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女子会の終焉


女子会。


女性だけの飲み会や食事会を表す『女子会』は、どうやら2009年にHOT PEPPERの企画で女性専用プランを提供し始めたことをきっかけに日本中に広まったらしい。

女子会という言葉が定着して15年近くが経つわけで、私も今まで数多の女子会に参加してきた。
時には主催者側になってみたり。


つい先日、洒落ぶってテラス席で友人とイタリアンを食べている時に、ふと店内に目を向けると、二十代半ばくらいの可愛い女の子達がキャピキャピと楽しそうにはしゃいでいた。
(目線がおっさんなんよ)


「女子会を純粋に楽しめるのって、全員のライフステージが一緒の時だけかもな。」


どんなグループの女子会でも純粋に楽しめていた二十代の頃と違って、いつの間にか気乗りしない女子会が出てきてしまった。

もはや年齢と経験を重ねたからか、上手に回避する術も覚えて不参加になることも増えた。

コロナ禍で気軽に人と会えなくなった時期、ここぞとばかりに疎遠になった人達がいる。
事実、コロナを機に意識的なのか無意識なのかは不明だが、人間関係の整理をした人は多いと思う。

だけどいつの間にかコロナ禍も終焉を迎え、緊急事態宣言が出ていたなんて夢であったかのように今まで通りの日常が戻り、対面のコミュニケーションも増え、結局人付き合いの煩わしさがここ最近また浮き彫りになってきた。



2024年も、もう半年が過ぎてしまった。
あけましておめでとうと言ったのはついこの前のような気がするのに、年々、時の過ぎ去るスピードは早くなって、むしろ早くなり過ぎて、自分の実年齢と精神年齢はますます乖離していく。

気持ちだけは若いまま取り残されて、時たま書類に実年齢を書く機会なんかあれば、目が飛び出るほどギョッとする。


時のスピードを感じれば感じるほど、混沌とした気持ちになる。

特に6月はそんな月だった。

何故だろうと振り返ってみると、6月は何故だか『女子会』が多かった。
しかも運命の悪戯とばかりに、見事に女3人で集まる会ばかりだった。


キャリアもライフステージも異なる女3人が集まる。
共感したり、共感できなかったり。


参加者の1人である私は何も変わらないはずなのに、残り2人のメンバーが異なるだけで、話す内容も盛り上がり方も面白いほど様相が異なる。

女にはいくつもの顔がある。





女子会というワードを聞くと、いつも思い出すのはジェーンスーさんの大好きな本で『女子会には二種類あってだな』という章。

この手の女子会は、”女同士の集まり”を自称しながらも、参加者は対異性の女性をしっかり意識している。
ー中略ー
が、世の中にはSNSに載らないような女子会も存在します。
私はこれを「海賊の宴会」と呼んでいます。

「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」  ジェーン・スー著


ホテルのラウンジで優雅にアフタヌーンティーやランチをしてみたり、いわゆる映えな世界観での女子会。
もう一方は、社会で戦ったあとの宴だとばかりに飲み食いして、ただ永遠と喋り続け、笑い、お互いの苦渋を舐め合う。

それぞれに違った楽しみがある。




海賊の宴会は最高に楽しい


同じ歳の女がたまたま3人集まった。
昔からの気心知れた友人と遊んでいる時に、その友人にもう一人から連絡があって成行で3人で夜ご飯を食べることになった。


店内の男女を見つけると、
距離感からマッチングアプリで出会った二人に違いない。と決めつけ、チラ見レベルではないガチ観察が始まる。(やめて?)

お互いいい感じに思ってそうじゃない?
あれはきっと女が年上で男が年下よ。
結局ああいうブランド物も身につけていない無難で素朴な女が男は好きなんよ。
待って、男の子がもはや可愛く見えてきた。
え、愛おしい。
可愛い〜〜私もデートしたい〜

男、今どうやってクロージングしようか必死に考えてるわ。
おいおい、男、鼻の下伸びてない?

え、待って。そもそも鼻の下伸びるって何。
顔の下半身が制御不能になってるんや。
(顔の下半身ってパワーワードすぎん)
本物の下半身はどうなってるんやと下ネタトークにも花を咲かせ、

終いには、私も鼻の下伸ばしてえ〜〜〜グヘヘと言う始末。


ほっといてやれや。
完全なるBBAトークが止まない。

本当、あの時のカップル(?)ごめんなさいね。




8歳差の女3人が集まった。
総合商社で頑張る8歳年下の女の子と、8歳年上には到底見えない超美人。
出会いは数年前に一瞬通ったビジネススクールで、終了後も年に数回集まるような間柄で、二人ともバリキャリ女性で仕事面での多岐にわたる会話もしつつ、恋愛トークにも花が咲く。

1番年下の女の子の同棲している彼氏が結婚を決めてくれないという、あるあるな相談から始まった。

私も年上女性も、意見は一致していた。

女からのクロージングは絶対にするな。
生涯の中でも結婚という最大の決断ができない男と結婚したとて、これから先の人生、何が起こるかわからないのに、苦労を共にして責任取れる男か?
彼女が結婚したいと言っているのに、いい年した男(三十代後半)がプロポーズしないのであれば、他にも目を向けたら?
地球上に男は何人いると思ってんの?35億よ。(黙れって)

そもそも結婚が決まっていない同棲って、男はぬるま湯に浸かっていて、そんな居心地のいい状態から、わざわざ結婚という責任をとる必要がないと思ってる可能性大。

矢継ぎ早に現実的な話をして、超絶フルボッコにしてしまった。(本当いい加減にして?)


