真実
真実はその一切を簒奪された。今や目玉の好みが真実を騙り、可能性の半身が影武者として真実を演じている。死を逃れた真実は流浪の身となった。同じように流れている肉の目に真実は映らない。仮に真実がその名を訊かれ、本当の音を口にしようものなら、せせら笑いと嘘つきが響く。怒声が石という衛兵を駆り立てるだろう。偽りの君主による圧政。こぶしに残っていたわずかな自由さえ、完全に奪われてしまった。けれど肉は気づかない。君主に対する絶対的な服従を、自由と呼んで歓呼している。何もかもが、全土に発令された言葉という法によって歪められた。追いやられた真実にはもはや会えまい。もし、もし胸の奥底へと逃げ込み潜み、そこで倒れ込んでしまっている真実の呼吸に触れたければ、それを望むのなら、同じところまで堕ちるしかない。罪を犯し、法を破って、新たな名を得るしかない。真実と同じ名前を。溢れている君主の支持者たちによって焼かれることを覚悟して。
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