太陽にほえる

子どもの頃はよく澄子に叱られた。
口癖は「いい加減にしなさいよーーー!」だった。
兄によく意地悪をされた小学生時代。
私はどうにか復讐できないものかと考えていた。
夏休み、兄は「下手くそ」と言って私の自由研究の水彩画を破った。
澄子が帰ると私は即、告げ口した。
澄子の怒りは今までみたことのないもので、鼻や耳からマグマが吹き出すかのごとくだった。
そして兄が大切にしている「太陽にほえろ」のポスターを真っ二つに破った!
顔面蒼白になったのは兄ばかりではない。
私もだ。
それは先日兄が伯母に付き添ってもらって、札幌へ行き、デパートで何時間も並んで手に入れた木之元亮さん(ロッキー役)のサイン入りだった。
兄はベッドに突っ伏して泣いた。
晩御飯も食べなかった。
兄ちゃん、ごめん。
私のせいで…。
以来、兄を憎らしく思う出来事があっても、あの日のことを思うと我慢しようと思うのだ。
いや、中々我慢はできないが…。

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