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俳句マガジン 「ランタン」

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小生の処女句「ランタンはゆつくり灯る秋の雨」より。これから俳句を始める人や、句作に悩んでしまった人たちの、道を少しでも照らせたらと思う。
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2021年4月の記事一覧

俳句 雑詠4句

進路票が好きだった。そこに何かを書けば、何かになれるような気がしたから。だから、進路票が嫌いでもあった。何も書けなかったし、書きたくなかった。こんな年になって、ずいぶんと遠くまで来たが、小生の進路票はいまだ白紙である(いいのか?) 揚羽蝶白紙の進路調査票 夏の雲君に秘密の手紙焼く 白日傘お別れを言うために来た 夏山の墓石に俺の名があった 亀山こうき

【プライドを捨てよ。添削を受けよう】俳句的を読んで(2章-8.9のまとめ)

 引き続き、「思考の整理学」の著者、外山滋比古先生の「俳句的」のまとめである。今回は8項「音楽と絵画の間」、9項「けずる」についてのまとめる。  本項では、芸術において如何に添削が大事かが説かれている。後世に残り続けるような本物の芸術表現を目指すのならば、添削は必要不可欠だと、著者はいう。添削は正直怖いものである。小心者の小生は、先生にびしばし赤ペンを入れていただくたびに、胃の辺りがキリキリする。しかし、上手くなりたい一心で、その恐怖に耐える。  「この人は」という先生に

【個性的でない個性的な文章の書き方】俳句的を読んで(2章-5.6.7のまとめ)

 引き続き、「思考の整理学」の著者、外山滋比古先生の「俳句的」のまとめである。今回は5項「視点」、6項「よむ?」、7項「点と点」についてのまとめである。  ここで、小生の心に深く刻み込まれている句をご覧いただきたい。 かげろうや目につきまとうわらひ顔 小林一茶  この句は「陽炎(かげろう)」、「付きまとう」、「笑い顔」という語のかたまりで、できた句である。それぞれの言葉を単体で見ると、どちらかと言うと「プラス」の意味合いに感じ取れるものが多い。  しかしこの句が書かれ

房州オンライン句会 21年4月句会結果発表

「房州オンライン4月句会」の結果を発表します。今回は「当季雑詠」「1人2句」の条件で開催しました。 参加者は10名で、計20句が集まりました。ご参加いただきました皆さん、ありがとうございました! 初めて参加されて方も多い回になりましたが、いかがだったでしょうか。楽しんでいただけたら幸いです。 それでは、点数が多く入った上位3句を発表させていただきます。点数は参加者の皆さんに「特選1句=2点」、「並選2句=各1点」にて選句していただき、集計しています。 今回の一番は、5

俳句 雑詠3句

久しぶりにレイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」を読む。やはり男はハードボイルドであらねばならぬと思う。妻の前で、寡黙な男を演じると、病気かと心配される。妻より「うっかり八兵衛」と揶揄される小生。せめて俳句だけは、ハードボイルドであらんと欲す。 夏館自画像の人戦死せり 菜殻火や呪いの如き遺書を捨つ 夏立ちぬメールを一つ消去して 亀山こうき

【何故俳句に句読点がないのか】俳句的を読んで(2章-4のまとめ)

 引き続き、「思考の整理学」の著者、外山滋比古先生の「俳句的」のまとめである。今回は4項「点と丸」について、まとめる。  当たり前の話だが、俳句には句読点を使わない。何故かと言われると困る。皆そういうものだと思っている。多分疑問にすら思わない。小生もろくに考えずここまで来た。  しかし俳句をより理解するためには、こういった当たり前を疑って自分なりに考えてみることは必要だろう。外山先生からは学んでばかりである。 ・句読点には相手への不信がひそむ(2項P68) 日本人は句読

俳句 「新婚とフランスパン」5句

 新婚時代の話をしよう。  妻も小生も超がつくほどの早起きである。だから、休日の朝は、散歩を兼ねて近くのパン屋に朝食を求めに行くのが日課だった。小生はそのパン屋の、焼き立てのバターロールが大好きだった。妻はいつも決まって、ジブリ映画に出てくるような長いフランスパンを買っていた。  しかし、小生にはそれが不思議だった。というのも、妻と出会ってこの方、フランスパンが好きだなんて話は聞いたことがなかったし、そのフランスパンが特筆するほど美味しいという訳でもなかったからだ。  

