36 東京四谷・坂道散歩
東京というのは起伏に富んだ街です。
武蔵野台地は関東ローム層と呼ばれる赤土でできていますが、これは火山灰が堆積してできたもの。これが風雨で侵食されて谷ができました。そのため高低差ができてそこを繋ぐ道も坂道となった訳です。
東京には谷とつく場所が特に多く、世田谷、渋谷、阿佐ヶ谷、日比谷、雑司ヶ谷、祖師谷、谷中などなど少し考えただけでもこれだけ出てきます。
特に新宿区の東部、四谷界隈は四谷自体も谷がつくほか千駄ヶ谷、市ヶ谷と谷のつく地名が多く集まるエリア。
今回はこの辺りをブラブラと巡ってみることにしました。
旅の始まりは信濃町駅から四ツ谷駅方面に少し歩いたところにある鉄道をくぐるトンネル。ここを抜けると起伏の激しい四谷の町が待っています。
トンネルをくぐって角を曲がればいきなり現れる急坂。
車は下りの一方通行です。
これは新助坂というそうです。新助さんという方が住んでたから新助坂なんだそうです。坂の名前になるほどの新助さんとはどんな方だったんでしょうか。東京にはこのように坂に名前がついているものが多くあります。
しばらく細い路地を北に歩き、聖教新聞本社から北方向に登っていくのが闇坂(くらやみざか)。夜になると真っ暗なのでこの名がついたようですが、江戸時代は大概夜は真っ暗闇なものなので、闇坂、暗闇坂という名の坂は他にもいくつかあります。ここは脇が墓場だったりするので特に夜は怖かったでしょうね。
闇坂を登って東に歩くと戒行寺というお寺があります。天狗の鼻のような植栽がなんとも個性的です。その前あたりから東に向けて下って行くのが戒行寺坂。ここにはおいしい油揚げを売る豆腐屋もあったことから油揚坂とも呼ばれたそうです。探しましたが今は豆腐屋はありませんでした。
戒行寺坂を北に折れてすぐ右手には観音坂。左手には今も潮干観音という観音様を祀る寺があります。右手には信寿院というお寺。この界隈はお寺がとても多いです。
寅年に因んだ空海様のありがたい言葉です。
観音坂は登らずさらに北へ。
右手には東福院坂。登って行くと左手には今も東福院というお寺があります。またの名を天王坂というのですが、
東福院坂を登って下方向を見ると、階段が見えます。
この階段を登った先にある須賀神社がかつて牛込天王社と呼ばれていたからついた名前です。
さて、ではこの階段を登ってみましょう。
階段を登って振り返ってみます。なんだかどこかでみた景色ですね。初めて来たんですが。
そう、ここは映画「君の名は」で瀧と三葉がラストシーンで再会を果たした場所。
山手線からかなり離れているのでここまで2人とも走ってきたの?と思ってしまいますが、そこはご愛敬。
右手の建物や電線は消されていますが、割とリアルに描かれていますよね。
映画公開から数年経っていますが、まだまだここを訪れる人はいるようで、写真を撮っている人が何人かいました。
ちなみにあちらの階段は須賀神社男坂といい、もう一つ神社の中ほどにある階段を女坂といいます。
急な階段を男坂、緩やかな方を女坂というそうです。
さて、最後に須賀神社でお参りを。今後の旅の安全を祈願しました。さきほどの写真で幟に書いてあった一陽来復、とは新年が来ることを意味します。こちらでは冬至から節分までの間、一陽来復御守りが配られています。
わざわざ坂道を見に東京に来ることはないかもしれませんが、住んでいる方ならとても良い散歩コースなのではないかと思いました。名前の由来なんかを知るとその土地のかつての姿なども偲ぶことができてとても楽しいです。みなさんも少し、東京の坂道を歩いてみては如何でしょうか。
こちらは少し離れて乃木坂。乃木坂って意外に大きな道なんですね。そして、左手にあるのは乃木坂さんの事務所ではなくてジャニーズ事務所なんですね。余談ですが。
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