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佐川茶を育んできたこの場所で、10年先もその先もお茶農家として生きていく【村田園芸】


「まきのさんの道の駅・佐川」で販売している「緑茶ヘイジー」には、佐川茶の粉末を使用しています。そのお茶を育てているのが、佐川町で50年ほど続くお茶農家の村田園芸です。今回は、村田園芸のお茶畑にお邪魔して、お話を伺いました。
前回ご紹介した緑茶ヘイジーについては、こちら👇からご覧ください。

私たちTOSACOメンバーと「まきのさんの道の駅・佐川」ご担当者の大黒さんを迎えてくれたのは、村田園芸の村田千絵子さん。10年ほど前に東京から高知に移住してきたという村田さん。旅行で高知を訪れた際に、現・夫の村田昭雄さんが取り組む6次産業化グループ「黒岩じるし」を知り、そこから何度か高知を訪れるようになり、2014年には佐川町の地域おこし協力隊として移住したそうです。その後、村田さんと結婚し、村田園芸さんのお茶栽培を担うようになりました。

かつての日本茶一大産地が、現在では存続の危機に

まず案内いただいたのは、「やぶきた茶」の畑。日本で栽培されているお茶の7割以上がこの品種と言われるほど、ポピュラーなお茶です。

村田農園さんの茶畑があるのは、昭和52年に造成された山間にある茶畑で、最盛期には540人ほどのお茶農家さんが栽培を行なっていたそうです。それが現在では村田さんを含めて8人に。佐川町の一大産業だったお茶栽培が一転、この数十年で存続の危機に瀕している現状だといいます。

瀬戸口:お茶畑は初めて見せていただきましたが、すごく綺麗に手入れされているのですね!向かいにあるのは、もしかして茶畑“だった“ところですか?

写真:右側が村田農園さんの茶畑で、道を挟んで左側が手入れをやめて1年後の茶畑。
素人目には、1年前まで茶畑だったとは気づかない。

村田さん:現在はライフスタイルが多様化し、手軽に飲めるペットボトル飲料が主流となっていて、自宅でお茶を淹れて飲むという文化が廃れてきてしまっているのが現状です。それに伴い、お茶農家も減少していて、手入れをやめてしまった畑も増えてきています。お茶農家として、お茶を生産するだけでなく、淹れたてのお茶のおいしさや楽しさを消費者に伝えていかなければと取り組んでいるところです。

消費が減少する中、できることはすべて取り組もうと、商品の卸販売だけでなく対面販売にも積極的に出向いている村田さん。「まきのさんの道の駅・佐川」でも週末やイベント開催時などには試飲や直接販売などのブース出店を行なっているそう。

私たちも畑を見学させていただいた後、よく冷えた水出し緑茶をいただいたのですが、そのおいしいこと!

お水にティーバッグを入れて冷蔵庫で数時間放置するだけと、とても手軽なのですが、飲んでびっくり。まろやかでお茶の旨みを感じられ、夏にぴったりの清涼感ある味わい。お茶ってこんなにおいしかったんだ!と、感動しました。

おいしく淹れるポイントを伺うと、「茶葉をケチらないこと」だそう。少な過ぎは禁物で、適量を守ることでおいしいお茶が淹れられるそうです。

紅茶の産地・佐川町を復活させたい

お茶の生産が盛んな佐川町は、50年ほど前には国内有数の紅茶産地でもありました。緑茶として栽培する「やぶきた茶」を紅茶に加工するほか、紅茶用品種として希少であった「はつもみじ」や「べにほまれ」の栽培も行われてきた歴史があったのです。村田園芸さんでは、一度は衰退してしまった紅茶の生産を復活させようと、近年では紅茶用品種の栽培にも積極的に取り組んでいます。

写真:紅茶用品種「べにふうき」の茶葉。新芽の葉先が赤く色づいている。


写真:紅茶用品種「べにふじ」「いずみ」「はつもみじ」の苗木を3年かけて育て、定植した。

村田さん:お茶っておもしろいですよ。同じ茶葉でも加工の違いで緑茶になったり、紅茶になったり、烏龍茶にもなれるんです。いろいろな品種や栽培方法を試したいのですが、やった分だけ素直に応えてくれることもあれば、うまくいかないこともあります。思い通りにいかないと、その悔しい思いを1年間引きずりながら次の作まで待たないといけません。笑

瀬戸口:ものづくりが好きなんですね。ビシビシとやる気を感じます。
 
チャレンジ精神に富む村田さんですが、取り巻く環境は明るいことばかりではありません。

村田さん:10年後には、8人いる茶農家が何人になっているか…。うちだけではお茶作りを続けていくことは難しいので、できるだけ多くの農家さんが続けていけるよう、消費の拡大に取り組んでいけたらと思っています。そして、紅茶や烏龍茶などの商品開発も進めて、佐川というお茶の産地を守っていきたいです。

地域の現状を冷静に分析し、一方で熱い思いを持ってお茶の栽培や加工に取り組む村田さん。「緑茶ヘイジー」という商品を通して、こんな素敵な農家さんと出会えたことは、TOSACOにとって大きな喜びです。村田さんの挑戦を今後も応援していきたいと思います。

写真:紅茶畑にて。
写真:夫婦二人三脚でお茶の栽培から加工、販売まで行う村田園芸さんと。

次回の記事では、緑茶ヘイジーを販売する「まきのさんの道の駅・佐川」に併設する「佐川おもちゃ美術館」をご紹介します。施設のコンセプトや高知らしさが散りばめられた子どもも大人もワクワクする様々な仕掛けを取材しました。

▼▼▼緑茶ヘイジーを購入できるところ▼▼▼
まきのさんの道の駅・佐川
 
住所:高知県高岡郡佐川町加茂2711-1
営業時間:午前8時〜午後6時
※12月・1月は午後5時閉店
※テナント・施設ごとに営業時間が異なります。
定休日:1月1日、2日


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