俳句 啄木忌1句とアリス『チャンピオン』より連作8句

銀行のATMは長蛇の列。小生もその列に加わり、noteを読んで時間をつぶす。lylinさんの記事で4月14日は啄木忌だったことを知る。 記帳すれど何も変わらず啄木忌 その後、久しぶりにアリスの『チャンピオン』を聴く。「ライラライラ」叫びたくなった衝動を俳句にぶつけ、小生初の連作とす。 ミット打つ音の軽さや遠き雷 負けるため走る卯の花腐しなる 夾竹桃昔の女に出会いけり 控室のベンチの上のスイートピー 白南風や老いし王者の入場す 白服の君を見つけてゴング鳴る 万

「房州オンライン句会」に参加いただいている俳句の先生のご紹介ー東國人先生ー

引き続き「房州オンライン句会」にご参加いただいている俳句の先生のご紹介をさせていただきたい。 この4月から本格的にスタートをした完全オンラインの句会である「房州オンライン句会」についての詳細は、下記記事をご覧いただきたい。 この記事でご紹介するのは、東國人(あずまくにと)先生である。 ①俳号東國人 (あずまくにと) 先生 ②所在地千葉県南房総市 ③経歴「青群」「ペガサス」「蛮」「祭演」同人。現代俳句協会会員。千葉県現代俳句協会幹事。全国俳誌協会会員。千葉県俳句作家協

「房州オンライン句会」に参加いただいている俳句の先生のご紹介ー滝口照影先生ー

今回は「房州オンライン句会」にご参加いただいている俳句の先生のご紹介をさせていただこうと思う。 房州オンライン句会は、この4月から本格的にスタートをした完全オンラインの句会である。詳細は下記記事をご覧いただきたい。 この記事でご紹介するのは、滝口照影(しょうえい)先生である。 ①俳号滝口照影 (たきぐちしょうえい) 先生 ②所在地千葉県 ③経歴館山市俳句連盟所属。令和2年度房日新聞の俳壇選者。短歌や書道、写真にも精通。 ④10句ご紹介(晩春より)上野公園花見のシー

俳句 雑詠5句

子供の服がすぐ小さくなる。冗談でなく昨日買った服が、今朝は小さく感じる。金がいくらあっても足りない。勘弁してほしい。だから小生は親戚宅を回る。夜討の如く押しかけては、恩着せがましく、小さくなった子供服の処分を請け負うのだ。今年の夏はこれで乗り切る。 夏服に甥っ子の名が残ってる白すぎる白服を着たZOOMかな風光るアルデンテぐらいが好きで駆け抜けた竜馬のブーツ夏落葉若葉風クラーク像の指先を亀山こうき

【句集紹介】ローズティー 羽村美和子句集を読んで

・紹介 今回ご紹介するのは、小生が参加する俳句同人ペガサスの代表、羽村美和子先生の第一句集『ローズティー』である。この度は小生のために、ご恵贈賜りまして、心より感謝申し上げます。 ちなみに、第二句集『堕天使の羽』は紹介済みなので、こちらをご一読いただきたい。 さて。小生が先生から「留意せよ」とご指摘いただくのが、 ・季語が動かない作りになっているか。 ・感情を吐露しすぎていないか。 という点である。これらは、短詩型文学としての俳句の基礎中の基礎なのだが、なかなかに難

プロフィール(俳句くだらねーと思っていた小生が、突然俳句に目覚めたわけ)

ご覧いただきありがとうございます。 小生、仕事の傍ら、副業として俳句教室を開催したり、俳句に関連する文章を書いたりする、自称、 「俳句の水先案内人」 であります。(活動内容については下記『お受けできるお仕事』をご参照ください) まだ句歴は浅いですが、花の20代の後半部分を俳句という、「渋い文芸」に費やしてしまった小生。捧げたものに似合うだけのものは得てきたつもりでおります。 何かと敷居が高く思われる俳句。 高尚で難解なイメージのある俳句。 かく言う私も数年前まで

【句集紹介】吉野の花 原石鼎句集を読んで

・紹介原石鼎(はらせきてい)は大正期に活躍をした俳人の一人である。 秋風や模様のちがふ皿二つ 秋風に殺すと来る人もがな と言う句に代表されるように、小生は、 「秋風の俳人」 として石鼎のことを記憶している。(上の句は同じ柄の皿を買いそろえる余裕がないほどの貧困を。下の句は不倫駆け落ちをした際、相手の夫が、自分を殺すために、秋風とともにやってきたらいいな、という願望を詠んだ、かなりロックな句である) 虚子に師事し、ホトトギスの同人であったわけなのだが、作風は写生の匂