この歳になると離婚している人がすごく多い。二十代なんてまだまだ若いし、焦る必要は全くない。という年上女性からの言葉も追加された。
年上女性は離婚も再婚もしており、人生経験の豊富さからくる言葉の重みが違う。


とはいえ、自分も通ってきた道だからこそ、30歳を前にした女子の気持ちも痛いほどわかる。


それにこのくらいの年齢の時に、お節介BBAたちに何を言われても、まだピンとこないだろうというのも想像に易い。
きっとまだ周りは独身だったり新婚だったり、結婚に夢も希望も持っているだろう。

ああ、若さが眩しい。


「煮え切らない男に、結婚を決意させる大作戦」と称して、お節介おばさん2人からのアドバイスも加わった。
この対処法を書き出すと長くなるので、また別のコラムで。


そして最後はお決まりの(?)下ネタトークで幕を閉じた。

※公開できないほどのガチ下ネタなので詳細は控えます。←え
※近くに座っていたおじさんに何度も見られました。←は




小学校からの付き合いの同級生女が3人集まった。
人生の半分以上の歳月を知り、気心知れた仲で、今でも定期的に集まって近況に花を咲かせることができる関係性って尊い。


この時は昔話に花を咲かせた。

りぼん派だった?なかよし派?から始まり、
カードキャプターさくら、グッドモーニングコール、こどものおもちゃ、神風怪盗ジャンヌ、NANA、ミントな僕ら、フルーツバスケット
(年齢がバレる)

ぎゃ〜〜〜懐かしい〜〜〜〜

応募者全員サービスのために切手集めてた。
ぎゃーーーわかる!!!
そもそも、付録とかただの紙なのにめっちゃ楽しかったよな。なんか組み立てたりするの。
なんて安上がりな子ども!
いやでも、めっちゃいい時代だったよな。

過去を振り返って懐かしみ、楽しむあたりが歳をとったなと思いつつ、昔話を共有できる友達って最高なんだよな。



女子会が終わる時


「子どもが産まれても、こうやって集まろうね。」

とある女子会で言われてドキッとした。


確かに今までも仕事や結婚、出産を機に女友達と疎遠になった経験は何度もある。

でも、ライフステージが変わっても、付き合いが変わらない子もいる。
まさに昔の漫画話で盛り上がった同級生なんて、未婚、既婚、子持ちと3人のライフステージは異なるのに、定期的に会うことができるし、実際に集まると楽しい。

果たして、この違いは何なのだろうか。



新婚女性2人と集まり、美味しい料理に舌を鼓、近況を報告しあう。
1人が不妊治療の話をした。
独身である私は他人事のように呑気に聞きながらも、相当な気苦労を抱えているだろうなと想像力を働かせてみる。

その直後もう1人の女性のターンになり、
「実は妊娠がわかったの。」と言い出した。


もはや私はタイムトラベラーか?!
ドラゴンボールの精神と時の部屋にいるのか!?(知らない人ググって)
というほど、一瞬、時が止まった。

違う違う、そうじゃ、そうじゃな〜い〜♪

鈴木雅之の歌も脳内で勝手に流れてきた。


不妊治療で苦労している女性が話した直後に、妊娠を公表するとは、明らかにタイミングが悪い。

もはや全く関係ない私の方がドギマギしてしまって、本来は喜ばしいことなのに、この場の空気をどうすればいいのか頭をフル回転させ、とてつもない疲労感を覚えてしまった。





今までの経験を踏まえて、改めて考えてみると、
女はつくづく共感の生き物なのだなと思う。


バリバリ働く女性たちが仕事の話をしているところに、専業主婦の人が混ざってもきっと理解できないだろう。

子どものいない女性が、ママ友たちの輪の中に入って子育ての話をされてもついていけないだろう。

円満な夫婦関係を築いている女性が、不倫している女性の話を聞いても意味不明であろう。


居心地の悪い女子会は続かない。

複数人が集まる女子会で、マイノリティ側になるとかなりキツい。



ライフステージが異なることで疎遠になってしまうのは、経験していないことに対しては共感できないからかもしれない。

だけど、相手の立場や状況を察することができる人たちが集まれば、ライフステージが異なっても疎遠になることはない。

海賊の宴会エピソード(?)で書いたように、純粋に馬鹿騒ぎして楽しめる女子会は、全員に共通するトピックがある。


たとえ今、共感できなかったとしても、自分のフェーズが変わり、新たな経験をすることで理解できるようにもなったりもする。

疎遠になったとしても、ふとしたきっかけでまた集まるようになったりもする。


それに、新たな出会いがある。



きっとメンバーが変動したり、
形態が変わったり、
『女子会』というワード自体は変わっていくかもしれない。


だけど、きっと、
『女子会』が完全に終わることはないのだろう。





















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