変化も見られます。高齢者福祉に関しては遅れているんだろうなって思います。ここは少し経過を観察しなければなりませんね。


また、日本独特の考え方ってあると思います。自分のことはさておき、周りの幸せを考える。自己犠牲的な考えが美徳とされること、ありませんか?
一見、素敵なことのように見えますが、それって、どうですか?
まず、自分の健康や生活が安定したものでなければ、周囲の人を気にかけることなどできないですよね。
自分が満たされて上で、周囲の人へ手を差し伸べるべきでしょ?

今の国の方針は、自分の面倒は自分でみるという自己責任論、次に地域住民などの支え合いをしてくださいね、というもの。

でも、貧困、少子高齢化…
様々な課題は横に置かれている。
この部分は、是非とも国にお願いしたい問題。

私の勝手な見解ですけど、
地域包括ケアシステムは、「日本固有の美徳」と言われるものに対する「甘え」です。

私、本来であれば、地域包括ケアシステムって、逆の発想で考えないと解決しないものだと思います。

まず、国の制度が国民を安定して支えること、次に、医療保険、介護保険制度、年金制度などが持続可能な制度として機能していること、これが先です。

それがないと、安心が担保されないから、万が一のことを考える。どうしても不安。そして、自分が満たされなければ、次の段階である地域の関係性の向上には繋がらない。成熟した地域になるのは難しい。

ボランティア…って、言葉の語源から見ても、「自発的」「主体的」なものであるはずなのに、なぜ国の政策に組み込まれているんだろうと不思議でなりません。
そうした中で、どうやって自由な発想でボランティア団体が生まれ、成熟したものになっていけるのか、私は疑問です。すごく窮屈さを感じます。

私、日本の行く末が本当に心配です。
やはり、少子高齢化は大きな問題です。特に「少子化」。
若い人が増えなければ、どう考えても国としての維持は難しいと思います。それなのに、日本は、少子化対策を考えなさすぎです。
今後たくさんの高齢者を支える若者は間違いなく大変です。もちろん、介護される高齢者も。
若者を大切にするべきです。

私、このまま、少子化対策が大きく動かなければ、日本は終わってしまうと思う。
だから、もしこのままなら、若い人は海外に移住してしまった方がいいと本気で思ってしまう。早く逃げて!って思う。その方が、若い人が自己実現できるチャンスがあるのではないかと。

それから、少子化対策をすることで、若い人を戦争に巻き込むことは、もちろん、なしにしてもらいたい。

話が大きく逸れるのですが、
仏教のお話で、旅人と虎と蜜の話、ご存知でしょうか?
私、題名までは覚えていないんですが、すごく今の日本に当てはまるなぁって思っています。

簡単にお話すると、
ある旅人の背後から虎が追いかけてきました、
旅人は逃げて、断崖絶壁までやってきました。そこに一本の蔓が下がっていて、旅人は、その蔓につかまり、断崖を途中まで降りることができました。旅人は、一旦は「助かった」って思いました。しかし、断崖絶壁の下には毒を持った竜がいて、下で待ち構えています。絶対絶命です。
するとその時、その蔓からポタポタと甘い蜜が落ちてきました。
旅人は、自分の命が終わることも忘れて、ひたすらその蜜を舐め続けた、というものです。

日本は、このままでは終わってしまうって分かっているのに、蜜を舐め続けていませんか?
富を得ている人を非難するものではないです。
目の前にある課題に蓋をしないでほしい。私は、今の日本は、先行きの不透明な、漠然とした不安を皆抱えて、見てみぬふりをせざるを得ない国に見えてしまう。
高齢者は、日々の生活に精一杯だし、若い人は、はつらつと前を向くことが難しい。

話がすごくそれましたね💦

じゃあ、私に何ができるんだよ!って感じです。

私?…何ができるわけじゃないです。
私はただ自己実現をしたいだけです。
自分のやりたいことを生業とし、好きな音楽を奏で、数少ない友達や、家族と深いつながりを持って、自分の人生を生きたいだけ。
それで、ちょとした、人と人との化学反応が起こって、笑顔になる人が増えればいいなと。

笑わないで聞いてくださいね。
自分やお隣さんが笑顔になったら、世界平和に繋がりませんか?(笑)

かなり大きな話になってしまいましたが、ケアマネ事業所を開設して、地域の人と繋がってみたいと思っています。

買い物途中のお年寄り、介護に不安のあるご家族にふらっと立ち寄ってほしい。
また、出かけたくても、なかなか出かけられない、小さな交流の場が欲しい高齢者の(究極、年代は関係なく)
情報交換の場になればいいなと思います。
私はもちろん、地域の人たちの小さな幸せが、ちょっとずつ積み重なっていければいいなと思います。

私にできることは、こんな小さなことです。
だいぶデカい話をして、どうやってまとめるんだよ!って自分でも思いましたが、これが現時点での私のケアマネとしての地域への関わり方です。

もし、これが実現したら、またその先を考えるでしょうが、今はここまでが精一杯だと思います。
本当に私の精一杯。

なんか、長くなってしまった。
取り止めもなく書いてしまったけど少しでも伝わると嬉しいです。

ではね。

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