【名盤伝説】”高中正義 / SEYCHELLES” 憧れの夏 永遠のリゾート指向のギターフュージョンの名盤。
お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。今回は日本のROCK / POPS界からインスト(歌なし楽曲)へのアプローチを試みたギタリスト高中正義です。
1975年のサディスティック・ミカ・バンド解散後、メンバーだった今井裕、後藤次利、高中正義、高橋幸宏の4人でサディスティックスとして活動を始める中で、1976年にリリースされた高中のソロデビューアルバムです。
サディスティック・ミカ・バンドで注入された加藤和彦の音楽センスをそのままに、独自の解釈を加えていったメンバー達。アルバム参加ミュージシャンにはサディスティックスの今井裕(key)、後藤次利(Bs)。高橋幸宏は3曲歌詞を提供。その他ドラムに林立夫、パーカスで浜口茂外也と斎藤ノブ、ボーカルでTAN TAN、井上陽水がコーラスとしてクレジットがあります。
ホルヘ・サンタナにカヴァーされたM1「Oh! Tengo Suerte」。爽やかなアルペジオからのイントロのアレンジは、UKツインギターの人気バンドWishbone Ashの名盤『There’s the Rub (邦題: 永遠の不安)』(1974)収録曲「Silver Shoes」を想起させます。
続くM2のボーカル曲「トーキョー・レギー」は軽快な歌物ポップス。後半のソロパートはまさに「夏がまた来る♪」のイメージにピッタリ。
そしてスローなタイトル曲M4「憧れのセーシェル諸島」は極上の高中サウンド。(私の記憶によれば、あの角松敏生が「高中の中で一番好きな曲」と言っていたような)
そしてB面(笑)。ミカバンドの名曲をオマージュM5「Funkee Mah-Chan」。トロピカルムード全開のパーカッションと後藤のBsが何気に唸るがM6「サヨナラ…Fujiさん」。そしてラストは陽水のコーラスが薄く流れ、セーシェルのテーマのアカペラに続いて、ミカバンドの特徴でもあった複雑なキメが特徴的なハードな人気曲M8「Tropic Bird」でお終いです。
「夏男」としての高中のイメージが、ここから生まれたと言ってよいでしょう。
このアルバムがリリースされたときは、私もまだ高校生。ミカバンドが大好きで、名盤『HOT MENU』 (1975) をバンドが解散したことも知らずに聴きまくっていた頃でした。その後に大学に進学してバンドサークルに入部し、先輩バンドの練習を見学する中で、インストのラテンっぽい曲を演奏しているバンドがありました。「誰の曲ですか」と尋ねると、「高中だよ」と。「え?あのミカバンドの??」。その時ようやくミカバントが解散していたことを知り、高中がソロアルバムをリリースしているのを知りました。
その日の帰りがてら、大学近所の商店街のレコード店で、私はこのアルバムを探していました。ちなみにこの先輩バンドの名前もHOT MENUでしたね。
このアルバムを聴くと、大学のサークル室や、駅までの商店街の風景が浮かびます・・・全然、夏っぽくない光景ですけど(笑)。懐かしい思い出です。
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