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"福祉ネイル"ってなんだ?【CalaColo的カイセツ】

神奈川県平塚市で福祉ネイルとカインズヘルパー(自費ヘルパー)サービスを提供しているCalaColoの橋本です。

6月から本格的に活動をし始めたわけですが、宣伝活動をしていくなかで「福祉ネイルってなに?」と尋ねられることがとっても多いんですね。

たしかに、私自身長いこと福祉業界に身を置きながらも福祉ネイルというものを知らずにずっと過ごしてきており、友人の噂で小耳に挟んだおかげで、そこから調べてやっと認識したというくらいには認知度が低いものです。

まだまだ業種として若く、知名度も低く、体系的にも整っていないなと感じることが多い現状です。


「福祉ネイリスト」としてやっとこ独り立ちしたばかりのヒヨッコで恐縮ですが、今回はこの「福祉ネイル」についてまとめていこうかな、と思います。
自分自身が今後誰かに説明するときのためにまとめようとしているため、他の福祉ネイリストさんとは若干意見が異なる部分があるとは思いますが、基本スタンスは変わらないと思います。もしこのnoteを読んで興味のある方がいらしたらお近くの福祉ネイルのご利用をぜひご検討ください。





福祉ネイルってそもそも何するの?


字面から"ネイル施術を行うもの=ネイルサロンか何かかな?"というのは容易に想像いただけるかなと思います。
およそ疑問に思われるのは、"福祉"の部分ではないでしょうか。

さて、この"福祉"の部分ですが、要約すると「福祉サービスを受け(てい)る人向け」という風に読んでいただけると、だいたいそんなかんじです。


…読み飛ばす方に向けてかなりアバウトに言うとそんなかんじ、なんですが、ちゃんと読んでいただける方向けにもきちんと説明しておきますね。
アバウトで大丈夫だ問題ない。という方がいたら次の項は飛ばしていただいてもOKですよ。



福祉ネイルの定義


一般社団法人日本保健福祉ネイリスト協会(以下JHWN)が養成し、認定したネイリストを福祉ネイリストと呼称します。

「地域の老人ホームや障がい者就労支援施設、またはなんらかの事情でネイルサロンにご来店いただけない方のもとへお仕事して出張し、ネイルの力で”癒やし・元気・希望”を感じてもらい、笑顔になっていただくことを目的としたネイリストです。」(JHWNテキスト引用)

つまりは、高齢の方や病気や障がいのある方で、外出することが難しい方に向けて、自宅や施設に訪問して施術を行うサービスである、ということですね。
イコール、店舗は基本的にありません。
中には既にネイルサロンで働いている方がいたり、イベントへの出店もありますが、原則福祉ネイリストは出張形式でお客様の下へ向かいます。



施術の特徴


読み飛ばした方はそろそろ戻ってきていただいて。

さて、福祉ネイルは、ネイルサロンさんや一般の訪問ネイリストさんの施術内容との明確な違いが何点かあります。この違いをウリ文句にしている部分もあります。
大きな特徴が以下の5点です。

①カラーリングにはポリッシュ(マニキュア)のみ使用
ジェルやスカルプチュアなどは使用しません。
爪に対するダメージを考慮しポリッシュを使用し施術します。加齢や病気の影響で爪が薄くなっていたりもろくなっていたりすることもあるため、過度な負担を避けています。
このほかには、施術にかかる時間が長いとお客さまの体に負担がかかりますし、オフ(落とすこと)も専門的になってしまい時間や金銭的な負担がかかってしまうことも理由に挙げられます。

②足の爪への施術は行わない
実はなぜそうなのか、テキストにも書いてないし明確に教わっておりません。(←聞いてなかった可能性もなきにしもあらず。不真面目生徒。)

私なりの解釈としては、特に高齢の方は足の爪になんらかの問題を抱えていることが多く、巻き爪や肥厚爪(爪が分厚くなる)を始めとした爪の変形や、爪水虫などの疾病がみられることがあります。
こういった問題のある状態の爪へのケアは医療行為にあたるため、医療の資格がない者が行うと違法行為となってしまいます。
これを避けるために最初から足の爪への施術をしない、と解釈しています。

③アートはフラットアートやホログラム・シールのみ
フラットアートというのは、絵筆を使ってアクリル絵の具などで爪にアートを描くものを指します。
ホログラムは、なんかキラキラした粒です。(雑)

大きなパーツは、パーツそのものはもちろん接着剤を使用するため爪に負担がかかる上、どこかに引っ掛けてしまい爪を折ってしまう危険があるため、そういったパーツは使用しません。

④認知症のケア
この点に関しては、JHWNはかなり重要視しており、認知症緩和に関しては大学と学術研究も行っています。
メインとなるのは、"想起法"を用いたコミュニケーションに、"ユマニチュード"という手法です。これはどちらも認知症に対する有用なアプローチとして介護業界では広く認識されています。

詳細が知りたい方はGo◯gle先生に聞いていただくとしまして(別解説になりかねない)、JHWNの福祉ネイルは、認知症の方向けスタンスに重きを置いています。

⑤金額設定
これはもう明らかに「安い」です。
一般の訪問ネイリストさんと比べると半額以下です。先述の通りポリッシュ施術のため、ジェル施術との価格差もありますが、それでも安いです。

JHWN所属ネイリストは自由に価格設定をしている(下限あり・上限なし)ため、各自の腕前や活動している地域に応じて多少の上下がありますが、ほとんどがお値打ち価格に設定していると思います。

これは、対象となるお客さまの多くが年金で暮らしていたりお仕事が難しい状況にあって、なかなか経済的な余裕が生まれづらいからという理由です。


施術中の様子(これ何してるんだろ…)




