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【Interview Vol.4】ヒロ

こんにちは!〈CANvas〉です。

このインタビューでは、おなじ想いのなかまや、想いをもって活動されている方にお話を聴き、CANvasの輪を広げていきたいとおもっています。

今回の話し手は、ヒロ。
聞き手のまき(=★)の知り合いです。


■「好きなこと」ー「社会」の接続

★ヒロは、ネパールの研究に熱心に取り組んでいるんだね。小さいころから世界遺産や国旗の本をみるのが好きで、高校生ではじめてネパールに渡航したんだね。

ヒロ:
高校生のときの渡航が自分の意思で現地に行く初めての機会だったから、特に印象深い。
子どものころから好きだった本の中での世界が、自分の目の前にあることがすごくうれしかった。

★最初に経験したものってすごく印象深いと思う。私も、初めて自分の意思でやったスポーツがハンドボールだったから、いまも一番好き。「自分の意思で」っていうのは大きいよね。
ネパールに関わり続ける理由は?

ヒロ:
学ぶことがすごいたくさんあるっていうところかなと思って。一生ネパールだけ勉強してても知らないことがいっぱいあるし、飽きないだろうなと思った。
頻繁に行けないから本を読んでみると、やっぱり面白い。座学と、現地に行ったときとの比較、その相互作用っていうのかな、それも面白くて、モチベーションになってる。

★以前はそのネパール愛ゆえに悩んだこともあったんだよね。ネパールが好きなことを伝えようとするあまり、ネパールの服や食べ物で自分をブランディングしようとして苦しくなったとか。

ヒロ:
自分にはネパールしかないように扱われて、そのキャラクターにとらわれちゃって、迷走した。企画したツアーに参加してもらうために、大学で「目立たなくちゃ」って焦って、空回りしてしまった。

★ほかにも、活動をしていて葛藤していることはある?

ヒロ:
ネパールが好きなんだけど、そこにある社会課題に対してアクションが出来ていないことに葛藤はあった。
現地の人や活動している日本人の多くは、社会課題に向き合っているけど、自分はあまり課題意識を持てなくて。ネパールを知ること、学ぶことにしか興味ないのは問題なんじゃないかって。

就活の時期、ネパールをこれだけ勉強・発信しているなら、なにかにつなげたいなと思ってもやもやしていたり、
人から、「なにがしたいの?」ってきかれたときに、ネパールが好きだってことしか答えられなくて、好きなだけじゃだめなんだって思ってしまったり。

★周囲の人が「途上国なんだったら、社会問題とか国際協力に繋がってるよね」っていう、一般論の視点だから、社会課題とつなげなきゃいけないんだと思っちゃったのかな。
いまはあんまり、その葛藤は感じなくなったそうだけど、どういう変化があったの?

ヒロ:
ネパールのことはライフワークにしようと思ったのが1つかな。

(研究や専門知識は)大学生のうちにある程度のレベルまでいって、それで人生が決まると思い込んでた時期があった。でも、ぼくはネパールが好きだし、人生かけてもいいなって。勉強も研究も、卒業後だって続けていける。

人生に張り合いを与えてくれるものが、自分にとってはネパールだから、「社会貢献できていないからダメだ」って卑下するんじゃなくて、長くお付き合いしていけばいいんだって思った。

★わかる。就活では大学で学んだことだけでジャッジされたり、若いうちしか挑戦できないっていう風潮があったりする。ヒロがやろうとしてるのは生涯学習だよね。シフトできたのはいいことだと思う。

■異なる人と、いかに関わる?

★自分の意見が言いにくいなって思ったりとか、日常生活で、もやもやしたりすることってある?

ヒロ:
政治については、自分と、周りの人や社会とで考え方のずれがあって、もやもやする。

そういうときは、感情的にならないように、気をつけてる。
冷静に自分の中で情報を整理して本読んだり、考えを小出しにして、「わかります」「私もわかります」「だよね」みたいに、どこまで合意がとれてるのか確認しながら話してみたり。

合意がなさそうだってときもあって、それで縁を切ることも過去にあった。
感情をぶつけられて、怖く感じちゃって。しんどいなと。
そのあとのやりとりでも、強い感情をくらったときの記憶が強くて、相手の意見を全部否定したくなるくらいだったから、距離をとることにした。

生き方の深いところとか、アイデンティティに関わるところで対立すると、自分自身が否定されてると感じちゃうかもしれないよね。

ヒロ:
そのときの相手は、自分の人生が否定されたと思ったみたい。そういうふうに相手を傷つける言葉を使用してしまって、自分も反省してます。

■「いい社会」の関係づくり

★いい社会、ってどんな社会だと思う?

ヒロ:
(ひととひとの関係性において、)あまり自他の区別をはっきりしすぎない方がいいのかなと思ってる。
相手のやっていることは自分もしているかもしれないし、相手の行動や考え方の中に自分の行動や性格をみつけることもあると思う。相手を自分の鏡にしておけば、「相手が絶対に悪い」と思わないで、寛容な社会になっていくんじゃないかなって。

あとは、密につながりすぎず、ある程度距離をとることもできる、ゆるやかな関係性を築けるといいなとか。

★密接になりすぎないってすごい大事な考え方だと思う。SNSでつながる人数や時間が多いと、人の情報が多すぎたり人からみられてる時間が多すぎたりして、居心地が悪く感じちゃう。

ヒロ:
生きてりゃいいとしたら、連絡が返ってこなくてもいいと思う。
自分も人間関係のなかで、全国にあったつながりが重荷になっちゃった時期があって。つらい時にはSNSを断ってみてもいいのかなって思うよ。

つながりが重荷になるっていうところでいうと、家族と密になりすぎて息苦しさを感じている人が、周りにはいっぱいいる。親や社会の考え方とすれ違って、ずっと1人で考えて苦しんでいる人もいるかもしれない。

★人との関係が変に密になりすぎることで、互いの人生に干渉して、傷つけてしまったり、やりたいことや好きなことを貫けなかったりすることもあるね。
想いを伝えやすい場、安心できる場や関係性って、どうやってつくれるんだろう?

ヒロ:
聴く側、話す側の双方の努力がないと成り立たないと思う。話す側が勇気をもって話すってだけじゃなくて、聴く側が、話しやすい場をつくることに尽力しつつ、無理やり言わせないっていうことが必要だと思う。ぼくはそういう、聴く側の努力がとても大事だと思ってる。

★私も最近英語の試験を受けてるんだけど、ジャッジしよっていう態度でいるから安心して話せないんだよね。聴く側の態度って大事だなって思う。

1時間に及ぶインタビュー、ありがとう!


編集後記(書き手:より)

文字起こしされたドキュメントから伝わってくる、ネパール愛!
でも、それを無理に就職や社会課題にむすびつけるのではなく、ヒロさんらしく、自分が楽しめること、楽しんでいる自分であることを大事に、ネパール愛とともに生きていこうとされているのが、素敵だなと思いました。

自分と他者をわけすぎず、相手を大切にするように自分を大切にできれば、寛容な社会に近づけるかもしれないですよね。同時に、重たいと感じるつながりを背負いすぎず、自分らしく生きることとのバランスをとるのも大事だと思いました。

長いインタビュー、かなり編集をしてしまいましたが、ヒロさんが大切にしていることが伝わればうれしいです。
次回もお楽しみに!

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