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ミライのキャリア#13成功者の落とし穴、生存者バイアス:起業編(1)

イントロダクション


【えりな】
 今回から起業編です。
【ホリデー】
 おお〜。今っぽいですね〜。
【Caol】
 えりなさん、起業家って言ったら、どんな人を想像しますか?
【えりな】
 ほりえもんとか?人一倍強い意思があって、雇われるなんて狭苦しい!って思う人を思い浮かべますね。
【ホリデー】
 確かに。みんな大好きスティーブ・ジョブズとか、ザッカーバーグとか、前澤さんとか、インターネットで大成功した人たちが世の中賑わしてますねえ。
【えりな】
 ホリデーさんも、起業家さんですよね?
【ホリデー】
 自分の会社を経営してる、って意味では、起業家??超しょぼいですけど!!【えりな】
 しょぼくはない笑
 でも、仕事をだれより楽しんでいる印象はあるけど、起業家のガツガツはあまり感じないですね。私と同世代の20代も、会社が合わなくて「俺企業とかした方がいいのかな?」って言っている人多いんですよ。実際のところ、起業家ってどんな人が向いているのか気になりますね、そういうお年頃です。
【Caol】
 起業家って良くも悪くもそれっぽいイメージがありますよね。さて、心理屋から見て自分で会社を設立する人によく見られる性質が2つあります。それは、
・生存者バイアス
・インテリジェンストラップ
 です。
【えりな】
 心理屋さんってそんなことも学術的に解説できるんですか!?確かに、生存者バイアスに、インテリジェンストラップ、言葉はなんとなく聞いたことがあります。

起業シリーズの内容


【Caol】
 今回からの起業シリーズでどんな話をするか目次みたいな話をしますね。
 まず「生存者バイアス」「インテリジェンストラップ」という現象は何?という話をします。
 この2つがわかると、これらの認知バイアスのワナをくぐり抜けるための「メタ認知」という話がわかるようになるので、「メタ認知」の話を3回目でします。
 ここまでの3回は、起業家はどういう人?ということを心理学から見た話になります。このあとは、ホリデーさんの経験をもとに起業の実態について話をしていこう、という流れです。実態編ではキャリアとしての起業とか起業に向いている人、という話にもなります。
【えりな】
 一気に言われてなんのことやらでしたが、何回かに分けて教えてくれるんですね!簡単なところからお願いします♪
【ホリデー】
 実態編で僕の話、参考になるのかがめっちゃ不安っす。まあいいか

生存者バイアスとは?


【Caol】
 ではまず今回は生存者バイアスの話。
 起業しよう、という人は、起業して成功した経営者の本やインタヴューを読んだりしますよね。
【ホリデー】
 読みますね。読みましたよ。てか読んで心の炎を燃やしてますよ。
【Caol】
 これには注意が必要で、そのまま受け取れないことが多い。成功した人ほどそうです。なぜなら生存者バイアスというものが関わっています。
【ホリデー】
 Caol先生、俺の心の炎にめっちゃ水ぶっかけますね!ち〜〜〜ん。
【Caol】
 で、生存者バイアスとは、認知バイアスのひとつ。認知バイアスとは、何かを判断する時など、非常に基本的な誤りや記憶の誤りが生じ、非合理的な行動をとってしまうもとになる、ものの見方のこと。
【ホリデー】
 思い込み、ってことですね。
【Caol】
 そのとおりで、それまでの人生で得た思い込みや個人の生活習慣、固定観念、不安や懸念などが認知バイアスの原因になります。
 認知バイアスにより、人は「ちょっと考えればわかるような」簡単な間違いをおかしてしまいます。そして時として、それは財産や生命に関わる事態を招きます。認知バイアスを取り除く事はできなくても、それがあるということをあらかじめ知っておくことが重要。
【えりな】
 当たり前とか先入観があってちょっと考えればわかるような勘違いしている?うわー、もう私いっつもそうですけど…それがビジネス書読むのと起業にどう関わるんですか?

