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314日目(パンデミックの末に①)

早朝から起きた妻。どうやら嘔吐したらしい。先週次女が嘔吐したが、どうやらうつったらしい。

胃腸風邪のパンデミック

妻は、何とか持ち直して、出勤。休みなよーと言ったが、その日は部署の人が足りないようで人手が必要なのだそう。

長女は珍しくゆっくり目覚めて慌てて準備をして出ていった。昨日、少し頭痛があったらしく、学校から電話があったのだが、帰宅後は元気で、習い事や子ども食堂に楽しく参加していた。

ところが10時過ぎ。

「体育の時間に縄跳びをしていたら、急にもどてしまいまして…」

縄跳びをしていたら気持ち悪くなって嘔吐したそうだ。担任の先生からの連絡を受けて学校へ直行。保健室には顔色の悪い長女が。

半泣きで悲しそうな目だったが、わたしが来て、少しは安心した顔になり、その時の様子を詳しく教えてくれた。

その矢先、校門を出たところで再び嘔吐。予想以上に調子が悪いようだ。家に帰るとひたすら横になり、少し起き上がったタイミングでさらに嘔吐。発熱も。

妻も腹痛で休暇を取り帰宅後ひたすら横になる。

このパターンだと、次は自分ではないかと戦慄が走る。

弱気な夫

そんなこんなで弱気になっていたのかもしれない。妻に、

「明日調子悪くなったら休んで」

冗談半分で言った。
だから軽いノリで、そうね、と言って欲しかった。

だが、妻は

「いやー、明日は勘弁して」


わたしはそれを聞いて口籠る。返す言葉を見つけることができなかった。

冗談の残りの半分は本気だったのだ。

タイミング次第で気にも留めないささいなことにも関わらず。

後で二人になったとき

「あれはないわー」

思わず口に出た。妻は

「明日はさぁ、かくかくしかじかで…ちょっとムリなんだって」

「いや、そういう問題じゃなくてさ」

こんなやりとりのまま、話をやめ、妻は寝室へ。しまった。余計なことだった。

だいたい、体調悪かったのは妻で、わたしは健康だ。

にもかかわらず、何でこんなことを言ったんだろう。

働きに出る者、家にいる者

たぶん、これは役割分担変更の問題なのだ。

わたしは家にいて子どもの面倒を見る際、自分の体調が悪かったらどうしようと弱気になるなんて、働きに出出るときには思わなかった(というか思えるはずがない)。

家庭と、仕事、どっちが大事なの?
思わず問い詰めたくなってしまったのだ。

逆に、妻は、いままでのわたしのよう。大事な仕事の前だと、どうしても家庭の優先度が落ちてしまう。

結局、わたしたちは忘れてしまっていた。そして、新しい役割が、新たな抗体(もしくは後退)を生みだした。互いをウイルスとして認識し、攻撃したのだ。

(②へつづく)

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