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【句集紹介】聖樹 菊池洋勝句集を読んで

・紹介

 小生が管理人をする「房州オンライン句会」に参加いただいている俳人菊池洋勝氏の句集紹介である。

 いつもなら、句集についての紹介文や感想をここでつらつらと語るのだが、今回は短文でご容赦願いたい。洋勝氏の句を前に、小生の文章力では上っ面の薄っぺらいことしか書けそうにない。

呼吸器と同じコンセントに聖樹 菊池洋勝

 この句は小生が俳句を初めて間もない頃、北大路翼氏編の「アウトロー俳句」にて知った氏の代表句だ。

 言わずもがな、この句はまさしく「今を全力で生きている人間」の句である。本句集にこの句は収められていなかったが、他の句も皆一様に、この句同様の生を感じさせられるものばかりだ。

 生きるとはどういうことなのか。心揺さぶられる俳句とはなんなのか。そもそも俳句とは何のために作るのか。その答えに一番近い俳人は小生の知る限り、菊池洋勝氏である。厳選10句より、洋勝氏の俳人魂を感じてもらえたら、1ファンとしてとても嬉しい。

・厳選10句

看護婦の透ける下着も春めける
卒業の報告に来る面会者
買ひ方を教はり切符手渡され
余命半年の変態髪洗ふ
二度付けのソースの染みる五月かな
プールなき町に生まれて育ちたる
車椅子に載るだけ載せて西瓜来る
無観客試合八月十五日
秋簾尿瓶を洗ふ人を呼ぶ
着ぶくれて見分けのつかぬ背中かな

・作者略歴

菊池洋勝。1971年栃木県生まれ。先天性筋ジストロフィー症を患う。北大路翼氏の屍派や、毎週web句会などのネット句会などに参加(本句集略歴より加筆)



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