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263 1000年をタイムスリップできる散歩へ~奈良・きたまち

今日は奈良に来ました。

奈良の観光といえばやはり東大寺などの奈良公園界隈がメイン。どうしてもそちらを観光したくなります。

東大寺大仏殿前は修学旅行生でごった返しています。
そして鹿。

ですが今回は定番の観光スポットから少し外れて、近鉄奈良駅の北側、通称「きたまち」と呼ばれるエリアを歩くことにしました。1300年の時代を超えた文化遺産の残る町を近鉄奈良駅から北に向かって歩きます。

日本に2つしかない国立女子大・奈良女子大学

旅の始まりは近鉄奈良駅から徒歩5分ほどのところにある奈良女子大学。女子大らしい可愛らしい門構え。日本に国立の女子大学はお茶の水女子大学とここしかありません。

木に半分隠れてしまっていますが、こちらは「記念館」。明治41年、奈良女子高等師範学校の開学当時から建っており、講堂として使用されてきました。今は国の重要文化財となり、記念館として使用されています。月に1度程度の割合で一般公開されているそうですが、コロナがあって以後は公開がなされていないようです。

東大寺の西の入り口、轉害門(てがいもん)

奈良女子大学から北に歩き、一条通を東に歩くと轉害門に突き当たります。佐保路通りに面することから佐保路門とも呼ばれていました。平屋の屋根が広く左右に延びているのが特徴的です。天平時代(729年から749年)の建立で、平家が東大寺を焼失させた南都焼討ちの際にも寺の中心部からやや離れた場所にあったことから焼かれずに残ることとなりました。「天平の生き証人」としてその文化を1300年経て生きる私たちに伝えています。

明治以来変わらない香りの醤油を作り続ける向出醤油醸造元


轉害門から門の前の通りを北に少し歩くと「向出醤油醸造元」があります。明治12年に創業して以来、変わらない製法で醤油を作り続ける老舗醤油店です。

数は多くありませんが、醤油の香りが仄かにする店頭にはこちらで作られた醤油「宝扇」が並べられています。濃口と淡口。お手頃なお値段です。最近旅先で醤油を買うのが私の趣味(?)になっています。どんな料理にも合う濃口を一本買わせていただきました。

監獄の近代化の歴史を語る・旧奈良監獄


さらに北に向かって少し坂道を登っていくと、何やら高い塀が見えてきます。

こちらは旧・奈良監獄の正門。なんだかロシア正教の教会のような洋風の門構えです。欧米の列強と同等の近代国家として認めてもらって不平等条約を解消させるため、明治期の日本では「監獄の近代化」に力を入れてきました。

奈良監獄は明治42年に運用が開始され、その後昭和21年に少年刑務所に役割を変えましたが、老朽化が著しくなり平成29年、108年の歴史に幕を下ろしました。同じ時期にできた金沢、千葉、鹿児島などの刑務所はどれも門以外はなくなってしまいましたが、ここは最近まで現役で生き残り、今も改修をおこなって史料館として活用され続けています(改修のため現在は閉館中)。

塀の向こうはこんな感じ。これが刑務所なんて驚きです。収監されるのは嫌ですがここなら住んでみたい。ドラマに出てくる富豪の住む洋館のようです。

奈良のコスモス寺は「あじさい寺」でもあった・般若寺

旧奈良監獄の北東に建つ「般若寺」に来ました。実はここが今回のメインスポット。コスモス寺として知られ、秋は一面に咲くコスモスを観に多くの観光客が訪れるのですが、

ここは「あじさい寺」としても有名でこの時期は地植えのあじさい寺内をきれいに彩っていて多くの観光客で賑わっています。

そんな「あじさい寺」はただ地植えや鉢植えのあじさいを見せるだけではなく、独特の見せ方で「映える」写真を求める現代の人たちの間で話題になっているのです。

それがこちら。

水の入った球体のガラスの器にあじさいの花(がく)を入れています。涼し気な印象を与え、それがいくつか等間隔で並べられていているのが寺内を照らす灯りのようで華やかさも感じさせてくれます。

本堂の前の石段にも飾られています。
花手水も美しいんですが
やはりここでは器に入ったあじさいの美しさに目がいきますね。


ずっとここで写真を撮っていたくなる。そんな惹きつけられる不思議な魅力がありました。

鹿だけじゃなくて牛もいた・植村牧場

般若寺であじさいを鑑賞して裏手に回るとなんと住宅地に牧場がありました。

牛車の上に立つウシがかわいい。

ただの観光牧場ではありません。明治16年に創業した奈良県で最も古い牧場で、地域に牛乳を出荷し続けています。こんな宅地の中に牧場が!ではなく、牧場があったところが宅地化したというのが正解のようです。

観光地のなかにあるということもあり、園内の見学、牛乳やソフトクリームを販売するコーナーを併設していました。

大楠が森の中で今も平城を護る・奈良豆比古(ならつひこ)神社

さらに10分ほど北に歩いて、今回の旅のゴールに到着します。ここは奈良豆比古神社。かつては奈良坂春日社とも呼ばれ、当地の産土(うぶすな)である平城津比古大神、春日宮天皇、春日王が祀られています。770年代よりこの地で平城京を守り続けた地元の神です。

神社としてはさほど広い神社ではないですが、この神社の特徴は裏手にある森。

そこに今も生き続ける森の守り神、大楠です。樹齢は1000年以上とされており、奈良に起きた様々な歴史上の出来事を静かに見つめてきた生き証人です。

さいごに

3時間ほどきたまちを散歩して奈良公園に戻ってきました。前日は大阪を32000歩歩き、今日は奈良を22000歩。へろへろです。

奈良に来たら食べたいのが柿の葉寿司。よく歩いたご褒美としていただきます。

うまいんだな!これが。

8世紀に建てられた轉害門から明治期に建てられた旧奈良監獄に植村牧場。1000年の歴史を一度に味わえる歩いてタイムトラベルを楽しめる街でした。

みなさんも是非、定番とは少し外れた「奈良きたまち散歩」をお楽しみください。

PS 帰り途中、大和西大寺駅で大和醸造さんのクラフトビールを飲んで帰りました。疲れがあっという間に吹き飛ぶうまさでした。

サポートいただけたら小躍りして喜びます! 今後一層フットワーク軽く旅先に向かい、情報提供に努めたいと思います。 よろしくお願いいたします!