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嗚呼、なんと「入りづらい」ことだろう、スナックは

煌々と光る怪しい看板。不明な料金体系。
扉の向こうには何があるのか。
その重い扉を押したとしても、内輪なコミュニティ。
常連客がふんぞりかえってさえ見えるかもしれない。

ーー新参者に優しくないっ!

昔は、先輩たちが教えてくれたであろうスナックの入り方。
今は、誰も教えてくれないがネットが教えてくれる

この記事にあるマナーのうち「家にお邪魔する時のように謙虚な姿勢で」とある。ーーなんだそれ?
飲みに行っているのに、気持ちよく飲むことを許されなさそうだ。

Q.自分にとって最高の宿泊体験はなんですか?

話は変わるが、私は旅が好きだ。ホテルに宿泊するのも好き。
アメリカのメルティング・ポッドなゲストハウス、
日本の丁寧にリノベートされた古民家宿、
カンボジアの真っ直ぐな太陽がキラキラと反射するブティックホテル。
「あ〜、旅にきた!」
一気に非日常に連れだし、自分をギュンギュン回復させてくれる。
もちろんラグジュアリーなホテルには宿泊したことは少ないが、
これまで一番最高で、これからも超えることがないと思う宿泊体験がある。

お姉さんの部屋に「侵入」することが大好きだ!

大学生なりたての夏、抑圧感の反動で旅に出た。

奄美でのインターンに参加し、たくさんの虫がご挨拶をしにくる、ムシムシと暑い公民館で2週間寝泊りをしていた。
期間中、明るくて独特なオーラを放つチイちゃんに会い、朝方の海は最高だぞ、とか、〇〇さん家のマンゴー頂いたからよかったら一緒にどうぞ、とか、度々お世話になっていた。
(彼女の独特の雰囲気を表す”ヒッピー”ぽいという言葉を知るのは、もう少し後のことだった。)
島を出る最後の夜、「うち泊まっていけば?」とお誘いしてくれた。

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正直、ドキドキした。

年上のお姉さんの家に1人でお邪魔することは初めてだったし、彼女のその独特の雰囲気もあって、家の中は謎のベールに包まれていた。
、、、けど、行ってみようかな。

***

「ちょっと散らかっているけど」
少し照れつつ畳みかけの洗濯物を端に寄せながら部屋を案内してもらった。
部屋の中はベッドも、椅子も、テーブルも、器も手作り。恐るべし
「昔、アイスクリームを勉強していたことがあって」
手作りのマンゴーのアイスを頂いた。
「あ、今いい時間だ」
自分が見つけた秘密の浜辺に、夕日が沈む頃、連れ出してくれた。
そして夜更。
世界を旅してこの島で生きるのが心地いいなと思って選んだこと、どこでも仕事ができるようにSEの仕事を得たこと、自分のパートナーのこと、移住のこと、奄美のこと、将来のこと、色々。
今度は、チョコレートのアイスを少しずつ、2人で食べながら話をしていた。

私はと言うと、終始ドキドキしていた。
ただ、変に気を遣いすぎる私だけど、お邪魔する身として一定の気を遣いつつ、チイちゃんのおもてなしに存分に甘えよう、とだけ決めていた。

最高に居心地が悪くて、唯一無二の体験

あの宿泊体験には、そこに住む人が日々積み上げてきた、その土地を楽しむ知恵や習慣が詰まっていた。
さらに、チイちゃんという1人の女性が築いてきた日常・習慣も、同時に詰め込まれている、ユニークなものである。
それは当たり前に、自分が「お客だ、えっへん!」ではなく、
その土地や人が何年も積み上げてきた日常にお邪魔させていただく感覚になるはずだ。

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少し強引かもしれないが、スナックはその感覚に似ている。
ママと常連さんたちによって作られるケの空間、
ママがコントロールしている場、
常連さんたちも色んな立場からその場をサポートする。
そこの人たちが築いてきた場には、「お邪魔する」と言う感覚がしっくり来る。
それは、オンラインで安全地帯にいるままでは体験できない、ビビッドな体験なのである。
だから、その扉が重かろうと、スナックの扉を押したくなるのだ。

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