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(春樹くんでも泣くんだ……) それが守屋麗奈の最初に抱いた感想である。 病室の椅子に腰か…
数分前のことだ。 ものすごい衝撃音がした。 ……それに聞き間違いではないはずだ。 あれ…
「――ぁ?」 鼻から何かが、ぬめりと垂れた。 夜空を見上げるように呆けていた九条。 …
「どうして……、――どうして来たッ!!」 感情が高ぶった春樹は思わず語気を荒らげた。 そ…
「おい! 何してるんだ!?」 縫い付けられるように地べたに這いつくばる春樹。 その春樹に…
「春樹っ」 病院の待合室に座っていた藤崎春樹は、自らを呼ぶ声に面てを上げた。 「……夏鈴…
「声をかけなくていいのか?」 藤崎春樹は傍らの女性にそう尋ねた。 「うん。……今日は見に来ただけだから」 そう答えた夏鈴の目線の先では、櫻坂46の三期生たちが元気に踊っている。 野外にてライブ演習を行っていたのだ。 この日は夏鈴と共に訪れた春樹。 連日、守屋麗奈と田村保乃に付き合わされ――次は私の番だね。と夏鈴に無表情で詰められた時には断る元気も無くなっていた。 「……」 「……」 二人きりになると無言の時間が多くなる。 お互い口数も少なく物静かな性格だからだろ
櫻坂46 冠番組の収録の合間。 いつもの事ながら、気だるげに隅に座る藤崎春樹。 そんな彼に…
(ふぁ~あ、眠みーな……) 藤崎春樹は欠伸を噛み殺す。 本来ならソファーに寝転がり、だら…
公園での出来事から数日後。 藤崎春樹たち四人はとある合宿所を訪れていた。 「わぁー!? …
日は落ちかけ夕闇が広がり出す古びた公園。 春樹たち四人を待ち受けていた黒ずくめの男。 そ…
櫻坂事務所、休憩室の一室。 爆弾による危機が去った二時間後である。 「……とりあえず、な…
それは強烈な衝撃だった。 窓ガラスは粉々に割れ、爆発音とともに白い煙が溢れ出した。 轟轟…
ストーカーの護衛。 それを仕事として受け持った藤崎春樹。 彼が胸にぶら下げているのはスタッフの証である。 そのストラップを指ではじきながら気だるげにレッスン室の片隅で暇そうに座っていた。 彼の仕事は見ているだけ――正確に有事の際に動くだけである―― 「おつかれさんやね、春樹君」 「おつかれさん。……俺は疲れてはいないぞ、見てるだけだからな」 休憩がてら様子を見に来た保乃にそう答える。 「そういえば静かだと思ったら、三期生はいないんだな?」 ここに通うようになってか