CHAPTER4.調達

「12卓のお連れ様、卵アレルギーだそうです。」

「乳製品NGの方が予約希望なのですが対応できますか?」

イレギュラーなオーダーはレストランでは日常茶飯事だ。最近ではヴィーガンなどフードダイバーシティの対応も今後、求められてくるだろう。
例えば完全菜食主義者と呼ばれる、動物性食品を摂取しないヴィーガンの方は白砂糖も製造工程で動物の骨灰を使って精製するのでNGのようだ。革製品などの衣類を着ないヴィーガンをファッションだけ取り入れている方もいるようだ。細分化されすぎてすべてを把握している飲食関係者が何人いるのだろうか、、、ちゃんと一人一人ヒアリングできれば問題ないのだが。大雑把に趣向と言ってしまえばおそらくお客様の数だけいる。僕だって食べ物の好き嫌いはむしろ多いくらいだ。

ステーキは焼き加減指定もあるし、あらかじめシェアしてた方がいいのか、テーブルの上が埋まっていて提供遅らせた方がいいのか、オーダーが立て込んでいるから入店をコントロールした方がいいのか様々なシチュエーションがある。

レストランで重要になるのはオーダーを承るホールと応えるキッチンとの連絡になる。

口頭や伝票でお客様の要望を伝える。ただ伝えればいいのか?
それだけでは注文ミス、オーダーが通ってない、卓番間違えはなくならない。インカムやハンディだとマシントラブルもあるだろう。

略語の統一、相手にとって無駄のないように文言の推敲、数秒争う中で経緯をうだうだ説明するより結果だけ伝えた方がいい場合もある。声が小さかったり、滑舌が悪かったり聞き返されるなんて論外。総合的なコミュニケーション力が問われる。

さて物件の目星をつけ申し込みをした。少し駅から離れて古めの建物だけど身の丈にあった賃料に、使えそうな残置物もある。そこでの市場調査も終え、事業計画を書いて資金調達を始める時期だ。自己資金も少なく実績もない。融資を受けるには地域の信用保証協会を通して金融機関から借りるか、日本郵政金融公庫から借りるか。どちらも創業向きだったが開業している知人の助言も受けて公庫へ申し込むことに決めた。


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