新人造船マンが大奮闘!!汗と努力とちょこっと青春!技能の伝承「東日本造船技能研修センター」に密着!【前編】
船をつくる造船所、あんなに大きな船も1隻1隻が手づくり。
1ミリのズレも許されません。
そこには職人ワザが光ります。
職人の感覚、経験が正確で細やかな作業を可能にします。
でも、誰もが最初から一人前の職人ではありません。
最初は技能を受け継ぐところから始まります。
学生時代に専門的な座学や実技を学んだひと、就職してから学んだひと
その背景も様々です。
東日本造船技能研修センターには、職人への道を一歩踏み出した将来の船造りを支える造船マンたちがいました。
様々な造船所の新入社員が集合し、仲間たちと一緒に会社の垣根をこえて切磋琢磨しあう3カ月間に私たちは密着しました。
東日本造船技能研修センターがあるのは神奈川県横浜市磯子区。
新入社員への技能の伝承のため、日本財団や(一財)日本海事協会のご支援のもと、2006年2月に設立以来毎年多くの技能者を輩出してきました!
今回研修を受けていた皆さんは4月からの1カ月間、造船について座学研修を受け5月・6月はGWなどの連休をはさみながら、実技によって技能を磨き業務に必要な資格取得を目指します。
取材に来た私たちを温かく迎えてくれたのはこの研修センターの城田校長先生!
研修中の皆さんが快適に過ごせるよう、休憩室の空調管理、休憩時間には必ずテレビの電源をいれてくれる城田校長先生。とっても優しいんです!
そしてもう1人、私たちを温かく迎えてくれたのが、つる先生です!
つる先生は直接研修生に造船技能を教えてくれる先生。
研修生からは「つるさん!」と呼ばれて親しまれています!
つる先生も造船マン!!
造船所で技能者として勤められ、今は技能の伝承をする立場に。
研修生からも「つるさんの溶接はすごい!」と言われる程の腕前ですが、ご本人は造船所に入社した当時、中々思うように溶接ができなかったと話してくれました。
「頭では分かっていても、手先が思うように動かせなかったりして、研修生の姿を見ていると上手くできない気持ちはすごく良く分かる、昔の自分を思いだします。
最初から上手くできるということはありません、短期間で一人前まで上達できるものでもありません。
ですが、船を造るということはその溶接に命がかかっていますので、正確さが大事。研修生にはその重要性を伝えています。」
東日本造船技能研修センターの先生たちのお人柄はとっても素敵でした!
続いて、研修生にお会いしました!
今回密着をOKしてくれたのは、北日本造船㈱のKさん、Hさん、Nさん。
北日本造船㈱の新入社員の皆さんは、研修センターの近くに会社が保有しているアパートで生活しながら通っているそう。
3人とも小さい頃から、船が身近にあったことから造船業界へ。
休みの日は、カラオケで熱唱したり近くのアウトレットでショッピングを楽しんだりとリフレッシュ!
「歌う曲は恥ずかしいので秘密です♡(笑)」と残念ながら曲名は教えてもらえませんでした(笑)
実技研修では、「自分でうまくできたと思っても、先生から指摘を受けることもあり、高いレベルの技術を求められるところが学校と違い難しいです。
ですが、最初の頃と比べると、できるようになったことも沢山あるので、そこに喜びを感じます」とのこと。
すでに、溶接検定の資格も取得できているそう。
地元を離れ慣れない環境の中、1日1日奮闘して成果をだしている姿が本当にかっこいい!!!
そして、京浜ドック㈱のMさんです。
いきなり取材にきた私たちですが(笑)
とっても明るく、積極的に挨拶にきてくれました!
休みの日は、温泉に行ったり、家族で妹さんのテニスの試合に応援に行きカメラ係として写真を撮ってあげる優しいお兄ちゃんのMさん。
すでに終了している座学研修については「覚えることがいっぱいでしたが、船について詳しく教えてもらえたので勉強になりましたし、楽しかったです」と教えてくれました。
研修中、すこし体調を崩してしまった時がありその時は溶接を何回やってもうまくいかなかった。自分の体調管理、コンディションを整えておくことの大切さを改めて感じたそう。
きっと色々な葛藤があると思います。ですが、その中で諦めず大事なことに気付きやり通す。
そんな姿がとってもたくましい!!
さて、それでは実際の研修の様子と新人造船マンの奮闘記の幕開けです!
初めての研修、新しい環境に挑む!
未来への扉を切り拓け!私たち、一生懸命頑張ります!編
研修センターの朝は、ラジオ体操から。
この日は晴天。
先生や仲間たちとすがすがしい朝を迎えます!
「ご安全に!!」
すぐさま、研修生たちは実技にはいっていきます!
