意識とは何か 『霊訓 第五回(※長文注意)
第五章 目覚めつつある意識
これまで意識について色々な説明をしてきました。私たちには意識があります。でも、それはほとんど眠っていて、驚くべきことに私たちは毎日自動的に生きているのです。いいえ、ほとんど死んでいるようなものだと言った方がより正確かもしれません。
「ラザロよ、出できたれ!」と、キリストが言うと、四日前に死んだはずのラザロが墓の中から出てきました。聖書の中の一節ですが、これは私たちひとりひとりに与えられたメッセージです。死者の中から起き上がれと、キリストは呼びかけます。この死者とは、眠っている意識状態にある私たちのことです。
いいえ、私はちゃんと起きています。眠ってなんかいません、とお思いでしょうか?
では、あなたが本当に起きているのかどうかを振り返ってみましょう。
あなたはいつも同じ状況で同じ間違いを繰り返したりしませんか?
家の鍵をかけ忘れたかも知れないと思って家に戻ったりしませんか?
何かを考えながら作業していて、自分でも意識しないうちに作業が終わっていることがありませんか?
あなたのパートナーの話の内容を細部まで覚えていますか?
私たちの思い、感情、欲望などはすべてエレメンタルという形態になって潜在意識に蓄えられています。そして私たちはその潜在意識にストックされているエレメンタルを無意識に呼び出しては過去に行った行動を自動的に再現しているのです。これは、自分の日常生活を観察していると思い当たる事があると思います。
エレメンタルとは、欲望と思考によって形態を与えられたものです。これは一度作られると二度と消えることはありません。私たちが考えたこと、感じた思い、すべての経験はこの形態に永遠に保存されます。
エレメンタルには二種類あり、欲望―思考型と、思考―欲望型があります。欲望が先にあって、その欲望を満たすために思考して作られたエレメンタルが欲望―思考エレメンタルです。
簡単に例えると、あなたが車を見つけてカタログをもらって家に帰り、どうすればこの車を買うことができるだろうかと考えることで欲望―思考エレメンタルが作られます。
キリストはこのように無自覚に作られた欲望にまみれたエレメンタルを「汚れた霊」、「目も見えず、耳も聞こえず口もきけないもの」と呼びました。
反対に、理性的な思考が先にあってそれを実現させるための欲望を与えられたものが思考―欲望エレメンタルです。
エレメンタルには生命があり一度作られると自ら意思を持って、欲望が実現するように働きます。繰り返しますが、潜在意識はこのようなエレメンタルの貯蔵庫なのです。すなわち、現在の人格としての私たちはこれらエレメンタルの総計であるということが言えるのです。
エレメンタルによって毎日を自動的に生きている状態を「潜在意識的な状態」と言います。この状態で生きている人が、人類の大半(9割程度)を占めていると言われます。
意識とは、少しずつ段階を追って成長するものです。この潜在意識的な状態から、真理に目覚めつつある意識段階のことを「目覚めつつある意識の状態」と言います。
『放蕩息子のたとえ話』で言えば父のもとへ帰ろうと思い立った段階のことです。見えない世界に対する感性が芽生え、霊界からの影響力を受けられるようになった状態とも言えます。したがって真理を探求しようと志すようになった人は、この目覚めつつある意識の状態にあると言えるでしょう。
意識はこのあと段階を追って進化して、最終的には神とひとつになります。
一度自分がエレメンタルによって生きている事に気付くと、その力の強力さに驚かされます。まるで周回軌道に乗ってしまって地球への帰還ができずにいる衛星のように、自分の意思通りに生きられていないことに気付きます。摩擦係数がほとんど失われてしまった宇宙空間において方向を転換するということは非常な努力が必要です。
エレメンタルはとても強力で、正面から立ち向かっても絶対に勝てません。
唯一、私たちにできる方法は濁った水に真水を入れて浄化するように、新しく正しいエレメンタルを作ることです。
実はエレメンタルは栄養が得られなくなると弱体化します。その栄養とは、私たちが向ける興味と関心なのです。
お酒を飲むことがやめられないのなら、まずは断固としてやめる決意を固めます。そしてお酒を飲みたい欲望から関心を逸らして、何か別の習慣に置き換えます。紅茶やハーブティーに凝ってみるのも良いですし、早く家に帰って家族や友達と過ごす時間に置き換えると、驚くほど人生が豊かになるかもしれません。
難しく感じるのなら、何かもっと簡単な事から始めて練習するのも良いでしょう。特に興味もないテレビ番組を見ることをやめて、本を読む時間に充てるなど、自分がより良くなる方向へ少しずつシフトチェンジしていくと、だんだん身体も心も良い方向に向かい始めることを実感し始めます。
その時、私たちはより意識的に生きられるようになるのです。
第六回に続く
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