【名盤伝説】“高中正義 / Brasilian Skies” リアルな蝉しぐれと聞く贅沢。真夏の定盤フュージョン。
MASTER PIECE 夏が来れば思い出す〜日本のフュージョン界での永遠の夏男、高中正義1978年リリース『Brasikian Skies』です。
日本のロック系音楽界の黎明期、1970年代初頭からプロとして活動して、1972年に加藤和彦率いるサディスティック・ミカ・バンドに参加してから私も知ることとなりました。
バンド解散後の1976年にソロアルバム『SEYCHELLES』リリースして、フュージョン系ギタリスト(当時はクロスオーバーと呼ばれていました)として本格的な活動を始めます。サンバのリズムを基調としながらも、ロック・フィーリング溢れる爽やかサウンドが人気となります。
そんな高中(当時25歳)の4作目がこの『ブラジリアン…』です。レコーディングは国内の他LAやリオでも行われ、当時人気が出始めていた現地の人気若手スタジオミュージシャンが数多く参加しています。ドラムにはTOTOデビュー直後のジェフ・ポーカロやジェームス・ギャドソン。ベースには実力派エイヴ・ラボリエル。キーボードにはグレッグ・フィリンゲインズ。国内からは坂本龍一も参加しています。ラテン・パーカッションには人気のポーリニョ・ダ・コスタ。コーラスは桑名晴子など、良いメンバーが揃いました。
タイトル曲のM2。ラテンパーカッションによる軽快なラテンのリズムと桑名によるコーラスが、まさに夏真っ盛りに相応しいサウンドです。
お馴染みのSGサウンドによるロックチューンM6。途中のキーボードとの掛け合いが良いアクセントになって、ミディアム・テンポの曲に変化をつけています。
ラストM8は個人的にアルバムのハイライトだと思っています。伊豆のスタジオで録音されたのでしょうか。蜩の鳴き声が響く中で柔らかく響くローズ・ピアノとセミアコギターの音色。ゆったりと流れるスローバラードが本当に心地よいです。
この曲の思い出。伊豆ではありませんが、何年か前に箱根の永住型リゾートマンションに移住した知り合いを友人達と一緒に訪ねたことがありました。彼の営む移動型カフェに立ち寄った後、夕暮れ時にマンションに到着。まぁどうぞと各戸に注がれている温泉をいただきました。箱根山の中腹にあるだけに、窓を開けていると心地よい風が吹き抜けます。当然のような蝉しぐれ・・・風呂から上がったところで、「この曲聞こうよ」とリクエスト。リアルな蝉の音と共にこの曲を聞くと、はぁ~夏の正しい過ごし方だよねと、その場にいた皆んなで心から涼みました。
そんなギターヒーローは未だ健在で、全国ツアーも毎年行われています。幾つになっても夏は彼のサウンドが似合います。
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