私たちが取材した日は、実技が始まり約2週間がたった頃。
支度や部材の準備もお手のもの。
アーク溶接、ガス切断と分かれてつる先生からの課題に取り組みます!
※アーク溶接とは、放電現象(アーク放電)を利用して、金属を溶融させて一体化する接合法です。
※ガス切断とは、可燃性ガスが燃焼する熱で金属を切断する加工法です。
これまでに学んだことを1つ1つ振り返り、確認しながら何度も練習に励む姿がとても印象的でした。
学校で溶接を学んだことがある研修生もいますが、初めて溶接を学ぶ研修生もいます。
全員が安全に作業ができるよう、安全面もしっかりと配慮されていました。
まずは、基本的な溶接技能から練習していきます。
この日は、鋼材にまっすぐ溶接をしていく練習。
練習して少したつと、つる先生から決められた課題と終了時間が伝えられ、
研修生は決められた時間内に課題を提出します。
造船所では、納期があるため、天候に作業工程が左右されながらも、納期までに安全に船を建造する必要があります。
こうした課題を通じて少しずつ、実際の造船所で業務に必要な知識も学んでいくようです。
溶接には自分の作業ペースを把握し、決められた時間内に間に合わせるだけでなく、安全衛生に配慮しつつクオリティの高さも求められます。
これが意外と難しい!!
みんな頑張れーーー!!
まだ研修は始まったばかりですが、研修生の皆さん習得が早い!!
時間内に間に合わせ課題を提出していきます!
みんなで1つ1つ確認。
つる先生から「ここはどうしたの?」と聞かれると、
「時間がぎりぎりになってしまい焦りがでてしまいました」
「最初の方はうまくいったのですが、途中、手がぶれてしまって思うようにできなかった箇所がありました」
研修生たちの意識の高さに、私たちもなんだか刺激を受けました!
そして初めて溶接を見た私たちは、未経験から2週間でこんなにできるようになるの?!と正直、びっくりしました。
午前の研修の最後には、つる先生のお手本を見ながらもう一度ポイントを振り返ります。
まずアーク溶接で大事なポイントを質問形式で5つ確認します。
・2つの角度(鋼材に対して90度、溶接方向は常に65~75度)
・適正電流は170~180A(今回の課題の場合)
・溶接速度は遅すぎず早すぎず一定で
・アーク長(ざっくりいうと溶接物との距離)は0~3ミリ
・正しい姿勢で行う
今度は、実際につる先生の溶接を見て学びます。
実際にお手本を見ながらの説明はすごく分かりやすい!午前中の練習と復習をいかして午後も作業に励みます。 その前に、お昼休憩~♪
それぞれに、お弁当を持ってきたり、研修センターの宅配弁当を頼んだりして休憩室でご飯を食べていました。
お昼休憩中もみんな元気!
「Nさんはゲームをすると、すごい盛り上がって声とかも大きくなってうるさいんですよ~(笑)」
「僕、ゲーム大好きなんです(笑)」
「あははは(笑)」
「アイス買ってきたよ~!食べるひと??」
「食べるー!ありがとう!!」
色々な会話で盛り上がり、とても楽しそうでした(笑)
ご飯を食べた後は、「トランプしよーー!!」と突如ババ抜き開始。
一部始終を見ていたのですが、ババを引いた瞬間ニヤニヤが隠し切れなかったり、すごく悔しがっていたり、誰がババを持っているのかが分かりやすくかなりおもしろかったです(笑)
研修中は真剣そのものだった研修生たちも、休憩中はとってもおちゃめ(笑)
会社は違っても本当に仲良しで、学生時代の休み時間のような雰囲気。
私たちも青春時代に戻ったような気持ちになりました(笑)
さあ、午後の研修がはじまりました!
午後も、アーク溶接とガス切断に分かれて練習していきます。
ガス切断はこの日で2回目!
火のつけ方やガスの量も重要。
コツをつかむまでは、みなさん苦戦されていました。
ですが、先生が近くにいてくれるので、分からないことがあるとすぐに聞くことができ、危険のないよう見守りながら手を差し伸べてくれます。
造船所の技能者として勤めていた自身の経験から時には厳しい評価を率直に伝えることもありますが、これから先一人前の造船マンになって、造船業界を引っ張っていってほしい。
という思いが込められています。そして、研修生たちの成長を誰よりも喜んでいるつる先生です。
この日、研修生たちが溶接・切断した成果がこちら!
ついこの間まで溶接未経験だったとは思えないですね。
一生懸命頑張っている研修生のみなさん。
研修は残すところ2カ月をきりました!
大変だけど、そこには喜びや楽しさもあるようです。
まだ研修は始まったばかり!
新人造船マンの奮闘記まだまだ密着していきますよ~!
乞うご期待!!!
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