成功者がビジネス書を書く


【Caol】
 だって、世の中のビジネス書って、大体成功してる人が書いてるじゃないですか。でも、大成功してる経営者って、世の中のほんの一握りですよね?
【えりな】
 確かに〜
【ホリデー】
 逆に言うと、「死人に口なし」「死して屍拾うものなし」ってことっすね!敗者の声はなかなか世の中に届かない。
【Caol】
 まさにそうで、認知バイアスのうち、生存者バイアスというのは、現在残っている物だけを見て、途中で淘汰された物を見ないために誤った信念を持つことです。
 大学を中退して実業家として成功したスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツを見て、
「大学を中退しても人生で成功することに影響はない」
「大学を中退するくらい型にとらわれない方が成功できる」
 と考えることです。実際には彼らの成功は奇跡と言えるもので、大学を中退した人全体の割合からすると、大学中退が人生の成功に影響が無いとは言えません。社会においては大学を卒業したという経歴はやはり重要で、成功している人の中でも大学を卒業している人の割合はかなり高いのです。
【ホリデー】
 わかるわ〜。
【Caol】
 このように、「成功を収めるためには大学を中退したほうが良い」という考えは、一部の成功者だけを対象としてとらえ、大学を中退した後ビジネスが上手くいかなかった人を無視する生存バイアスだと言えます。
【えりな】
 おお。言えてますね。〜
【ホリデー】
 そうやって成功者バイアスに囚われすぎてる人と「意識高い系」って言われてる人たちは結構近いのかもしれないですね。

認知バイアスの原因


【Caol】
 認知バイアスがなんで起きてしまうのか。それを説明したのが、認知心理学者にしてノーベル経済学賞受賞のダニエル・カーネマン。彼はその著書「ファスト&スロー」の中で、私たちにはシステム1(速い思考)とシステム2(遅い思考)があると述べています。
【ホリデー】
 読みましたよ〜!「ファスト&スロー」意識高い系ですからw
 でも、大体忘れました。

ファスト&スロー「システム1」と「システム2」


【Caol】
はい。
「システム1」これが速い思考
 直感や経験に基づいて、日常生活で大半の判断を下すシステム。例えば物の距離感や音の方角の感知など、自動車の運転をする際に働く認知。
「システム2」これが遅い思考
 発動には集中力が必要とされる。例えば、たくさんの文字の中から必要な情報だけを抜き出す、聞こえてきた言葉が何語かを聞き分ける、といった働き。
 システム1の「速い思考」はとても便利で、考える前に判断し、行動できること。認知バイアスって別の見方をすれば情報の圧縮で、瞬時に判断、行動できる手段です。なので、認知バイアスがない、という人はいないし、自動車を安全に運転できるのはこのシステム1があるから。交差点でいちいち「これは何でどう行動すると安全か」と考えていたら運転できませんよね。
 そんな日常生活を快適に送るためには欠かせないシステム1ですが、困った欠点があります。それはすぐにしゃしゃり出てきて、遅い思考に付け入る隙を与えず、安易な結論に飛びつく傾向=認知バイアスです。
【えりな】
 早い思考が直感や経験でからすぐいたる思考で、遅い思考は文字や言葉から解釈して及ぶ思考ってことですね??良し悪しというか、人間に備わった頭の機能ということ。
【Caol】
 そうですね。速い思考は考える前に分る感じ、遅い思考は考えて判断する感じですね。なので生存には両方必要です。
【ホリデー】
 瞬発力だけに頼って判断すると痛い目みるよ、と。今までの人生で、これで困ったことになったの、いっぱいあるなあ。
 スプラトゥーンのホタルちゃんも「カベにかくれて深呼吸 戦場の鉄則ゥ~」
って言ってました。
【えりな】
 私スプラトゥーンわかんないけど聴いてるZ世代には伝わってる気がする〜
 今日は起業家ってどんな人?というお話しでしたね。成功した人は一握り、その人たちには生存者バイアスというのが働いていて、その経験がだれでも成功する方法ではないというお話でした。ではビジネス本や成功者の体験談だけではわからない、ほかに見るべき点が色々あるということがわかりましたね!それはなんだか私、気になります!

第2第4月曜日Podcast配信中
https://open.spotify.com/show/7flUpzvzeSXxGpInXj5Se7

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