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ミライのキャリア#7 ダンパー数

集団としての大企業シリーズ開始


【えりな】
 今回から「集団としての大企業」編です。ダンパー数の話をする、ということですが、これってなんでしょう?
【Caol】
 一人の人が覚えていられる人数、これは顔と名前が一致して、どんな人か分かっていて、自分から話しかけられる人って何人ぐらいだとおもう?
【ホリデー】
 そうですねえ。50人〜100人くらいかなあ。
【えりな】
 考えたことなかったですね~私小学校のときから全校生徒の名前と保護者の顔覚えてましたよ。
【Caol】
 個人差は大きいですが、だいたい100〜250人の間に収まります。
【ホリデー】
 平均以下やった、俺w脳みそ足りてないんかなw
【えりな】
 ホリデーさんやば~
【Caol】
 おっしゃる通りで大脳の容量が関係します。
【ホリデー】
 どおりで、最近大脳が小さくなったなあ、って思ってたんですよ。
【えりな】
 逆に、昔は大きかったんですか?
【ホリデー】
 やかましいわ!

ダンパー数とは?


【Caol】
 ダンパー数を見つけた人がロビン・ダンパーというイギリスの人類学者。ダンバーは、平均的な人間の脳の大きさを計算し、霊長類の結果から推定する事によって、人間が円滑に安定して維持できる関係は平均150人程度であるということを見つけました。
 ダンパー自身は、「もしあなたがバーで偶然出会って、その場で突然一緒に酒を飲むことになったとしても、気まずさを感じないような人達のことだ」と説明しています。
【ホリデー】
 え、偶然出会って飲むことになったら、大体気まずくないですか?w
【えりな】
 え、私一人で飲みに行くんですけどだいたい知り合いにいっぱい会うので、一人で飲むことほとんどないですよ。
【ホリデー】
 なんだよそのリア充アピール!てか、ダンパーさんも相当コミュ力高いリア充の可能性あるね。
【Caol】
 想像ですけど、ダンパーさんイギリスの人なので、パブで会って相手の名前を言って「やあ!元気」くらいのあいさつができる人、なんじゃないかな。たぶん。仕事で付き合いのある人だったら、どこかで偶然会ったときに「お世話になっております」くらいいう人かな。日本だと。
【えりな】
 なるほど。じゃあ1000人いるんじゃないかな?
【ホリデー】
 くそ、くそ、なんか不思議な敗北感を感じている。
【Caol】
 え〜、話を進めますよこのダンパー数、だいたい150人の集団というのは、お互いがお互いを知っていられる上限の人数。これは関係を維持することができるコミュニケーションがとれる人数と言うこと。
 類人猿、チンパンジーとかは関係を維持するためにおたがいに毛繕いをするのですが、これだと20〜30人くらいしかお互いの関係を維持できない、ので、猿の集団はだいたいこのくらいの人数。
 人は言葉でコミュニケーションすることで関係を維持できるので、もっと多く100〜250人になる。
【ホリデー】
 えりなちゃん、その5倍、えりな、恐ろしい子。
【Caol】
 例えば、高校の同級生って、何人いる?私は学年360名の大きな高校だったので、半分以上わからん。
【ホリデー】
 そういえば僕も同じくらいですね。確かに卒アルとか見たらちゃんと思い出せるのかなあ、って感じ。
【えりな】
 田舎なので200人くらい?全員把握できる人数ってことですね。

ダンパー数とコミュニケーション


【Caol】
 で、このダンバー数。人類学の他の研究では、部族(トライブ)はだいたいこの100〜250名になる、という報告もある。集団を大きくする工夫、たとえば拘束性のある規則や法規や強制的なノルマ、求心力のある教え、宗教とかがないとこれ以上の人数にはならない。
【ホリえり】
 なるほど〜。
【Caol】
 ダンバーは「この限界は、人の大脳新皮質の容量の直接的な作用で、新皮質の処理能力上の制限は、安定的な人間関係が維持される個体の数に直結する。」と理論づけている。
【えりな】
 脳に規定されてるんだ〜!脳科学的なことなんですね!
【Caol】
 ダンパー数よりももっと多くの人を覚えているよ、コミュニケーションとっているよ、と言う人もいますが、それは人とともに時間や場所と結びつけて覚えていること。ダンパーも、ダンバー数の境界部分には、高校時代の友人など、もし再会すればすぐに交友関係が結ばれるであろう過去の同僚が含まれる。と言っています。こういう人も合わせると数百数千人になりますが、毎週会う人となるとダンパー数のなかにおさまるでしょう。
【えりな】
 そうなんですね!わたしのこと言われてるのかと思いました!
 私、職場を選ぶのに一番大事にしてることが、「仕事で関わる人数がいかに多いか」なんですよ。大学時代、従業員3人の会社で働いてすぐ挫折しました。
【Caol】
 ダンパー数という話とは少しずれますが、小さすぎる集団というのはメンバー間の関係がよほどよくないと働きづらいでしょう。職人と助手だけ、という職場の助手がどのくらい働きづらいかは容易に想像ができると思います。

キャリアとダンパー数

【Caol】
 で、キャリアの話に結びつけると、働く組織の人数がダンパー数をこえると働きづらい、ということになります。150名をちょっとこえるが1つの集団というのはたぶんもっともやりづらい。つねに「あんた誰」という人がいるが、その人とも仕事をしなければならない状態。これが働く個人の視点。
【ホリデー】
 さすがにどんな会社でも一つの組織で150人を超える、ってことはなかなかなさそうですけどね〜。僕の前職でも、一つの部が大体5人〜15人くらいではありましたね。それを2階層くらい束ねると150人くらいになるイメージ。
【Caol】
 そうそう、まさに経営者の視点だと、分社化とか組織編成を分ける、というのは組織をダンパー数に収まる集団に分けるもの、と理解できる。そうするとややこしい規則を作らなくとも集団が機能し、コミュニケーションも取りやすくなる。
【ホリデー】
 うんうん、わかります。
【Caol】
 官僚の世界だと、縦割りとか、組織同士の連携が取れない、というのも説明できるかも。課とか局というのは同じ法務省という組織なのだが自分の属する150人の集団からするとべつの集団となってしまい、コミュニケーションが取りづらい集団、場合によっては敵対する部族ということになってしまう。
【ホリデー】
 ほほ〜〜。なるほど。確かに言われてみれば、150人単位くらいで別の集団、ってのは大企業にいた自分としては感覚としてめっちゃわかる気がする!
【えりな】
 そうなんですね!
 次回はこれまでに話したキャリアアンカー、ラインとスタッフ、組織文化と風土、ダンパー数をつかって、大企業である広告代理店はどんな集団かを見てみよう、という話です。

第1第3月曜日にPodcastを配信中

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