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おいしいごはんを食べたい話(2024.2/27の日記)

 本当に毎日同じ物を食べています。食事の一部がルールに乗っ取って進むの、めちゃめちゃ気持ちいい。

 アルバイト連勤3日目。今日はちょっとお客さんが多めで、昼休憩が16時頃になった。お腹を鳴らしながらレジを打つ。
 最後のお客さんが閉店を過ぎてもなかなか帰らなかったので、ちょっとイライラしながら片付けをした。イライラを吹き飛ばすために、帰りは好きな歌をエンドレスで口ずさみながら自転車を漕いだ。部屋に着いたときはヘトヘトだった。面白くて良い気分だった。

 本を一冊読み終わった。芥川賞を取った小説。主人公は丁寧な食事に嫌悪があるのだが、「食事は皆で摂るとおいしい」と言う上司と働き、「なるべくバランスの良い食事を摂りましょう」と言って手作りの食事を振る舞う女性と交際している。彼女の手作りの食事を食べた後、彼女が寝静まった頃を見計らってカップラーメンを食べている。

 主人公の感覚とは少し違うが、他者と食事を摂ることへの嫌さの描写が、私の心情を肯定してくれるようで嬉しかった。この小説が私の食事に対する嫌悪の部分を言語化してくれた気がして、自分だけではなさそうだと安心した。
 日記にもたびたび書いているのだが、私は他人とごはんを食べることが苦手だ。(以下の日記がその一つ)

 自分のペースで食べられない、自分の食べ方や話のペースが気になる、というのがメインの苦手さだと思っていた。この小説を読んで改めて考えると、自分の中でおいしいで済むことを、他者にも声や態度に出して示さなくてはならないことがしんどいのだと気がついた。

 一度サークルの先輩と食事をしたとき、ペースを誤って「めっちゃがっつくね、お腹空いてたんだね」と笑われたことがあった。食事をしながらアドバイスをもらう流れになって、先輩イチオシの食事の感想を言いながら、アドバイスに対する答えを準備しなきゃいけないことに緊張していた。咀嚼音が相手を不快にさせないかも気にしていたし、「おいしい」という感想をそれらしく言うことにも意識を澄ませていた。先輩を立てることを考えて、味を覚えていない。何を食べたかももう覚えていない。お腹が空いていたわけではない。

 自分のペースで自分の好きな物を食べたい。「お腹が空いたから」「エネルギーを得るため」として食事をしたい。その中で自分での楽しさを見つけたい。
 他者との食事が嫌になったのは、一人暮らしを始めてからだなと思った。自分で自分のために食事を準備する気楽さがすごくいい。毎日食事を準備してくれていた母親には感謝しかない。
 家族と食事をするのは好きだ。誰も私の食べ方を気にしないから。家族との食事は「ごはんを食べる」という意味が強いから。お腹いっぱいになったらごちそうさまを言えるから。私はそうじゃない食事が苦手だ。

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