HBもしくはF

中学生の頃に買った
少しヒビの入っている
百円の透明なシャーペンで
 
いつからあるのか分からない
空白だらけの大学ノートに
やせた汚い文字を書く

芯は何度も折れて
カチカチカチカチ
空っぽが鳴る

内側がすっかり真っ黒な
クリーム色のやわらかいふで箱にあったのは
HBとFだけ

もっと大きなBかHがよかったと
ペンをミシミシいわせながら
消しゴムを使わずに書いていく

産み落とされることのなかった
幸運な自分への手紙を

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