福祉ネイルのメリット・デメリット


どんな物事にも良い面とそうでもない面があります。
福祉ネイルに関しても、他のネイル関連業種と比べて良い部分とそうでもない面があり、それぞれの業種に強みと弱みが存在します。

ネイル関連のみならず、あらゆる場面でカスタマー側はできるかぎりの比較検討をしていただき、納得した上でサービスが選択できると売る側買う側の双方が幸せになれるのではないかなと、そんなことを思っています。



メリット

・自宅や施設など、希望する場所までネイリストが来てくれる
・安価
・高齢者や障がい者に対する基本的知識を備えている
・認知症の緩和効果が期待できる
・QOL(生活の質)の向上
・レクリエーションの一環としての利用

やはり、高齢者に特化したサービスであるところが最大の強みとなるでしょう。安価という点も試しやすく、心理的な敷居が低くなり気軽に利用を検討できるポイントです。



デメリット

・足の爪への施術がない
・ジェルやスカルプの施術がない
・福祉ネイリストによって技術や知識に差がある

デメリットとなるのは主に技術的な部分です。
現在日常的にネイルサロンに通われている方の多くがジェルネイルにしているのではないでしょうか。私自身もジェルネイルをしていますし、持ちやデザインの自由さから見ても、なにか理由がない限りジェルが主流ですよね。
また、これからサンダルの時期というのに足の爪への施術ができないというのも残念ポイントです。

ネイリストの個体差については、セルフネイルすらほとんどしたことがない素人でも、養成講座を受けてある程度の水準に達すれば福祉ネイリストとして登録することができます。逆にサロンで現役のネイリストさんが仕事の幅を広げるために受講&登録というパターンもあります。
一応養成講座の終盤に実技試験がありますが、決して厳しいとは言えず、そもそもJHWNが重要視しているのは技術よりもコミュニケーションなので、同じ福祉ネイリストでも技術や経験値に大きな差があることは事実です。

ただし、どんな素人でも場数を踏ませてもらえれば上達もしますし、そもそも技術のみではなくセンスも重要なので、古参だから上手/新人だから下手と一概に言えないのはネイル業界全体に言えることだと思います。


実技試験はこれで通りました。




CalaColo的福祉ネイル


せっかくなのでCalaColoの福祉ネイルについてもちょこっとアピールさせていただけたらなんて。
神奈川県内全域ご訪問可能ですのでぜひご依頼ください。(露骨な宣伝)



ヘルパーとネイリストの両刀使い


福祉ネイルの養成講座の中で、介護保険と認知症についてと障がい福祉についてを学びますが、時間にして数時間程度の内容です。

その点、CalaColoはヘルパー資格持ち&現場経験者で、介護保険はもちろん障がい福祉サービスも提供しておりこちらも各種資格所持しています。

今は公的サービスから離れて独立してはいますが、自費ヘルパーとして認知症の方、精神障がいや知的障がいのある方に対してお仕事させていただいているので、感覚はまだまだ鈍っておりません。

ネイリストとしての技量に関しては、ポリッシュはまだまだ勉強中の身ではありますが、一応ジェルの方の経験はそれなりにありますので、ご満足いただけるよう研鑽を積んでいるところです。


福祉ネイリストの中でも、この介護・ネイル両サイドの経験者は全体で見ると多くないようで、この部分はかなり自信を持っています。




「介護ネイル」じゃなくて「福祉ネイル」だもの


本稿で福祉ネイルがどんなものなのかお読みいただくと感じていただけたかと思うのですが、JHWNの言っている福祉ネイルって高齢者の方(認知症の方)にかなり重点を置いています。

CalaColoとしてももちろん、高齢者の方はターゲットとさせていただいていますが、そのほかにも障がいのある方やなんらかの病気がある方、それが原因で外出が難しい・おしゃれがしづらい方への施術も重要視したいと考えています。

だって、「介護ネイル」や「認知症改善ネイル」ではないんですから。

すべての人が、どんな状況でも、おしゃれを楽しんで、少しでも気分を上げて、ちょっとでも笑顔になって、日々をその人らしく暮らしていけるようになってもらいたい。
そういう気持ちで私は福祉ネイリストになったのです。


なんかかっこつけたこと書いてたら照れてきた。




まとめ


このnoteにたどり着いた方の中には、もしかしたら福祉ネイルに興味があって、なんらかの検索に引っかかって読んでいただいたという方もいるかもしれません。

利用を検討されている方は、インスタグラムで探してみると利用したい地域の福祉ネイリストが出てくるかもしれません。
よかったらそのネイリストの投稿内容を見て、気になったら一度試してみてください。そんな怪しい者ではないはずですし、ちょっとしたランチ1回分くらいで済むと思いますのでぜひぜひ。

福祉ネイリストになりたいという方、厳しいことを言うと、最初に書いた通りまだまだ若い業態なので団体や業種としては未成熟です。協会に所属したからといって仕事を紹介してくれるわけでもなければ、現実的なフォローもほぼないに等しいですし、ここで私がnoteを書いているということは認知度も低いです。
仕事内容としては個人的に最高と思っていますが、さまざまな可能性やルートを検討した上であなたが納得できる選択をしてください。ヒヨッコ先輩との約束だぞ。


とくに理由はないけどなんとなく読んでみたという方、なんのめぐり合わせか読んでいただきありがとうございました。世の中にはそんな仕事もあるんだな〜程度にでも思って、記憶のすみっこにでも置いていただければ幸いです。


今回はほとんどふざけたことを書かずに、極力真面目な"カイセツ"をしてみました。
誰かの目に留まったらちょっとうれしいななんて思いつつ、今回はここまで。次は自費ヘルパーのカイセツでもしようか、それともすべらない話②でも書こうかな。

お読みいただきありがとうございました。

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