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「No.7」「ふわふわ、もふもふฅ^•ﻌ•^ฅ」日本画の犬と猫♡♡

こんにちは、かずさです!

今朝テレビをつけたらNHKで「もふもふもふもふ」という番組が放送されていました♡私は岩合さんの「世界ネコ歩き」も大好きなのですが、動物の番組って癒されますよね~。今日はゆるーく、江戸時代と大正時代の犬と猫が登場するアートを4つ紹介します!

仙厓のゆるキャラ

1つ目の作品は仙厓(せんがい)の《犬図》です。

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19世紀前半 紙本墨画 25.7㎝×35.8㎝ 福岡市美術館蔵
仙厓義梵(せんがいぎぼん) (1750-1837) 
仙厓は美濃(今の岐阜県)で生まれ、博多で活躍した禅僧です。画のジャンルでは「禅画」というものの中に入ります。彼は60代以降に画に力を入れるようになり、70代のときに「厓画無法(がいがむほう)」という宣言をしました。これは、自分の画には決まりがないという意味だそうです。この言葉の通り、仙厓の描く画のモチーフは素朴で多彩!小動物や庶民の花見、旅先の風景などを描きました。

この画を以前、家族に見せた時に「何これ?豚?」といわれてしまいましたが、犬です。腰の部分に紐がくくりつけてあって、竹筒のようなものを引きずってます。さらりと墨で描かれていますが、ちゃんと可愛い犬の様子が伝わってきます。ゆるキャラみたいな感じですよね。また、この画の魅力はなんと言っても犬の上の「きゃいん」の文字!ゆるさが極まってます!

円山応挙の子犬

2つ目の作品は円山応挙の《狗子図(くしず)》屏風です。

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1784年 紙本淡彩 二曲一隻 (各)132.7㎝×58.4㎝ 滋賀県立琵琶湖文化館蔵
円山応挙(1733-1795)
丹波国(今の兵庫県、京都府にまたがった地域)生まれの画家です。若い頃に京に出て、初めは江戸画壇の一大勢力である狩野派に学びましたが、滋賀にいた祐常(ゆうじょう)という僧と知り合ってから写生画に目覚めるようになります。しかし、応挙の写生画は単に写実的に描くものではなく、自分の中でモデルとなるものを飲み込んでから、画面の中で再構成するというものでした。応挙の作品は京のさまざまな階層に人々に受け入れられ、「円山派」として狩野派をしのぐほどの一大勢力になります。

さすが、写実画。子犬のふわふわ感が凄いです…!私はTwitterで犬や猫などの動画を見るのが好きなのですが、子犬がじゃれている様子は応挙の画そのものです。画なので触れないのが悔しい…。応挙はウサギや小鳥などの小動物を描くのが得意だったのですが、中でも犬の画はたくさん残っており、ニーズが高かったとされています。当時の人々もこれを見て、可愛さに悶絶してたのかもしれません笑

猫好き国芳の53匹の猫

3つ目の作品は猫(=・ω・=)、歌川国芳の《其のまま地口 猫飼好五十三疋》(そのままじぐち みゃうかいこうごじゅうさんびき)です。

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1848年頃 大判錦絵三枚続
歌川国芳(1798-1861)
江戸後期の浮世絵師です。武者絵を得意とし、人気を博しました。国芳が生きていた時代には派手であることを駄目だとする天保の改革があり、役者や遊女を描いた浮世絵を出版出来ないという事態が起こります。そんな中で国芳は《荷宝蔵壁(にたからくらかべ)のむだ書》という作品を描き、幕府の禁令をかいくぐります。遊び心に溢れたこの作品は洒落好きな江戸の人々から喝さいを浴びました。また、無類の猫好きとも知られ、猫をモチーフにした作品もたくさん残っています。

地口というのは言葉遊びの一種で、簡単に言えばダジャレのようなものです。この画の中では、地名と猫の動きが掛けられています。例えば…

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この座布団の上で丸まった猫では、「見付」と「ねつき」が掛けられていたり…

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このかつお節をなめている猫では、「日本橋」と「二本ぶし」(二本のかつお節)が掛けられています。

このような猫が全部で53匹!こんなにレパートリーを考えるのはとても大変だと思います。思わずクスッとしてしまう猫たち…何と何が掛けられているのか探してみたくなります。

自由気ままに!栖鳳の猫

最後の作品は、竹内栖鳳(せいほう)の《班猫》(まだらねこ)です。

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1924年 絹本彩色 81.9㎝×101.6㎝ 山種美術館蔵
竹内栖鳳(1864-1942) 
京都生まれの画家で、13歳の時に円山応挙の流れを汲む四条派に入門し、画を学びました。36歳の時にパリ万博のためにヨーロッパを訪問した際に、ダ・ヴィンチやターナーなどの作品から感銘を受け、この体験が栖鳳にとっての転機となります。その後は、ヨーロッパの写実と日本の伝統を合わせた作品を制作し、新しい日本画の形を模索していきます。栖鳳の弟子には、女性の表現を追求した画家である上村松園がいます。

栖鳳は「動物を描けばにおいまで描く」とまで言われた画家でした。この作品も猫が一瞬こちらを向いた時の様子が切り取られています。このモデルの猫は、栖鳳が沼津に住んでいた時に、近所にあった八百屋さん家で飼われていました。栖鳳は飼い主に頼み込んでこの猫を貸してもらい、家の中で遊ばせながら描いたそうです。そのせいか、猫の自由な性格まで表現されていますよね。

ちなみにこの画の題名は《班猫》ですが、普通「斑」と書きそうですよね。実は、栖鳳が「班」と書いたのでこの題名になっています。「班」でもまだら模様という意味があるそうですが…。間違えたのかわざとなのか、どちらなのでしょう?

今回は犬と猫が登場する作品を紹介しました。可愛いものから面白いものまで選んだのですが、いかがでしょうか?少しでも癒されたのなら嬉しいです!日本画の中には、まだまだ可愛い動物が描かれた作品がたくさんあるので皆さんのお気に入りの作品を見つけてみてください!

次回は、旅行に行きたくなるようなヨーロッパのアートを紹介しますฅ^•ﻌ•^ฅ


画像は『マンガでわかる「日本絵画」の見かた』、パブリック・ドメインのものを引用しました。

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今回参考にした本、おすすめの本を紹介します。ぜひ、おうち時間に読んでみてください!

矢島新『マンガでわかる「日本絵画」の見かた 美術展がもっと愉しくなる!』誠文堂新光社 
矢島新『かわいい禅画』東京美術 
星野鈴『円山応挙』新潮社 
稲垣 進一 、悳 俊彦『歌川国芳 いきものとばけもの』東京書籍  
吉中 充代 、中村 麗子 、平野 重光『もっと知りたい竹内栖鳳 生涯と作品』東京美術

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