【読書レポ】三島由紀夫『奔馬』を読んで

ようやくのこと、三島由紀夫『豊穣の海 奔馬』読了。

三島由紀夫遺作となる『豊穣の海』四部作の第二章となる本作。第一章の『春の雪』から感じていたが、政治的な用語と相関関係の多さは複雑になってくる。

何の書評か解説かは忘れてしまったが、後年の作品になるにつれ三島の注視が内省から関係性に移っているのはよくわかった気がする。

その圧倒的なまでに緻密に内側を捉える描写に惹かれつつも、ただでさえ難解な上に関係の複雑さまで入ってくると読み応えがありすぎる。

続きも読んで三島の世界を追っていきたい。

個人的には『春の雪』のほうが好み。内観と思慕に殉じた清顕(春の雪)に対して思想に殉じたのが勲(奔馬)だろうか。

己を生きるのは同じながら、清顕は自身の内側の衝動や激情に突き動かされ、勲はそれに付随して社会の変革という「世界への関わり」の目的がある。

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