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創作の糧(皆様の気になった記事を紹介)

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ライティングや創作のヒントになるような記事。特に再読したい記事をスクラップしています。素晴らしい記事を集めています。ご参考になれば幸いです。
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2021年8月の記事一覧

【書評】人工知能が俳句を詠む ―AI一茶くんの挑戦―

本書は、北海道大学の教授陣が、俳句を生成する人工知能である「AI一茶くん」を研究・開発し、現在の人工知能がどこまで達成し、なにができていないのかを紐解いた書である。 本書では、人工知能における俳句の意義について、次の通り述べられている。 人工知能の研究にとって俳句を扱う意義はどこにあるのでしょうか。私たちは、単に俳句を生成する人工知能をつくることを目的としているのではなく、最終的には人に交じって人と対等に句会に参加できる人工知能を開発することがゴールと考えています。人と対

【随筆】なぜ俳句の感想文を書くのか

 俳句が五七五で表現する文芸である点を知っていても、切れだとか、詩情だとか、深くまで知っている人は、私の周囲にほとんどいない。それは全く問題のない至極当然の事実である。  好きなことは誰かに勧めたい。自分から主張しては、お節介極まりないが、聞かれたのであれば、俳句は面白いよ、と偉人らの名句をみせる。  堂崩れ麦秋の天藍たゞよふ 水原秋桜子  芥子咲けばまぬがれがたく病みにけり 松本たかし  芋の露連山影を正しうす 飯田蛇笏  ほとんどの人が「どういう意味?」という。他、

どなたかの書いたものではたと気づいたのですが、夏の果物が大好きな理由。人は最初に食べたものに影響を受けるのではないかという。私は春生まれなので、おそらく離乳食で初めて口にした食べものは夏の果物の果汁だったのではないかな?と。桃や西瓜、初秋にかけての梨やぶどう……贅沢な春生まれ。笑

おぼろ月もうもう消えてゆきにけり 今から30分前くらいに、 ふと玄関先に出て見ますと、 おぼろ月がみえました。 一旦、家に入り、5分後、 また見に行きましたら、 もう雲に隠れて見えなくなって いました。 久しぶりに見た、明るいお月様でした。

真鍋呉夫の怖い俳句

残暑がきびしいからでしょうか。ある方から、「怖い俳句はないか」という質問を受けました。 突堤に指のかかりし月夜かな/真鍋呉夫(まなべくれお) 釣りが趣味の方でしたので、これをあげました。 『真鍋呉夫句集』 宋左近 編 芸林書房 2002年 111頁 情景は、明瞭です。月光が、隈なく照らしています。ホラー映画の冒頭のシーンのようです。何が海から上がってきたのでしょうか。何の情報もありません。読み手は、自分のもっとも怖いものを、想像してしまうでしょう。 作者の真鍋呉

星野くんの「二塁打」/道徳に反して成功した人を評価すべきか

ご存じですかね、星野くんの二塁打。 道徳の授業で取り上げられていたらしいので、ご存じの方も多いかもしれません。わたしの記憶には凄く、薄く。通っていた小学校では取り上げられていなかったか、もしくは道徳の授業が退屈で聞いていなかったかで、どこかで聞いたことあったかもなー、レベルでした。 舞台は旧制中学での甲子園をかけた野球の試合の一幕でして、授業では、監督の指示に従わなかった星野くんは正しいか否か、みたいなことがテーマになることが多いようです。 要約はこんな感じ ・1 R

俳句生活「虹」好き句鑑賞 その1

はじめまして。俳号「いかちゃん」と申します。先日結果発表された、カタログハウス通販生活内の企画、俳句生活「虹」の作品のなかから、特に好き!と思うものについて、鑑賞文を書かせて頂きました。僕の鑑賞のクセで、多分に分析的な文章となってしまっていますが、ご容赦ください。それでは、どうぞ! 夕虹を煮詰めて街の夜に塗る/磐田小ド都会の句だと思いました。歓楽街。人々は虹の美しさに気付くこともない。灰色の街に現れた「夕虹」の色彩は、どろどろに煮溶かされ、「街の夜」に塗られてネオンの輝きと

まいにちが平和であってこそ稲穂

季語▷いなほ( 三秋 ) 現代俳句

八月という月

    長崎や坂折れさうに秋暑なり      梨鱗 もうずいぶん以前に、長崎を訪れました。 どんな町だったのか、記憶もおぼろです。 今では長崎というと、テレビや映画でよく映る長い坂が浮かびます。 あれは、実際に見た景色でもあったのでしょうか。 八月という月は、記憶に留めておかないとならない出来事があった月でも あります。 広島忌 長崎忌 終戦記念日。 ユヴァル・ノア・ハラリ氏は、その著書「サピエンス全史」で 世界は現在、ゆるやかに統一化されている最中だと述べています。

目にはさやかに見えねども

8月7日は立秋でした。 この頃になると、ふと思います。 日本語の中で「立秋」が一番好きかもしれないと。 それだけ連日の暑さに参っているということですね。 (まあでも、「感動を伝えたい」だとか「笑顔が最高のプレゼント」だとかよりは、よほど風通しのいい日本語です) 秋の立つその日が、たまたま雨降りだったり、 日差しの落ち着いた曇り空だったりすると、 今年は秋のおとずれが早いのかと、期待します。 そんなこんなで数日間は 暑さに終わりの来ない現実に目隠しをします。     

星野いのり「疼痛」を読む

星野いのり作品が文藝春秋に掲載されたことと、それに関するいくつかのTwitterでの批判があったことを人伝に聞いて知った。 その批判を敢えて引用はしないが批判が鋭さを帯びていないのは提示された俳句をないがしろにしていて、メディアや独自の認識表明のために作品が使われているからだと。 俳句が「駄作」というよりも深刻なのは評者が提示された俳句にかむかっていないことだと思った。星野作品についてどんな批判があるのかはご自身で調べてみてください。 蔦青し旧姓に押す訂正印 星野いのり

「官能句会」を振り返って~ どんな句が詠まれ、どんな句が人気を集めたか?

6月27日放送に放送のBSフジ「タイプライターズ~物書きの世界~」に「女性のための官能俳句を読(詠)む夕べ」主催者としてリモート出演したことを記念して、「さっぽろ俳句倶楽部」では先日「官能句会」(夏雲システムを活用したオンライン句会)なるものを開催しました。 リモート出演の詳細は、こちらで書いています。 「官能句会」はひとり2句まで投句で、36名が参加、全69句が集まる句会となりました。 「官能俳句」の定義は特にしていなかったのですが、事前に、「女性のための官能俳句を読

南北はまだわかるけど、地球が丸い以上、地球の東側、地球の西側って表現おかしいなって思うんだよな。いわゆる大雑把に言ったところの東洋、西洋論っていうか。