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枯れる観葉植物、枯れない観葉植物|エッセイ
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観葉植物を貰って良さを知る
もう何年も前のことなので細かいことは忘れましたが、何かのお祝いに観葉植物を貰いました。
それも別々の方から一鉢ずつ。
その時は分かっていなかったのですが、どちらも4号サイズだったようです。
観葉植物のある暮らしは初めてです。
無機質な部屋に彩りを与えてくれる喜びを知りました。
几帳面な性格なので、毎日しっかりと水やりをします。
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水やりが定型作業へ
小さな頃から、軽はずみな気持ちで生き物のお世話をしてはいけないと言い聞かせられて来ました。
親だけではなく、学校でも世間でも。
皆さん、同じですよね。
固く信じていました。
決していい加減にしてはいけません。
一週間も過ぎないうちに、朝起きたら水やり、帰ってきたら水やり、と定型作業になりました。
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ひと鉢の元気がありません
それなのに、ひと鉢で葉の先端が色褪せて萎れ始めています。
もうひと鉢は、少しずつ新芽が出て、ゆっくりと成長しています。
調べました。
水をやり過ぎても良くないそうで、根腐れを起こすそうです。
次の日から、水やりを朝だけにしました。
それでも、一枚、二枚と葉が萎れていきます。
もうひと鉢は元気です。
水やりを一日おきにしました。
好転しません。
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枯れました
そのまま、ひと鉢は枯れました。
それなりに落ち込みました。
もうひと鉢は、水やりの頻度を変えても関係なく、元気です。
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根が腐っていました
枯れるとは、水が足りない状況とばかり思っていたので、土をはらって何が起きていたのかを見てみました。
"根腐れ" を何かの比喩程度として、あまり真に受けていなかったのですが、本当に根が腐っていました。
周辺の土もネトネトでした。
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元気な鉢の土と葉を初めて触りました
ここで初めて元気なもうひと鉢の土を触りました。
表面は乾いていて、少し指を挿すと奥の方はしっとりとしています。
葉も触りました。
粘り気のある樹液のようなものが出ています。
きちんと調べていないし、詳しくもないので、あくまでも解釈です。
植物それぞれに環境に合わせて生き抜く力が違うようです。
水が多ければ、どんどん葉に送り、空気中に放出する。
少なければ、成長を抑えて耐える。
そういった差があるように思いました。
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反省
最初は、基礎知識の無いことを反省しました。
でもちょっと違うような気もしました。
そうなんです。
基礎知識が無くても、水やりの時に、土の様子を見ておけば良かったのです。
時には触っておけば良かったのです。
責任や義務で定型作業をするのではなく、ただ見ていれば良かったのです。
始めから愛着と興味はあったのです。
愛着と興味が、わずか一週間のうちに責任や義務に替わってしまったのです。
考えてみると、仕事でも対人関係でも同じ失敗をしている気がします。
この仕事はこうしておけば大丈夫、この人にはこういう対応を。
いつの間にか、目の前にあるものや人をきちんと見なくなっていたのかも知れません。
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数年経って
あれから数年、どこまで反省を活かし過ごせているかは分かりません。
特に対人関係は難しいままです。
ですが、もうひと鉢はすくすくと育ち、今は10号サイズへ収まっています。
そして、鉢の数は増え、ベランダにも置いています。
植物が与えてくれる彩りとは、見て触って迷って考えて…、ということなのかなと感じています。
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