花びらむしれ

向かいの人の植物の
開いた花のどぎつい色はよく見えるけれど

自分がきつく抱いている
影の落ちた花の色はよく見えない

花が咲いているという事実は変わらないのに
自分のそれは美しく
相手のそれはひどく醜い
そう信じて疑わずに

花びらむしれと叫びながら
自らの花唇は決してむしらない

むしることなんて
想像さえ

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