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太陽がまぶしいアルジェリアの料理を知るための10皿

「ここは地の果てアルジェリア」という歌詞の「カスバの女」という流行歌が昔あって、青江美奈という、かつて一世を風靡した歌手が歌っていた。

しかし、アルジェリアが「地の果て」というのは、恐ろしいほどの誤解だ。地中海のフランスの対岸。首都アルジェまでパリから飛行機で2時間ほど。かつてはローマ帝国の植民都市が繁栄した文明揺籃の地でもある。

19世紀から130年にわたり、フランスの植民地だったこともあって、フランスの影響も大きい。アルジェリアのワインのおいしさは折り紙付き。「異邦人」で知られるノーベル文学賞作家アルベール・カミュは、アルジェリア入植者の家に生まれたフランス人。「異邦人」には、支配者であるフランス人の視線からみたアルジェリア人も描かれている。

そんなアルジェリアの料理は、「自然の恵み」と「見た目の美しさ」を重視しながら、フランス料理の良さを取り入れた世界的にみてもユニークなものだ。

①彩りが美しいサラダ

トマトの「赤」、インゲン豆の「紫」。サラダをはじめとしたアルジェリア料理の色彩感覚にはとても驚いた。

②人参サラダ

フランス風ということでいうと、ニンジンを細切りにしたサラダは、アルジェリアでもよくみかけた。

③クスクス

北アフリカ諸国共通の料理で、今や世界じゅうに広まっているクスクス。ひきわり小麦粒に具だくさんのあつあつのソースをかけて食べる。

④ナスのタジン

やはり、北アフリカの名物である「タジン」。アルジェリアにもさまざまなバリエーションがある。ナスとヒヨコ豆のタジンは、いかにも家庭料理的な素朴さがあった。

ちなみに、アルジェリアで売られていたタジン用の鍋はどれもすばらしかった。この辺にもアルジェリアの人々の美的センスを感じた。

⑤羊レバーのシチュー

これもフランス風といえばフランス風なのだろう。羊の臓物を使う、というところはアルジェリア(アラブ)的かもしれない。ドミグラスソースがびっくりするほどおいしかった。

⑥エビのトマト煮込み

地中海に面しているだけに、魚料理もよく食べる。首都アルジェには、魚介類専門のちいさなビストロ風の店がいくつもあった。

⑦タコの足のみじん切り

アルジェのビストロで、想像もしない一皿が出てきて驚いたのが、このタコ足のみじん切りの前菜。

⑧ベルベル風牛煮込み

アルジェリアの食で忘れてはならないのは、北アフリカの先住民であるベルベル人が多く暮らすカビリ地方の料理。地中海にせり出すような山岳地帯で、特に牛肉が有名らしく、野趣あふれる味が楽しめた。

⑨ベルベル式牛串焼き

牛のいろいろな部位の串焼きも、忘れられない味。はねかえされるような歯ごたえの肉を必死でかんでいると、じわじわと滋味が感じられてくる。

⑩バゲット

最後は、いまやアルジェリアの食文化にはなくてはならないパン。バゲット。これを最後に挙げるのは、いかがなものか、という声があることも承知しているが、アルジェリアのバゲットのおいしさは、アルジェリアの食文化の豊かさを示すという意味でも、指摘するべき食べ物だ。

アルジェリアでは、4月に大統領選挙が予定されていた。しかし、脳梗塞で倒れ、前回の4年前の大統領選挙では一度も公に姿を現さずに当選を決めたブーテフリカ大統領が、今回も5選を目指すことに国民の怒りが爆発した。抗議デモが高まりを見せる中、3月11日、政府はブーテフリカ氏の大統領選不出馬と選挙の延期を発表した。

「『アラブの春』は死んでいない! アルジェリアで今、始まった」などの声も聞かれる。日本ではあまりなじみのないことも事実だが、アルジェリアは、歴史や文化だけでなく、現代世界史的な観点でも目が離せない国なのだ。

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モタシャッケラム!(ペルシャ語で「ありがとう」)
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中東(オリエント)の奥行きの深さを、文化、歴史を交えて日本に紹介していきたいと考えています。近くて、遠い、両者の関係を深める助けになるんじゃないかと思います。サークルでは、トルココーヒーなどを飲みながらのおしゃべりで、中東のカフェの雰囲気を作り出していきたいと思います。

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